新型コロナ/努力と新発想で経営を盛り返す(1)

(2020年06月30日)

―苦境から再建する飲食店

休業・外出自粛・GW需要の消失が下押し

 サービス業への影響はリーマンショックを超える

 

新型コロナウイルスの感染拡大による緊急事態宣言が解除され、県による警戒度も引き下げとなった。自粛要請も段階的な解除が進み、「新しい生活様式」に向けた取り組みに力が入ってきた。

 

 人と向き合わず距離をつくる

一つの空間に多くの人が集まるような「密」を避け、人と人との「距離」を作ることが生活やビジネスなど、あらゆる場面で必要になっている。人と人との接触をできるだけ少なくすることが、感染防止として重要だ。

 

6月1日は、警戒度引き下げにより学校が再開するとともに、自粛要請の解除も拡大し、感染拡大が落ち着き、生活や経済活動の多くが戻ってきている。しかし、誰もが感じているように、全てが「コロナ以前」に戻ることはできず、「新しい生活様式」「アフターコロナ」「ウィズコロナ」などと言われるように、これまでとは違う生活スタイルが求められている。

 

外出自粛による対面販売、対面営業の減少は、店舗だけではなく様々なビジネスシーンに影響を与えている。コンサートやスポーツ、展示会、イベント、そして、伝統的なお祭りなども長期にわたって中止が続いている。もちろん、治療薬やワクチンなど医学的に早期解決できることが最善だが、社会としても感染防止と両立した新しい集客の仕組みづくりが急務と言えそうだ。

 

日本商工会議所の5月調査で、新型コロナウイルスにより全国の事業所が深刻な影響を受けていることが示された。特に飲食や宿泊などのサービス業は、リーマンショック以上の打撃を受けているようだ。

 

自粛要請で7割減少

新型コロナウイルス感染症対策として国民に要請された外出自粛の効果を測定するため、4月以降からNTTドコモが提供する「モバイル空間統計」が利用されている。NTTドコモが全国主要地点の人口変動値を発表するとともに、群馬県は「モバイル空間統計」を活用し、県内拠点駅、繁華街、観光地の人口変動をまとめている。

これまで、自粛要請を受けて、市内の飲食店、高崎駅周辺の大型店は休業となり、「モバイル空間統計」と群馬県のまとめによれば、「Stay Home (ステイホーム)週間」となったゴールデンウィークは、感染拡大前に比べて、人の動きは高崎駅西口で約7割減少、柳川町で約4割減少となっている。

このデータは、3密を避け、「人との接触8割削減」をめざした感染症防止対策として、一定の成果を上げたことを示すと同時に、客足が7割減少した事実を示すものでもある。緊急事態宣言等による長期休業、顧客の激減など、飲食・宿泊業や小売業、観光関連業種などの経営は大きな影響を受けている。

 

コロナ前の人出に近づいているが

「モバイル空間統計」で高崎駅西口周辺の人の動きを見ると、感染拡大前と比較した減少幅は徐々に縮小し、警戒度が下がった6月は、4月に国が緊急事態宣言を行った頃の水準に戻りつつある。しかし感染拡大前と比べて平日で約1割以上の減少、休日で約3割程度の減少となっている。

計測エリアは高崎駅西口からあら町交差点や連雀町交差点の西側までの500m四方のエリア。「モバイル空間統計」のデータで、この500m四方のエリア内は、感染拡大前の1月中旬から2月中旬は、休日平均で約7千人〜8千人弱、平日で6千人となっており、休日の人出が多かったことが示されている。

繁華街として抽出された柳川町は感染前拡大と比較して、ゴールデンウィーク中に約41%減となっているが、その後も約4割減の状況となっている。柳川町は「接待を伴う飲食店」が多く、新型コロナウイルス感染症対策の早期から利用自粛が要請されてきた業態でもある。

 

サービス業はリーマンショック以上の痛手

日本商工会議所の5月の景気観測で、新型コロナウイルスによる経営への影響については「影響が生じている」は今年4月の調査から8.7ポイント増加し、65.5%、「長期化すると影響が出る懸念がある」と合わせて96.0%となった。 5月は、消費者の外出自粛や企業の営業自粛・休業の動きが広がり、ゴールデンウィークの観光需要が消失したことなどの下押しとなって、幅広い業種での売上が低迷したと指摘されている。

 

特にサービス業では89年4月の調査開始以来、リーマンショック後の2009年2月期を上回り、過去最悪(▲77.6)を示す結果となった。

 

プラス要素としては、外出自粛によるいわゆる「巣ごもり消費」の拡大で内食向け農畜産物食料品の売上増加が見られている。

高崎信用金庫が四半期ごとに調査している「景況レポート」2020年1〜3月期では、業況は5期連続で低下、4〜5月期も業況低下を予想している。調査員のコメントでは、新型コロナウイルスによる影響として、製造業・建設業では海外工場休止、資材の入手困難、卸売業ではイベント中止による売り上げへの影響、サービス業・小売業では、海外旅行客の来店が見込めなくなった、団体客のキャンセルが続いているなどが上げられた。

高崎商工会議所『商工たかさき』2020年6月号

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