新卒者定着へ 高崎商工会議所が交流事業を強化

(2020年03月31日)

若者と中小企業のパイプに


人口減少・少子高齢化対策、地域産業の活性化施策として、若者の地元就職は重要な取り組みとなっている。高崎は産業都市であるとともに、大学・短大8校、学生1万2千人が集積する大学のまちであり、高崎商工会議所では市内企業と大学生の交流セミナー、就活につながる企業説明会などの事業を実施している

 

商都高崎は大学のまち

高崎市内には高崎経済大学、高崎商科大学、高崎健康福祉大学、群馬パース大学、上武大学、育英大学、育英短期大学、新島学園短期大学があり、総勢1万2,245人の学生が学んでいる。少子化時代にあって、高崎市内の大学生数は増加しており、2013年の1万887人から2019年の1万2245人まで1,358人増加している。

 

玉村町の群馬県立女子大(学部991人、大学院23人)も高崎とつながりの深い大学と言える。

 

商都高崎は大学のまちでもある。若者の力を高崎で生かしてもらう取り組みは極めて重要であり、高崎商工会議所では市内企業の人材確保を支援するため、体験型、交流型の事業を行っている。

 

地元就職は地方都市の共通課題

若者を故郷に呼び戻し、雇用や定住につなげる施策は全国の地方都市で行われている。学生の就職に関する調査によれば、地元就職を希望する学生は5割から6割、また出身地での就職を希望する学生は7割という結果が報告されているが、実際は東京集中が続いているという見方が強いようだ。

 

厚生労働省の雇用動向調査を見ると、東京に新卒者が流入していることが示されている。

 

新卒者就職で健闘する群馬県

群馬県の新卒者就職の年次推移を見ると、2015年は流入3,000人、流出5,400人で2,400人の出超、2016年が流入3,200人、流出3,600人で400人の出超。2017年になると流入2,400人、流出1,900人で500人の入超となった。また県内学生の県内就職数も1万2,900人と増加しており、新卒者就職で、群馬県では良い流れが生まれているようだ。

 

「地方に就職先がない」 中小企業の葛藤

東京に就職する理由として、「都会の便利さ」とともに「地元に志望する企業がない」という回答が多かったそうだ。

 

地方都市から東京に若者が流出してしまう背景として「進学した若者が就職する受け皿が地方にはない」という見方は根強く、群馬県の産業教育審議会の議論でも「学んだ専門性を生かせる企業が群馬県にはなく、東京で就職してしまう事例がある(平成27年度)」という指摘もある。

 

地方企業の採用の悩みとして、「東京志向・大手企業志向は根強く、採用に工夫を凝らしてもブランド力がなく学生を持っていかれてしまう」、「そんな会社は知らないと親や友人に反対される」などが一般的に言われている。

 

地方企業はBtoBの取引が多いために、技術や製品などを一般消費者が目にする機会は少ない。また一般に向けた広告宣伝もあまり行われていない。

 

最近の就職活動はインターネットを通じて行われているが、就職情報サイトでは、新卒採用予算について非上場企業は約400万円、入社予定者一人当たり約50万円などとされている。

 

就職情報サイトに登録していない企業は、学生にとっては新卒者を求人していない企業ということになってしまう。また働きたい地域での登録企業数が少ないと、活力が低い地域という印象につながってしまうこともあるだろう。

 

せっかく育てた人材が転職

新卒者の入社は、会社組織をリフレッシュさせ、社内の活性化につながる。新卒者が一人前の戦力に育つために必要な期間は3年あるいは5年などと言われ、そこに費やすコストは大きい。最初の数年間は会社や仕事、ビジネス社会の基本を学ぶ期間で、手塩にかけて一人前に育て、これからの活躍に期待がかかる時期に3人に一人が転職してしまうというショッキングな統計データがある。

 

新卒就職者の3年以内の離職率が32.0%(平成28年3月卒=厚生労働省『新規学校卒業就職者の在職期間別離職状況』)で、この20年間は概ね30%台前半で推移している。中小企業では採用人数は限られており、やっと戦力になった矢先に退職されてしまうのでは、中小企業にとっては大きな損失で、経営者の落胆も大きい。

 

こうしたリスクを考え、不足した労働力を即戦力の中途採用で補うという求人が中小企業では多いかもしれない。一方、自分のスタイルを持った中途採用よりも、真っ白な新卒者の方が企業理念の担い手にふさわしく、毎年一定数の新卒者を採用している企業では、同期のつながりが横の連携を生み、企業成長の原動力になるとされている。

 

また従業者の離職を嘆くのではなく、定着率の高い企業風土を企業の特徴として積極的にPRする例も見られている。

 

企業と学生の交流のきっかけづくり

地元就職について学生側、企業側の双方が不安を感じていることは、お互いを知らないことに起因しているようだ。

 

新卒採用では、インターンシップ、会社説明会など時期に合わせた開催が必要となる。高崎商工会議所では、高崎市内の企業が新卒者を採用しやすい環境を整えていくため、高崎経済大学生や市内大学生を対象とした事業を実施している。

 

「地元に就職する会社がない」と学生達が感じているのは、大企業に比べて中小企業の情報発信力に差があるためで、気軽に参加できる企業見学ツアーや企業トップを講師に招いたセミナー「高崎ビジネススクール」などを通じ、市内企業を学生に知ってもらうのが本事業の目的の一つ。参加企業にとっても大学の就職担当だけでなく学生との交流を通じて、学生側のニーズや若者の考え方や感性を知ることができる。事業内容だけでなく、会社の雰囲気、経営者の人柄も学生に知ってもらうことができる。

 

高崎の企業で活躍を

地元企業は、語学や技能を生かし、専門性の高い業務に就きたい、スキルを磨きたいと考えている学生の受け皿となり、成長の場となっている。

 

例えば海外取引の第一線で活躍したいという学生ニーズについて、大手企業にとどまらず、高崎においても多くの企業がグローバル展開しており、幅広い職種で海外取引に携わる可能性が広がっている。企業紹介においても、製品や技術とともに、国内外の商圏、海外への事業展開などについて触れておくと、関心を持つ学生も広がるのではないか。

 

転職情報サイトDODAの調査で、高崎市は「働きたいまちランキング2018【関東】」で20位にランクインしている。「働きたいまち」として認知されている都市力を生かし、新卒者にも「働きたいまち高崎」の魅力と企業力を伝えていくことが重要だ。

 

市内優良企業見学バスツアー

市内企業と高経大の学生が直接接する機会を設け、学生に地元企業の魅力を知ってもらう。2018年はクシダ工業、高崎信用金庫、クライムを訪問。2019年は5月に実施し、関東いすゞ自動車、群栄化学工業、藤田エンジニアリングを訪問。約40人が参加し、企業や業界を知る機会になった、視野が広がったなどと好評だった。

 

普段着で参加するインターン&企業説明会

市内の優良企業による合同企業説明会を2019年11月に高経大を会場に二日間実施。高経大の1年生〜3年生が対象で気負いなく普段着で参加してもらう。地元企業の情報や社員の声を就活に生かす。留学生の参加もあった。

 

 高崎ビジネススクール

カフェ・あすなろを会場にコーヒーを飲みながら地元企業のトップや担当者から経営戦略を聞く。11月中旬から12月中旬まで毎週開催。学生限定定員20人。2019年は市内の士業有資格者から資格取得について聞く。今年で4年度目となる。

 

中学生向け市内企業見学ツアー

高崎の企業を中学生に見学してもらい、市内企業や職業を知り、働く姿を身近に感じてもらう。長期的な視点から本事業を積み重ね、市内企業の人材不足や知名度アップ、魅力アップにつなげていく。中学生の感性を会員企業にフィードバックする。

 

高崎商工会議所『商工たかさき』2019年12月

 

 

 

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