販路拡大の一手を打つ小規模企業(3)

(2021年07月30日)

持続化補助金を経営に生かす
株式会社 美のくらし


訪問美容サービスを充実強化

 

訪問美容に特化して設立

株式会社美のくらしは、訪問美容を事業として、2017年2月に設立された。高齢者、体の不自由な人、持病などで美容院に足を運ぶことが出来ない人に向け、福祉施設や病院等に出向いて訪問美容サービスを提供している。グループ企業の株式会社ユーアンドは、北関東・信越6県に32店舗の美容室を展開しており、豊富な実績を築いている。

「美のくらし」は、持続化補助金を活用し、訪問美容の告知ポスターの作成、業務拡大と効率化を計るためのシャンプー台1台の増設を行った。計画内容について統括マネージャーの小林真吾さんに話を聞いた。

 

訪問美容はカットが中心

施設の訪問美容は、入居者をリフレッシュさせ、施設生活に潤いを与えるサービスの一つだ。訪問美容は、介護保険の対象ではなく、全額自費となっていることもあり、ヘアカットが中心で、髪染やパーマなどは行われないことが多い。

白髪染めを始め、男性も女性もカラーリングを楽しんでいる時代だが、施設への入居や長期の入院などにより、日数を置いて面会した家族は、容姿の変化を感じるケースもあるようだ。「本人も家族も若々しくいてほしいという願いを持っています。美しくなることを実感することにより、生活の質が高まり、前向きな生活に寄与できます」と小林マネージャーは考えている。

 

おしゃれな世代が高齢者に

同社の訪問美容で最も利用されているのはヘアカットだが、髪染め、顔そり、眉カット、ネイルケアなど顧客の要望は幅広いそうだ。現状では費用負担のこともあり、カット以外の要望には応えらえないケースもあるという。

既に団塊の世代が高齢者となり、今後の高齢者のライフスタイルは多岐にわたり、様々なカルチャーを楽しみ、ファッションに関心の高い世代が中心となると考えてもいいだろう。同社は『高齢者により美しく、より楽しく、より健康な人生をおくっていただけるサービス業』として、今後の高齢者の需要に応え、新しいコンセプトの事業をめざしている。

「美容師にサービスを受けていると、ご自身が美容室に通っていた時のことを思い出すようで、ご自身の輝きを取り戻していただいているように感じます」と小林マネージャーは話す。

 

サービス重視の事業をめざす

施設で行われている訪問美容は、利用者の経済負担の軽減のため、低価格が一般的となっている。ヘアカットの日程は、施設の入浴日に合わせて組まれることも多く、時間優先の作業工程になりがちということだ。

「群馬県内が低価格競争となって、サービスの低下や収益が得られなくなるなどの心配があり、美容師の待遇にも反映します」と小林マネージャーは懸念を語る。

コロナ禍で、高齢者施設では面会が制限されている。同社では、訪問美容のスタッフに対し自主的なPCR検査を実施している。限られた訪問時間の中で、満足していただくサービスを提供しようと努力をする中で、シャンプー台の不足を痛感したそうだ。

 

顧客満足でお客様の笑顔を

シャンプー台を1台から2台に増設することで、一日に施術できる人数の増加、2施設への訪問が可能になる、機会損失の防止などにより、営業力の強化と売上増が見込めるという。全てのお客様にシャンプーを行うとともに、ヘッドスパ、ヘッドマッサージなどリラクゼーションメニューも導入し、付加価値を高めていく。

 

今後、訪問美容の市場は拡大していくと予想できる。サービスの向上と効率化を併せて実現し、客数を増加させることで、美容師の働き方改革にもつながるという。「美容師という職種には、定年がありません。美容師が働き続けられる職場の受け皿として、訪問美容を成長させたい」と小林マネージャーは話す。そのためには、介護事業者の負担軽減と理解をはかり、利用者の満足度向上を実現することが重要と考えている。

 

「群馬で訪問美容のビジネスモデルを確立し、グループ店舗が出店する6県への展開をはかっていきたい」と同社では訪問美容事業の更なる発展を模索している。

 

株式会社 美のくらし

代表取締役 天田 房夫さん

高崎市小八木町312-15

TEL:027-333-1810

高崎商工会議所「商工たかさき」2021年7月号

 

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