「油の町医者」 から「お困りごとを解決する会社」へ

(2019年10月31日)

赤尾商事株式会社

製造業の良き相談相手に

赤尾商事株式会社は、60有余年にわたり、群馬県と埼玉県を中心とした営業エリアに、潤滑油や燃料油に関わる商品や技術、サービスを提供してきた。

 

「中でも潤滑油の取扱いは、創業当初から当社の根本を成す事業として成長してきました。特約店契約を結んだ出光興産㈱とのパートナーシップの下、製造業への最適な潤滑油の提供を通じて地域の産業界に貢献してきました。“油の町医者たれ”という創業者の言葉を経営理念に掲げ、お客様の良き相談相手となるセールスエンジニアの育成に努めてきました。これが今日に至る赤尾の強みとなっています」と話す赤尾佳子代表取締役社長。

 

出光興産との信頼関係

同社の創業は昭和26年(1951)。創業者の赤尾幸市氏(当時26歳)が、戦後の復興期に市内住吉町に本社を置き石油販売を開始した。

 

特約店契約を結んだ出光興産は、当時北関東での知名度が低く、販路拡大のための拠点づくりを展開中で、新規参入の同社と目標が合致した。

 

あるエピソードが残っている。同社は、販売量の拡大に伴った担保を提供できず、出光興産から一度特約取り消しの通告を受けたことがあった。しかし、油まみれで作業する赤尾社長に関東支店の担当課長が「あなたの真っ黒な手を担保にいただきましょう」と温情ある計らいをしたことで、商売に専念することができたという。両社のパートナーシップは一層の深まりを見せた。

 

提案型営業のノウハウの蓄積が強み

初代の幸市社長は、工業高校を出て中島飛行機㈱に勤務し、鉄や無機化学に関する知識や経験が豊富だったことから、製造業が抱える問題にも精通し解決策を提案することで信頼を獲得した。

 

“油の町医者たれ”という言葉は、こうした問題解決型、提案型という顧客のニーズに対応した営業スタイルの継承をめざすものだった。

現在では、オイル分析・オイルろ過など、生産性や精度の向上に対する提案や廃油の回収まで一貫した体制を整える。

また、同社は多数のローリーやトラックを配置、県内を中心に施設や事業所、一般家庭に燃料油やLPガスを供給している。

 

寄りたくなるSSづくり

赤尾商事といえば一般にサービスステーション(SS)のイメージが強い。給油をはじめ、エンジンオイル、ミッションオイル、タイヤ、バッテリーなど、車やバイクに関わる商品を提供する。また、洗車やコーティングなどライセンスを取得したスタッフによるこだわりのメニューもあるほか、車検、板金、中古車販売・買い取り、マイカーリース、保険など、あらゆるカーライフをサポートするサービスを提供している。

 

一方で、地域の特性を判断し、セルフスタンドの設置も増えた。

 

同社の顔となるSSだけに、訪れた人に好印象を持たれる工夫を欠かさない。

「まず明るく元気なあいさつ。“整理・整頓・清掃・清潔・躾”の5Sの徹底、トイレの美化には特に気合を入れています。また、バレンタインデーにチョコレートをプレゼントしたり、ハロウィンにはカボチャの重さ当てクイズをしたりと、季節の行事を取り入れた飾りつけやサプライズで楽しさを演出しています」と話す佳子社長。

 

圧倒的に男性の多い社長職にあって、女性はハンデがあると感じたこともあったが、“女性ならでは”“女性だからこそ”という特性を生かした柔軟で母性あふれる組織運営を心がけることで、風通しの良いボトムアップな社風が息づいている。

 

もっとお客様に貢献できる会社に

同社では時代の変化に合わせて、自分たちも柔軟に進化していこうと、「世の中のお困りごとを解決する会社」をめざすという新たなビジョンを掲げている。

 

その一環として、最前線で働く社員の気づきから生まれた提案を、サービスとして実現する。

 

例えば、①車椅子や福祉車両の販売とメンテナンス。色も元気の出る赤を基調としている。②赤尾グループのSSに家庭から出た天ぷら油をペットボトルに入れて持参すると、グループの商品券100円分と交換できる「スタンド・廃油」。③工事現場の重機に軽油を供給する「パトロール給油車」3台に、銃型ではなく給油用のノズルを構えた女性のシルエットが遊び心で描かれている。こうした、お客様の一番近くにいる社員の“あったらいいな”を吸い上げて実現することが、組織の活性化につながっている。

 

「時代の変化に合わせ組織も変わる必要があります。それを担うのは女性の感性。女性社員の比率が20%というのが当社の状況ですが、子育てがひと段落して職場に復帰し、課長職に就いた女性社員もいます。女性がもっと輝く職場となり、しなやかな適応力のある組織になれば、よりお客様のお役に立てるはずです」と話す佳子社長。平成20年(2008)に現職に就任した。

 

当時はリーマンショックで、工場は休止するところも多かったが、油は必需品であり消耗品。「有り難い商売だと実感しました」と振り返り、その分、お客様に貢献できる会社でありたいと熱を込める。

 

 

赤尾商事株式会社

代表取締役社長  赤尾 佳子

高崎市上佐野町282-1

TEL:027-323-4884

高崎商工会議所『商工たかさき』2019年10月号

 

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