SDGs経営の時代がやってくる

(2020年02月27日)

企業の賛同に広がり


 

地球規模で取り組んでいる「SDGs」への賛同が広がっている。「SDGs」を達成するために企業の取り組みが必要とされている。

 

SDGs「知らない」84%

「SDGs」なんて聞いたことがないという人もいるかも知れないが、確かに認知度の実態を見ると中小企業には余り浸透していない現状もあるようだ。

大企業に比べて中小企業ではSDGsの認知度が低いと見られている。関東経済産業局が平成30年に、関東甲信越・東海の中小企業500社にSDGs認知度などを調査した結果では、認知度は15.8%で、「全く知らない」と回答した企業が84.2%だった。

しかしSDGsを知らなかった企業でも、これから「取り組む必要がある」と考え、理解を深めて経営に生かしたいと回答している。

 

実は多くの中小が既に取り組む

SDGsは、17目標の内、できるものを一つでも二つでも選択して取り組めばよい。SDGsに賛同していることや取り組んでいることを社内外に宣言することも重要だ。取り組んでいる企業・団体は、SDGsのロゴやアイコンを使用できる。資金調達と商業目的でなければ、国連への届け出は不要だ。

SDGsに示された17の目標には循環型社会、低炭素社会、自然共生社会など環境に関連する項目の他、女性や障害を持った人が働きやすい環境づくり、飢餓、貧困、人権、教育などの課題が盛り込まれており、ISOやエコアクション21の認証を持っている企業、地域貢献、社会貢献に取り組んでいる企業は、言葉自体は知らなくとも既にSDGsに直結した企業活動を行っていると考えてもよい。

SDGsを社内に浸透させるとともに、自社のホームページ等を通じてSDGsの取り組みを発信することも有効だ。

 

SDGsを企業経営に生かす

国際規格ISOの認証を取得する企業は、今では珍しくない。大手企業、海外企業との取引では、ISO認証は必要不可欠と言えるだろう。

SDGsが、ISOのように企業取引の条件に盛り込まれるようになるかは、これからの動向となるが、世界的にSDGsへの関心が高まっていることはまちがいないようだ。CO2削減をとっても、環境、エネルギー、資源、気候変動、経済や国際社会、貧困、水など多様な視点が必要となっている。

またSDGsへの関心の高まりによって、SDGsを達成するための技術、製品、サービスといった新市場が創出されると考えられている。世界的な17課題の解決に向けた革新的な取り組みは、大きなビジネスチャンスであり、社会の期待に応えるものとなる。

近年はSDGsに取り組む企業に対する積極投資=ESG投資【環境(Environment)社会(Social)ガバナンス(Governance)に配慮した企業に対する投資】の潮流が生まれており、SDGs=持続可能な開発への取り組みが、企業の価値として評価される時代に入っている。

 

SDGsは上州の伝統

群馬県は、今年10月に、「ぐんまSDGsイニシアティブ〜SDGs先進県に向けた決意宣言〜」を発表し、人口減少・超高齢化など社会的課題の解決と持続可能な地域づくりに 向けて、官民連携を進め、SDGsを推進する考えを明らかにした。

県の次期総合計画にはSDGsの理念を反映させるとともに、県としてSDGs達成に向けた優れた取り組みを提案し、内閣府が公募する2020年度「SDGs未来都市」「自治体SDGsモデル事業」選定を目指す考えだ。

上毛かるたには、炭団を発明して財を成し、社会事業に私財を投じた塩原太助、農業を革新し近代農法を全国に広めた船津伝次平らが謳われているが、「SDGs=持続可能な開発」の先駆者と言え、先人の知恵を現代に受け継いでいきたい。

 

SDGsとは

「SDGs」は「持続可能な開発目標”Sustainable_Development_Goals”」の略で、「エスディージーズ」と読む。

2015年9月の国連サミットで採択された国際社会共通の目標。持続可能で多様性と包摂性のある社会の実現のため、2030年を年限とする17の国際目標と、169のターゲット、232の指標が定められた。

■2030年までに達成するSDGsの17目標

1)貧困:あらゆる場所のあらゆる形態の貧困を終わらせる

2)飢餓:飢餓を終わらせ、食糧安全保障及び栄養改善を実現し所続可能な農業を促進する

3)健康:あらゆる年齢のすべての人々の健康的な生活を確保し、福祉を促進する

4)教育:すべての人々への包摂的かつ公正な質の高い教育を提供し生涯学習の機会を促進する

5)ジェンダー平等:ジェンダー平等を達成し、すべての女性及び女児のエンパワメントを行う

6)水・衛生:すべての人々の水と衛生の利用可能性と持続可能な管理を確保する

7)エネルギー:すべての人々の、安価かつ信頼できる持続可能な近代的なエネルギーへのアクセスを確保する

8)成長・雇用:包摂的かつ持続可能な経済成長及びすべての人々の完全かつ生産的な雇用と働きがいのある人間的な雇用(ディーセント・ワーク)を促進する

9)イノベーション:強靭(レジリエント)なインフラ構築、包摂的かつ持続可能な産業化の促進及びイノベーションの促進を図る

10)不平等:各国内及び各国間の不平等を是正する

11)都市:包摂的で安全かつ強靭(レジリエント)で持続可能な都市及び人間居住を実現する

12)生産・消費:持続可能な生産消費形態を確保する

13)気候変動:気候変動及びその影響を軽減するための緊急対策を講じる

14)海洋資源:持続可能な開発のために海洋・海洋資源を保全し、持続可能な形で利用する

15)陸上資源:陸域生態系の保護、回復、持続可能な利用の推進、持続可能な森林の経営、砂漠化への対処、ならびに土地の劣化の阻止・回復及び生物多様性の損失を阻止する

16)平和:持続可能な開発のための平和で包摂的な社会を促進し、すべての人々に司法へのアクセスを提供し、あらゆるレベルにおいて効果的で説明責任のある包摂的な制度を構築する

17)パートナーシップ:持続可能な開発実施手段を強化し、グローバル・パートナーシップを活性化する

 

『商工たかさき』2019年11月号

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