新型コロナ/努力と新発想で経営を盛り返す(8)

(2020年07月30日)

「新しい生活様式」のもとで挑戦する

劇場の危機 高崎映画祭の中止とシネマテーク休館

3月20日から4月5日まで予定された第34回高崎映画祭(主催=高崎映画祭委員会・須藤賢一委員長)の映画上映が全て中止となった。高崎映画祭プロデューサーの志尾睦子さんは「最初は、高崎は大丈夫ではないかと考えていました」と話す。

 

新型コロナウイルス感染症が国内で拡大し、2月に「尾道映画祭2020(2月28日〜3月1日)」、「ええじゃないか とよはし映画祭 2020 (3月13日〜15日)」が中止を発表すると、「高崎はどうするの」という声が聞こえ始めた。

 

志尾さんは早い段階から、マスクや消毒液などを準備し、コロナに対応した運営を入念に考えていた。「授賞式は音楽センターからホテルに変更し、無観客で開催すること発表したが、規模を縮小して映画祭は開催できると思っていた」という。実際に齊藤工監督の舞台挨拶付きチケットが完売するなど、ファンの期待も高まっていた。

 

映画人生が音をたてて崩れた

高崎映画祭の中止を決めた時のことを志尾さんは「日に日に状況が変わってきた。みんなの命を守るための判断でした」と振り返る。

 

開催か中止かを最終判断する委員会で、志尾さんは運営・対応について説明し、最初は委員の意見も「志尾さんの気持ちを大事にして」と開催に傾いた。司会の古川雅子副委員長が「この状況下で開催できるのか、委員の本当の気持ちを聞きたい」と求めると、委員全員が「本当は中止にすべきだと考えている」と述べたそうだ。

 

志尾さんは、「リスクを負わないためにイベントを中止していく風潮があるように思えていたのですが、これはリスク云々ではなく、人の命にかかわることだとコロナの問題に向き合えた」と言う。しかし、映画上映を全て中止にする決定は、志尾さんにとって、相当なショックで、2日間立ち直れず、3月13日にようやく発表する決心がついた。

 

中止発表は、上映を予定していた作品の監督、出演者など関係者にも衝撃を与えた。がらがらと音をたてて崩れていくという表現があるが、志尾さんは「自分の映画人生が崩れていく音が、本当に聞こえました」と話す。上映中止のお知らせには、志尾さんの思いが綴られている。

 

一方、インターネット配信された3月22日の授賞式では、諦めずに映画を届けようとする高崎映画祭の思いが全国、世界へと伝えらえた。

 

県外からのお客様増加で休館に

高崎映画祭の中止で、シネマテークたかさきも、いずれは休館しなければならないと、志尾さんとシネマテークたかさき支配人の小林栄子さんは、覚悟を決め、準備してきた。

 

新型コロナウイルスの感染拡大による4月7日の緊急事態宣言・休業要請で、東京、埼玉、千葉、神奈川の一都三県の映画館が休館すると、SNSで「今、上映している映画館」として、シネマテークたかさきの名前もあげられ、首都圏からのお客様も増えてきた。

 

志尾さんと小林さんは、お客様の感染防止のため、群馬県の要請よりも早い段階で、4月15日から休館を決めた。休館期間は、当初はゴールデンウィーク開けまでの予定だったが、5月15日まで延長し、更に「当面の間」とした。

 

「本来であれば、県外からお客様に来ていただくのはうれしいこと。お客様に来ていただくことが心配な状況になってしまったら、営業するべきではないと判断した」という。

 

コロナの影響で苦境に立つ全国のミニシアターを支援するため、クラウドファウンディングも立ちあがり、シネマテークでも賛助会員が拡大。「苦しいときに、市民やファンの皆さんにがんばってほしいと応援してもらって、本当に励みになりました」と感謝の気持ちでいっぱいだ。

 

 

席数限定し予約で再開

群馬県の警戒度の緩和により、シネマテークは5月29日から営業を再開した。客席は二つおきで、入場者数は、定員の3分の1の20席にし、予約制とした。入館はマスク着用と検温、手指消毒をお願いする。夜の上映回は行わず、週一回の休館日を設けた。

映画館は密室のイメージがあるが「当館の空調は高性能であり、十分な換気をしています。お客様にはマスクを着用してもらい、全員が前を向いて、静かに映画を観覧されていますから、飛沫の心配も少ないと考えています」と志尾さんは話す。

6月13日から定員の2分1の間隔を空けた30席で営業。「今は、お客様に安心して見てもらうことが最も大切。行ってみたら嫌な思いをしたということにならないように、しっかりと対応します」とがんばっている。客席や施設内は、スタッフが清掃、消毒し、目に見えない心づかいを行き届かせている。接触を避けたいお客様に対応するためキャッシュレス決済も導入した。

 

「地球最後の日も上映したい」と実感

来場者数は、これまでの3分の1程度になってしまった。「新しい時代にあわせた価値観が必要」と志尾さんは語る。

入場料の値上げはできず、正直なところ、新しい仕組みは見つかっていない。今までも自転車操業だったが「自転車をこぎ続けることができればいいと思っています」と言う。「映画館は映画を上映する場所ですから、地球最後の日も開館して映画を上映したい。それが私たちの仕事だと、コロナを通じて実感できました」と話している。

 

全試合をインターネット中継

 新型コロナウイルスでガイドライン

新型コロナウイルス感染症の影響で延期されていたプロ野球独立リーグ・ルートインBCリーグが6月20日に開幕した。

緊急事態宣言の解除により、6月1日から練習や対外試合が再開され、当初予定していた試合日程や対戦グループを再編し、試合時間を制限する特別ルールなどを盛り込んだBCリーグガイドラインが示された。

群馬ダイヤモンドペガサスの堀口芳明社長は、「今シーズンはファンの皆様、選手、監督、コーチ、スタッフを感染リスクから守るための運営になる」と話す。

 

 

充実した中継を楽しんで

開幕から当面の間は、無観客試合となり、群馬ダイヤモンドペガサスは、ほとんど全てのホームゲームをインターネットでライブ中継している。

 

インターネットによるライブ中継は、球団として、今期当初から予定していた取り組みで、新型コロナウイルスとは関係なかったが、結果的にファンやスポンサーとのつながりを持っていくための手段となり、コロナ対応の事業となった。

 

インターネット中継は、各球団の運用に任されているが、ペガサスでは、バックネット裏、センタースコアボード下、内野席両翼にビデオカメラをセットし、アングルを切り替えながら、本格的な中継を行っている。解説にペガサス前監督の平野謙さんを迎えた贅沢な布陣だ。

 

なお7月11日のホームゲームから、後援会会員限定で有観客とし、7月27日のホームゲームから一般客の入場を開始した。

 

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