SDGsを経営に生かす(2)

(2021年08月31日)

NPOぐんま


SDGsに直結したNPO

特定非営利活動法人NPOぐんまは、群馬県内のNPOの先駆けとして1999年に設立され、市民と企業・行政を結ぶ「市民立シンクタンク」として活動している。

 

地域の課題を解決し、持続可能な地域づくりにつなげるために、まちづくりに関する事業の企画・提案、自治体の総合計画など各種計画の策定支援に携わり、社会調査、地域政策の研究にも実績がある。

 

環境省策定の環境マネジメントシステム・エコアクション21の地域事務局を務め、2005年4月には、財団法人地球環境戦略研究機関より、群馬県で最初のエコアクション21地域事務局として認定され、2020年4月からは北関東3県の中核地域事務局として企業をサポートしている。

 

代表理事の片亀光さんは、環境カウンセラーとして、企業の環境マネジメントを始め、子どもたちの環境教育など幅広く活動中。同じく代表理事の熊倉浩靖さんは、群馬県立女子大学教授を経て、現在は高崎商科大学特任教授。古代史研究では世界の記憶「上野三碑」の著作も数多い。

 

NPOぐんまは、シンクタンクとして専門性を発揮した活動を行っており、同NPOのミッションそのものがSDGsに直結していると言える。

 

今回は、SDGsを取り入れた総合計画の策定支援など、SDGsをまちづくりに生かしているスタッフの飯島弘幸さん、長谷川香織さんに話を聞いた。

 

県内初、SDGsを総合計画に

NPOぐんまは、自治体の総合計画、各施策分野の計画などでSDGsの目標やターゲットとの対応をはかり、より効果的な運用や進行管理を支援している。

 

2019年策定の第2次富岡市総合計画中期基本計画では、人口減少社会、超高齢化社会に向け、市民目線に立った「持続可能なまちづくり」の実現を掲げ、SDGsにおける17の目標と169のターゲットに富岡市の施策を対応させている。SDGsを取り入れた県内初の総合計画となった。

 

住民に対してもSDGsへの取り組みを促し、「2・飢餓をゼロに」では、「もったいないを意識し、食べ残しを減らそう」、「10・人や国の不平等をなくそう」では「いじめをなくし地域の人と話そう」などの取り組み例も示されている。

 

また、新潟県南魚沼市第2次南魚沼市総合計画後期基本計画では、政策分野ごとにSDGsの17の目標との対応を示し、まちづくり施策が世界的な課題の解決にどのように結びついているかをまとめている。

 

SDGsを総合計画等に盛り込み、まちづくりと持続可能な社会の構築を一体的に進める自治体は増えているようだ。

 

SDGsに関係ないものはない

「SDGsは環境面がクローズアップされる傾向にありますが、私たちの仕事や暮らしの全てにSDGsが関わっていると考えていいと思います」「貧困や飢餓、健康など人権や命、人の尊厳にも重点が置かれています」と飯島さん、長谷川さんは語る。

「安全な水とトイレを世界中に」は英文では「CLEAN WATER AND SANITATION」となっており、「和約はトイレとなっていますが、トイレだけではなく衛生的な環境づくりなどもっと幅広くとらえたほうが、取り組みやすいと考えています」と長谷川さんは話す。

SDGsの17目標の下に、169のターゲット項目が示されている。「ターゲットを見ていくと、企業や皆さんが既に取り組んでいることや似ていることが含まれていると思います。それをSDGsの視点で見直すことで、改めて社会の中での位置づけが確認でき、企業としてのPRにもつなげやすくなると思います。」と二人はアドバイスする。

 

SDGsが理解を共有

SDGsが広がるにつれ、SDGsで課題を共有すると説明や理解がスムーズになる。「ものごとを考える指標として、企業や自治体の取り組みの共通認識が得やすくなりました」と飯島さんは言う。

 

長谷川さんは「日本国内にも深刻な貧困や飢餓があることも明らかになり、今まで気づきにくかった課題が浮かび上がるようになってきました。ジェンダーや多様性など、今まで気が付かなかった、あるいは目をそらしてきた課題に着目し、受け入れる仕組みづくりが今後さらに求められるのではないでしょうか。子どもたち、若い世代はSDGsをよく勉強していますから、企業や製品、サービスの選択の尺度にもなるでしょう」とSDGsの観点から制度や事業等を見直す必要性を感じている。

 

一方、2030年を目標年度としており、「すぐにやらなくても」と、意識や取り組みにも濃淡があるようだ。

 

また、SDGs経営のビジネス書なども多数あるが、わかりにくい面もあり、どのように取り組んでいったらいいのかわからない人は、NPOぐんまに相談するのもいいだろう。NPOぐんまでは「SDGsを自治体の施策や企業活動に生かしてもらえるよう、取り組んでいきたい」と話している。

 

特定非営利活動法人NPOぐんま

 代表理事

片亀光さん・熊倉浩靖さん

高崎市八島町70-51-302

TEL.027-326-6677

 

高崎商工会議所「商工たかさき」2021年8月号

 

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