東口から見える 高崎の未来図

(2019年06月13日)

高崎駅東口では、高崎市の高崎芸術劇場が今秋の開館をめざし、施設全体の姿がはっきりと見え始めた。さらに今年度は高崎芸術劇場西側の再開発ビルも本格始動した。群馬県のコンベンション施設「Gメッセ群馬」は来春に開館する予定だ。産業面では、高崎スマートIC産業団地内で工場建設が進んでいることに加え、新たに高崎354複合産業団地が具体化している。進化する高崎と駅東口から見える高崎の近未来図を探る。

 

令和元年を象徴する「高崎芸術劇場」開館

高崎芸術劇場の開館は、高崎の令和元年を象徴する一大事業と言えるだろう。高崎芸術劇場は高崎アリーナに続いて高崎が世界とつながる都市施設となる。

開館日の9月20日(金)は、こけら落とし公演として群馬交響楽団と高崎第九合唱団、世界最高峰のソリストを迎え、「歓喜の歌」で知られるベートーヴェンの交響曲第9番を演奏するなど、高崎市と高崎財団は、高崎芸術劇場のオープニング事業を発表している。

9月から10月まで、第30回「高崎音楽祭」が高崎芸術劇場のオープンを記念した企画を打ち出しているほか、12月まで国内外の音楽家による多彩な演奏会が予定されている。

 

県外や関東から都市集客

高崎アリーナで行われる国際大会・全国大会によって、国内外からアスリートや観客が高崎市に集まってきているが、高崎芸術劇場で開催される演奏会や舞台芸術においても国内外から演奏家や観客が集まってくるような状況が創出されるだろう。

高崎芸術劇場は、これまで以上に国内外から優れた演奏家や魅力ある興行を高崎芸術劇場に招へいするとともに、観客も県外、関東圏などから集客し、高崎市・群馬県の交流人口増加に貢献することを見込んでいるようだ。

高崎アリーナと高崎芸術劇場は、スポーツと音楽芸術の両面から、高崎の都市文化を高めていくことができる。

 

国際的な交流に発展

高崎市は、2020年東京オリンピック・パラリンピックの事前キャンプ誘致でポーランドとウズベキスタンのホストタウンになっており、スポーツ・文化の交流が深まっている。

 

昨年10月にウズベキスタン新体操、2月にウズベキスタン新体操ジュニア、4月にポーランド柔道代表が高崎アリーナで合宿を行った。また高崎市の新体操ジュニアが4月にウズベキスタンを訪問し、相互交流を深めている。

 

東京オリンピックの事前キャンプ誘致活動にとどまらず、産業交流では、平成27年(2015)に高崎ものづくり海外フェアをチェコとポーランドで開催、高崎映画祭では、第32回(2018年)、第33回(2019年)の2回にわたってポーランド映画を特集、高崎音楽祭や高崎財団ではポーランドのジャズバンドや女性ボーカリストのコンサートを開催、高崎芸術劇場オープニング事業ではポーランド国立民族合唱舞踊団の招へいを予定している。

 

また平成28年にシンガポールで行われた高崎ものづくり海外フェアや高崎のシティプロモーションをきっかけに、シンガポール映画界を牽引する映画監督エリック・クー監督による高崎ロケ作品「家族のレシピ」が実現した。出演は斎藤工さん、松田聖子さん、シンガポールを代表する女優ジネット・アウさんほかで、この映画を通じてエリック・クー監督、ジネットさんから高崎の海外PRにも理解と協力が得られた。

 

スポーツ、音楽、映画、産業など多分野にわたって国際的な交流を生み出しているのが、高崎の力であり、産業力とともに、音楽のまち、映画のまちと言われる都市文化が基盤となっている。高崎芸術劇場の開館は、こうした流れを更に進めるものと期待される。

 

 

ビジネスの街「東口」で新プロジェクトが始動

東口再開発ビルが事業化に(高さ98m)

高崎芸術劇場の発端として、高崎市が平成25年(2013)に発表した「都市集客施設基本計画」に盛り込まれながら、長く時を待っていた再開発ビルが、いよいよ本格的に動き出した。

基本計画では、高崎芸術劇場が東エリア、この再開発ビルを西エリアとし、両エリアの一体的な整備が目指されてきた。

 

事業名称は、「高崎駅東口栄町地区第一種市街地再開発事業(予定)」で、施行者は高崎駅東口栄町地区市街地再開発準備組合(理事長・富岡賢治市長)、施行場所は、高崎芸術劇場西側の、ビックカメラ高崎東口店、高崎中央体育館などが所在する約1.6haのエリア。平成25年12月に高崎市、株式会社ビックカメラ、日本年金機構、日本中央バス株式会社により準備組合が設立された。

 

この準備組合を発注者として、今年2月に事務局事務や基本設計の立案、事業計画作成関連業務などを行う事業者を募集し、3月に野村不動産・佐藤総合計画・都市設計連合共同企業体を優先交渉権者に決定、4月に契約締結となった。

 

業務には、事業資金の立替、都市計画手続関連業務、保留床取得者及び出店テナントの斡旋・仲介、権利者合意形成の支援、事業推進に関する支援などで、専門性の高いスキルや営業力、資金力を必要とする内容も含まれている。

 

ホテル誘致の可能性も

この再開発ビルは商業集積、オフィス集積をはかるとともに、親子の遊び場となる子ども図書館の開設も検討されてきた。

 

富岡賢治市長は、平成31年度予算の記者会見で、高崎市がコンサルタントに委託して取り組んでいるホテル招致について、「ホテルの名前は言えないがうまくいっている」とし、建設場所については、「複合施設の上に積み上げていく方法もある」とし、この再開発ビルの上階にホテルを誘致していく可能性を示唆した。

 

野村不動産JVがプロポーザルで示した計画概要は、延床面積約10万㎡、建築面積約7,000㎡、高さ98m。主な用途は商業、公益、オフィス、ホテル、駐車場、住宅などで、今後、準備組合の意向も加わる可能性があるという。

 

富岡市長は「新しい高崎の発展の核となるところで、官民連携して計画を実行していきたい」とコメントしている。

 

東口から芸術劇場にペデデッキ

高崎駅東口と高崎芸術劇場をつなぐペデストリアンデッキが、高崎駅東口線の中央分離帯の上に建設され、第1工区が既存のデッキからビックカメラ高崎東口店まで、第2工区は同店から高崎芸術劇場、太陽誘電の敷地内に予定される駐車場と接続し、延長は134.8m。ペデストリアンデッキ第2工区は令和元年(2019)7月31日に完成する予定。

 

東口ペデストリアンデッキは屋根を設置し利便性を高める予定。このペデデッキにより東口エリアの高度利用や再開発が連鎖反応的に進むことも期待される。

 

新たな交流拠点「Gメッセ群馬」群馬発展の原動力として期待高まる

 Gメッセ群馬で都市景観が一変するか

高崎競馬場跡地で群馬県が整備を進めているコンベンション施設「Gメッセ群馬」は、2020年春のオープン予定で、敷地面積は約11万㎡、施設規模は1万㎡の大規模な展示ホール(3分割可、1万人収容)、屋外展示場2万㎡超、メインホール(1,000人収容)・大会議室(500人収容)・会議施設は最大17室利用可能、立体・平面駐車場約2,000台となっている。

 

現在、本体工事・立体駐車場工事、外構工事、コンベンション施設北口線(高崎東口線からのアクセス道路)、競馬場通り線の拡幅工事が進められている。

本体と立体駐車場の工事外観は現場周辺からよく見えており、完成すれば高崎駅東口エリアの都市景観が一変するだろう。

 

北口線と競馬場通り線を整備中

コンベンション施設北口線は高崎市岩押町地内で延長188m、幅27m、5車線。競馬場通り線の拡幅工事では、双葉町交差点(東三条通りとの交差点)付近の西側工区(延長112m・幅20m)、Gメッセ群馬の南側から環状線までの東側工区(延長666m・幅25m)で進められている。

 

高崎芸術劇場とGメッセ群馬の催事が重なった場合の交通対策として重要な整備事業であるだけでなく、競馬場通り線では朝夕のラッシュ時を中心に渋滞が慢性化しているので、日常的な生活やビジネスにおいても効果が期待される。

 

メインアクセスは北口線

Gメッセ群馬のメインアクセスは北口で、歩行者や一般来場車両は高崎駅東口線からコンベンション施設北口線を通ってアクセスし、大規模イベント時は、競馬場通り線も活用するものとしている。

 

公共交通等は主として、競馬場通り線から進入、退出となっている。搬入出車両はコンベンション施設北口線から進入、退出し、展示場内部にも大型車両が進行でき、搬入出作業が可能となっている。

 

コンベンションに期待高まる

大型コンベンションセンターは群馬県初となり、用途は幅広く、国際会議、学術会議、展示会や1万人規模のコンサート・イベントも開催可能。東京に近い立地を生かし、県外を含めた広域的な来場を予定している。

 

群馬県議会平成31年第1回定例会の一般質問によれば、これまで1,000人以上の学会・大会など大型コンベンションを優先して仮予約を受け付けてきた。今年1月段階で2020年度は36件の仮予約があり、学会9件、大会7件、展示会7件、就職・試験関係説明会7件、イベント6件になっているという。翌2021年度に14件、2022年度は6件の仮予約があり、合計56件となっているという。また群馬県コンベンションビューローでは、これまでにGメッセ群馬以外に15件のコンベンションを誘致しており、今年度は誘致体制を一層強化するため、専門人材を増員した。

 

Gメッセ群馬こけら落としは1万人ライブか

県議会での一般質問では、来春に予定されるGメッセ群馬のこけら落としとして、知名度が高く、Gメッセ群馬の規模にふさわしい集客力があり、群馬にゆかりのあるアーティストによってコンサートを行うという方向が示されている。

 

Gメッセ群馬は、大規模コンサートが設営しやすい構造となっており、県では今まで群馬県内では開催することのできなかったアーティストなど多くの公演を招へいしたいと考えているようだ。Gメッセ群馬の指定管理者からは、年間10件程度のコンサートを実施する提案が示されており、県はそれ以上の開催をめざしているという。

 

催事の分野としては、高崎アリーナや高崎芸術劇場とかぶるケースもありそうだが、動員規模や音楽性などによって会場選択の幅が広がり、相乗効果が期待できるだろう。

 

首都圏PRで広がり作る

Gメッセ群馬を核に、群馬のコンベンションビジネスを更に発展させるには、県外からの誘致が重要であることは明らかだ。首都圏の企業やMICE関係者などにPRする「Gメッセ群馬プロモーションin東京」が3月19日に東京コンベンションホール(東京都中央区)で開催された。関心も高く、満場の来場者となった。

 

日本商工会議所の三村明夫会頭(前橋市出身)が期待の言葉を寄せ、株式会社ジャルパック江利川宗光社長(前橋市出身)が基調講演でGメッセ群馬の可能性を示すなど、協力・連携の広がりを感じさせた。指定管理者によるプレゼンテーションも行われ、交流会では群馬の食と観光をPRした。大澤正明知事は「Gメッセ群馬を活用し群馬を羽ばたかせていきたい」と意欲を見せた。

 

 

東幹道沿いに産業立地 新たな産業牽引力

高速道路至近が人気に

経済産業省による2018年1〜6月の工場立地動向調査(速報)で、群馬県が都道府県別で全国1位、1〜12月の工場立地動向調査(速報)では全国2位となり、好調を維持しているようだ。群馬県などによれば、立地先は北関東自動車道や関越自動車道の通る太田市や高崎市など県南部に集中し、高崎市の高崎スマートIC産業団地や伊勢崎宮郷工業団地(伊勢崎市)、桐生武井西工業団地(桐生市)などが人気になっているという。

 

この調査に表れているように、高崎スマートIC産業団地は評価が高く、高崎市は産業界の需要に応えるため、高崎スマートIC産業団地の分譲に続いて、高崎市総合卸売市場周辺に「高崎354複合産業団地」の造成を決めた。

 

高崎スマートIC産業団地・高崎354複合産業団地のポテンシャルは高い。高崎玉村スマートICによる高速道へのアクセス、東毛広域幹線道(高崎駅東口線)により高崎駅東口=新幹線へのアクセスは、全国屈指の産業立地と言えるだろう。

 

高崎354複合産業団地の分譲へ

「高崎354複合産業団地」の位置は高崎玉村スマートICから西に約2㎞、柴崎町、下大類町、栗崎町の一部で約28.2ha。進出を希望する企業のエントリー募集が今年1月から3月に行われた。高崎スマートIC産業団地で希望に添えなかった企業が予定よりも大幅に多く、また流通業が多かったため、流通団地として計画されてきた。高崎スマートIC産業団地は製造業を中心に誘致したが、今回は物流・流通業も含めて募集する。エントリー募集で敷地規模や用途の概要を把握し、道路整備や区画割に反映させる。

 

工場の新規建設も着々と。「下滝橋」も開通

高崎スマートIC産業団地の造成工事も進んでおり、株式会社武蔵野群馬工場(本社=埼玉県)、日本ルナ株式会社高崎工場(本社=京都府)、オリヒロ株式会社の新工場(本社=高崎市)、三幸機械株式会社の新工場がそれぞれ竣工、建設中となっている。また安中市で事業展開している信越化学工業(本社=東京都)の子会社が、新たに高崎スマートIC産業団地に進出することが報道されている。

高崎スマートIC産業団地の周辺整備も進んでおり、団地造成に伴って平成28年から行われていた下滝橋の架け替え工事が今年2月に完了した。井野川に架かる下滝橋は、綿貫町と下滝町をつなぐ生活道として昭和44年に設置された。高崎スマートIC産業団地の関係車両と地元車両がスムーズに通行できるよう、新しい橋は幅員も広がって歩道が設けられ、高輝度照明が3基設置された。橋長は62.3m、幅員は11m。橋の銘板は、地元の滝川小学校児童が書いた書道で制作された。

■ ■ ■

これまでも高崎駅周辺はめまぐるしく変わってきた。高崎駅東口では、ビジネス集積が加速し、ペデストリアンデッキを行き交い、高崎芸術劇場やGメッセ群馬に向かう人の波が生まれる。高さ約100mの再開発ビル、高崎芸術劇場、Gメッセ群馬と大規模施設が連続し、東口の都市景観も大きく変貌を遂げるだろう。県内外の産業交流や観光交流に大きく貢献し、高崎が描いてきた近未来図が、また一歩、現実に近づく。

 

高崎商工会議所『商工たかさき』2019年5月号

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