新型コロナ/努力と新発想で経営を盛り返す(6)

(2020年07月30日)

「新しい生活様式」のもとで挑戦する

コロナで消費者心理や行動が変化

 

先月は、新型コロナウイルスの感染拡大により、売上が激しく減少した飲食店の取り組みについて取材したが、総務省の2020年4月家計調査に飲食への家計支出が大きく減少した状況が示されている。一方、支出が増えた品目もあり、新型コロナウイルスの影響で消費行動に大きな変化が現れた。

 

学校休校や在宅勤務など「おうち時間」の拡大による巣ごもり需要や、営業自粛、外出自粛による影響などが大きく反映された結果となった。

 

飲食、旅客、宿泊、アパレル、エンターテインメント関係は、対前年同月比で6割から9割の減少となり、壊滅的といえる経営危機となった。インスタント食品、ゲーム・パソコン、保健衛生関係ではティッシュやマスク、せっけんの消費が拡大、また口紅などの化粧品は減少した。

 

対話が発生する場所では、飛沫防止のパーティションが設置されるなど、売り場やオフィスの環境も数カ月で大きく変わった。

 

社会活動が戻り始めたが、新型コロナウイルスの感染拡大については予断を許さない。今後の消費動向が注目されるが、コロナによる混乱から回復しても、コロナ前と状況が変わるという見方も強い。新型コロナウイルスの感染拡大防止対策と共存しながら、新たな需要の創出や、密集や接触を避ける営業スタイルが必要とされている。

 

マスクは生活必需品、着用が社会マナーに

新型コロナウイルス感染症の拡大に伴って、日本国内では、外出時のマスク着用が社会マナーとして定着している。マスクは生活必需品となっている。

これまで、接客時にマスクを着用するのは避けるべきとされてきたが、今では、マスクをするのが相手への気遣いとなり、むしろ、着用していないほうが失礼で、感染症への意識が低いという印象を与えてしまう。

 

不織布マスクの不足で代替需要

感染症拡大の勢いが増した2月以降、全国で深刻なマスク不足となった。不織布マスクが入手できず、ドラッグストアに早朝から長蛇の列ができたり、高価な転売品が社会問題となり、布マスクの活用が始まった。

当初はガーゼなどを使った手作りマスクが話題になり、女性政治家が布マスクを着用して記者会見している様子が報道されたことなども影響し、布マスクのファッション性にも関心が集まったようだ。

市内企業の取り組みでは、オリジナル手ぬぐいを製作・販売する中村染工場(常盤町)の「晒(さらし)マスク」、寝具メーカーの株式会社プレジール・眠り製作所(中尾町)が寝具素材を応用し開発、販売した抗菌・抗ウイルス機能繊維のマスクなどの反響も大きかった。

 

ブランドマスクが目玉商品に

南銀座商店街の生活小物・ギフト店「TODOKORO」は、アパレルブランドの布マスクを販売し、好評だ。

派手めの色柄が特徴のブランドで、店主の外処友延さんによれば、ファッション性と着け心地が魅力だという。今年2月頃から売り始め、価格は1セット2,000円ほど。「当店の看板ブランドとは言え、一個2千円の派手なマスクが売れるのか不安だったが、このマスクで勝負してみようという気持ちもあった」と言う。売れ行きが次第に伸び始め、顧客がSNSで話題を広げてくれたのは、ありがたかったという。

コロナウイルスへの不安や外出自粛などで気持ちもふさぎ、マスクをしているので口紅も控えめとなり、ファッションへの関心も薄れていた時期に、色柄物のブランドマスクは、手ごろなおしゃれの対象となったようだ。

マスクの色柄は多種で、入荷数が限定されていることもあり、一人でいくつものマスクをコレクションとして揃えるファンもいる。その日の服装に合わせた色や柄のマスクを着用するファンもいるそうだ。新規客がリピート客となり、マスクの売上は順調に推移した。

外出自粛期間中は消費意欲も低下気味だったが、ブランドマスクは、顧客の来店機会につながる商品になり、マスク入荷日は来店客を増やすことができた。

夏に向けて、暑さ対策のマスクとして薄地や冷感製品も品揃えに加えた。「すっかり、街のマスク屋さんになってしまったような感じです」と外処さんは話している。

問い合わせ:TODOKORO

電話:027―322―1766

 

顧客の声でマスクの種類を増やす

今春のマスク不足のピーク時には、中村染工場も「街のマスク屋さん」だったようだ。

不織布マスクが手に入らずに困っている人たちに向けて、無地の白いさらしを折りたたんでゴム紐を通し、マスクの代わりに使ってもらう「さらしDEマスク(晒ハンカチ)」の販売を始めたのが契機となった。

 

手ぬぐいの材料のさらしも、全国的に品薄な時期もあったが、自社在庫を持っていた。マスクのかたちに縫製して販売することも考えたが、作業日数がかかってしまうので、中村染工場の中村康子さんは「マスクが無くて困っている人はすぐに欲しいでしょうから、すぐに販売できる折りたたむ方式を選びました」という。その当時は布マスクの有効性についてWHO(世界保健機関)のコメントは否定的だった。また大手メーカーの参入も始まり、マスク不足もいずれは解消すると思えた。

「さらしDEマスク」を恐る恐る売ってみたところ、思った以上に好評となった。「たたむのが面倒でマスクとして縫製した製品が欲しい」という声も多く、縫製した「晒(さら)しマスク」の販売を開始。白いさらしマスクは、遠目からは不織布マスクに見えるので、幅広い場面で使ってもらえると考えた。

続いて、顔の曲面に合わせた立体型のマスクもお客様の要望で商品化。お客様から色や柄のマスクも求められるようになり、中村染工場の技法「注染」による伝統模様の「流れ小桜」や「市松模様」を染めた「注染マスク」も発売した。

 

新しいお客様と出会うきっかけに

店頭に「マスクあります」と張り紙をしておいたので、飛び込みのお客様も来店。新規客の獲得につながった。

マスクの需要がいつまで続くのか、今後の見通しは難しいが、感染拡大防止のマナーとして、マスクの着用は習慣化するとも考えられている。「日本の布と染を生かしたマスクを使ってほしい。お客様の要望に応じたマスクをつくっていきたい」と話す。

 

 

また妖怪「あまびえ様」の手ぬぐいを製作したところ、メディアで取り上げられ、こちらの売れ行きも好調という。「ぐんまちゃん」の生みの親の中嶋史子さんにデザインを依頼し、お札をイメージした作品と、かわいらしくアレンジした「あまびえちゃん」バージョンがあり、どちらも好評だ。

全国的にも、手作業による「注染」の染工場は少ない。気温や湿度も染色に影響するので気を緩めることのできない、デリケートな作業ということだ。

新型コロナウイルス感染症の影響で、イベントやお祭り等が全国で中止になっており、今年は手ぬぐいの受注は減少した。本来であれば、夏の祭りシーズンに向け「例年では、一年で最も忙しい時期」と言う。少しずつ受注も戻り始め、「手ぬぐいを見直してもらう機会になれば」と話している。マスクは1組550円から990円。あまびえ様てぬぐいは1,100円、あまびえちゃんハーフサイズてぬぐいは660円。(税込み価格)

問い合わせ:中村染工場

電話:027―322―5202

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