澄みきった自然に根付く高崎唯一の造り酒屋

牧野酒造株式会社

(2015年1月)

牧野さん


●324年続く高崎唯一の造り酒屋
 牧野酒造株式会社は創業元禄3年(1690年)から続く、高崎唯一の造り酒屋。現在17代目となる牧野茂実さんが代表を務める。同社では日本酒や焼酎などを製造しており、中でも日本酒の『大盃』は創業当初から続く製法の同社の看板銘柄。『大盃』の名称は、地元倉渕にゆかりのある歴史に名高い「小栗上野介」に関わる。小栗が江戸幕府の正式な遣米使節として渡米した折、同社の先祖も随行して、無事の帰国に大きな杯で祝杯を挙げたというエピソードに由来している。

●専門家も認める『大盃』ブランド
 同社は10月頃から3月の間が繁忙期となり、岩手県から南部杜氏を呼び、仕込みを行っている。増減はあるが、1シーズンで1升瓶に換算して約10万本分が仕込まれる。日本酒の命ともいえる水は、榛名山の清く澄んだ冷たい伏流水を使用している。やわらかく、癖のない軟水で、かみしめると甘みを感じられる。そして、お酒になると口当たりがやわらかく、のどごしの良さが際立つという。「原料や気候など酒造りの条件は、その年により変化します。その変化に対応し、毎年味にムラのないよう同一性を持たせ、よりよいものを造ることを目標に取り組んでいます」と牧野社長は話す。
 同社の製造するお酒の評価は非常に高く、『大盃』は全国新酒鑑評会や国税局鑑評会にて金賞を20数回受賞している。また、第74回関東信越国税局酒類鑑評会においては、関東信越地区249の蔵元の日本酒から1つしか選ばれない最優秀賞を、群馬県内の蔵元として初めて受賞した。

●世界を視野に入れた展開を
 かつては市内にもたくさんの造り酒屋があり、倉渕にも5件ほど営業していたという。しかし、ビールやワイン、洋酒などが台頭し、日本酒のマーケットが縮小する中で、業態変更や閉店に追い込まれるところが多くあった。その中で同社は、積極的にPR活動を行い、いち早く地元以外にも販路を拡大することで、生き残ってきたという。「これからは国内だけではなく、海外を視野に入れたグローバルな展開を考えています」と牧野社長は、次なるステージへの進出に意欲を燃やす。2013年に和食がユネスコの無形文化遺産に登録されたこともあり、日本酒への海外からの注目度も増している。324年の歴史に裏打ちされた信頼と実績をベースに、新たな一歩を踏み出していく。 

~会社概要~
代表取締役 牧野茂実
高崎市倉渕町権田2625-1
TEL:027-378-2011
URL:http://www.makino-sake.co.jp