新型コロナ/努力と新発想で経営を盛り返す(7)

(2020年07月30日)

「新しい生活様式」のもとで挑戦する

 

 

対面する場所に飛沫防止対策

間仕切り設置を短期決戦で

新型コロナウイルスの飛沫感染防止対策として、アクリル板パーティションや透明ビニールシートによる間仕切りなどの設置が一気に進んだ。くしゃみや咳だけでなく会話でも飛沫が飛散するということで、感染リスクの低減対策が必要となった。病院やオフィス、商業施設など、人と人が対面をする場所には、間仕切りの設置が必須になっている。

工務店や内装・美術工芸施工を手掛ける市内企業は、間仕切りの設置に追われた時期があった。間仕切りの設置は全国で一斉に進んだため、資材が品薄となる心配もあった。また、設置場所に合わせた施工が必要で、業務時間外に設置作業を行わなければならないケースなどもあった。

 

 

強みを生かし簡易パーティション

段ボール製品や梱包資材を製造加工するヒロパックス株式会社(町屋町)は、段ボール製の組立パーティションを開発し、6月下旬から販売を開始した。販売に先立ち、パーティション300セット、同時期に開発したフェイスシールド500セットを群馬県と高崎市にそれぞれ寄贈した。

 

新型コロナウイルス感染症の影響を多くの企業が受けている。広瀬雅美社長は、日頃から「ピンチをチャンスに」と全社で意識を共有してきたという。

 

段ボール製パーティションは、ヒロパックスの技術と資材を生かした製品で、設計・試作から短期間で製品化できたそうだ。パーティションは正面部分の基本セットと左右の間仕切りのオプションで構成されている。組み立ては工具や接着剤、テープ等は不要。軽量で可搬性があるので、イベントや仮設会場での設置も容易だ。

 

応用が期待できるフェイスシールド

新型コロナウイルスの感染が拡大した地域では、患者の増加によって医療現場は激務が続き、医療用マスクやフェイスシールド、ガウンなど物資の不足が医療従事者を危険にさらしている状況も指摘されてきた。

ヒロパックスでは飛沫対策となるフェイスシールドを開発、商品化した。シールド部分の角度を調整できる、メガネをかけた人でも装着しやすいよう、ひたいの部分に厚めのスポンジが貼付できる、同梱の色別シールで所属などが区別できるなど工夫されている。

医療現場以外でも、マスクの着用が困難な人や状況下で、フェイスシールドの利用が進んでいる。また夏の暑い時期は、マスクは体内に熱がこもるので、フェイスシールドの活用が注目されている。

 

イベント記念品の可能性も

シールド部分には、視界を妨げない範囲で印字・シール貼付ができる。イベントなど社会活動の再開が徐々に進んでおり、参加者への記念品として配布し、会場で着用してもらう使い方もある。

コンサートなどの会場では、飛沫飛散防止のため出演者や観客が声を出すことは制約されているので、観客がフェイスシールドを装着することで、運営にも幅が生まれる可能性もある。

企業名やイベント名などや印字したフェイスシールドは、イベントグッズやノベルティなどにもなりそうだ。

パーティションは基本セットが1組1,650円、オプションサイドパネルが1,760円。フェイスシールドはロット単位の購入に限っており100個29,700円など。(税込み価格)

問い合わせ:ヒロパックス

電話:027―343―2111

 

異業種連携でコロナに立ち向かう

3社の連携でフェイスシールド開発

株式会社コーエィ・エージェンシー(新後閑町、齊藤隆代表取締役)は、イベントやデザイン印刷、ITなどグループ企業の強みを生かした事業展開を行っている。

医師会や医療機関と取引のあるコーエィ・エージェンシーは、医療現場の最前線で資材が不足している状況を聞き、フェイスシールドの開発を思い立ったという。

全国的にも、医療現場の資器材不足、院内感染が報道され、海外のような医療崩壊も心配されていた。

コーエィ・エージェンシーの吉田英夫部長は「欠品で納期も未定という状況で医療現場は困っていた。企業のコラボで何とかできないか」と考え、知り合いの企業経営者に相談したところ、樹脂版加工のエムケイ製作所(小八木町)が型を製作、前橋紙工(前橋市鳥取町)に製造してもらうことができた。コーエィ・エージェンシーの千明正一郎課長が4月上旬から設計や段取りを進め、2週間と言う短期間で製品化にこぎつけた。

同社では「中小企業3社の連携でフェイスシールドを開発、販売できた。多くの医療現場で役立ててほしい」と話す。

 

 

仮設の検査施設も事業展開

またコーエィ・エージェンシーは、新型コロナウイルス感染症対策として、自治体や医療機関などから要望を受け、仮設の発熱外来、PCR検査所・検体採取所の設置業務を行っている。こうした施設は、一般患者と動線を区別するため、駐車場の一角などに仮設されることも多い。実績は群馬県内で5施設、第2波に備え、6月末までに高崎市内を含めて群馬県全域より6件の相談がきているそうだ。

 

設営は、プレハブ建てのユニットハウスやテントなどを用い、低コスト、短工期で対応できる。ドライブスルー方式で検体を採取するPCR検体採取所設置にも貢献した。

 

こうした施設は、感染症拡大を防ぐ最前線であり、万全な感染防止対策が必要だ。医療従事者は、PPE(個人用防護服)を着用し、周囲との接触を避けるため、専用の着脱場所を設置する。またウイルスが付着する恐れのある資器材等は消毒対象となるなど、運用ノウハウも合わせて提供できることも、同社の強みだ。更にグループ企業等のネットワークでOA機器、机、イス、照明、案内看板など開設に必要な一式を用意できる「ワンストップ相談窓口」としても力を発揮している。

 

きめ細かな診療体制を構築するため、仮設の発熱外来やPCR検査室の設置は全国の自治体で取り組まれており、同社では新潟県内企業と業務提携し、7月から新潟方面にも営業展開をしていく。

 

企業連携で顧客課題の解決に

コロナが通り過ぎるのを待つだけではなく、コロナ影響下で変化している顧客ニーズに気付き、応えていくことが求められているようだ。

吉田部長は「地元企業がタッグを組み、一社だけでは実現できない顧客ニーズも解決できることを今回の取り組みで実感できた。高崎で多くの企業と連携し地域貢献していきたいので、企業間の交流を深め、医療の最前線でコロナウイルスと戦っている方々の思いに応えたい」と意欲を見せている。

問い合わせ:コーエィエージェンシー

電話:027―323―7414

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