観音様へのお参りの際は、和カフェにお立ち寄りを

一路堂カフェ(ICHIRODO cafe)

(2014年6月)

橋爪 真理子さん

 白衣観音が佇む慈眼院の境内。その端の木戸をくぐって下ると、周囲の自然に溶け込む「一路堂」があり、大きな窓越しに樹木の生気と鳥のさえずりが感じられる隠れ家的な和カフェとなっている。
 週末やイベントに合わせてのプレオープンを経て、今年2月より本格的に開業。桜のシーズンにフル稼働できるよう準備を進めてきたのは、慈眼院ご住職の娘さんで二人姉妹の長女・橋爪真理子さんだ。
「桜の時季にはお料理とお酒を楽しめる『夜桜カフェ』を1日5組限定で実施しました。ゴールデンウィークもお陰様で大忙しでした」と、大変な時を乗り切った安堵感と自信をのぞかせる。
 幼いころから、跡取りと言われてきた真理子さんは、高校生の時にお寺を継ぐなら、ここで好きなことをしたいと、カフェの開業を考えた。都内の大学に進学し4年次に専門学校にも通い、卒業後は都内のカフェで3年間の修業を経て帰郷。開業に向けて準備を始めた。
 「カフェは空間演出が重要で、自然に包まれ静寂が広がるこの景観はうってつけでした。お寺のカフェなら“和”のテイストは必須で、和菓子や手作りケーキと一緒に抹茶を気軽に味わってほしいとメニューに加えました。500円で写経体験もでき、展示スペースは相談のうえで貸し出しに応じます」と、元々あった恵まれた環境をアイデアいっぱいに活用し、培ったカフェ経営やケーキ作りなどの腕を振るう。翌日の準備が深夜に及ぶことがあっても、苦にならないという。もてなしの心を磨こうと茶道も習い始めた。
 そんな娘の奮闘を見守るご両親や、温かく迎えてくれる参道商店街の人たち、そして観音様と、郷里は何かと心強い。
 カフェは日々進化を遂げ、6月からは予約制でランチを始めた。県産オーガニック食材等を使用した精進料理風メニューが話題を呼びそうだ。
 「寛ぎ、語らい、飲食できる場を作ったことで、楽しみに足を運んでくださるお客様がいらっしゃることがとても嬉しいです。訪れる人ももてなす人も笑顔になる魅力的な場所として観音山全体が盛り上がるよう力を尽くしたいです」。燃料満タン! 真理子さんの夢が走り出した。

一路堂カフェ(ICHIRODO cafe)

住所:高崎市石原町2710-1(高崎観音山慈眼院境内)
電話:090-2475-4893
営業時間:10:30~16:30
定休日:木・金・年末年始