シリアルのトップ ブランド 国内唯一の生産工場が50周年

(2020年02月27日)

日本ケロッグ合同会社高崎工場

 

交通と交流の拠点高崎に進出

日本の朝食の文化に大きな変化をもたらしたケロッグ製品が高崎で生産され、全国の消費者に届けられるようになって今年でちょうど50年を迎える。全国誰でも知っているケロッグのコーンフレークが日本で唯一、高崎で作られていることは、市民としても自慢のエピソードだ。

昭和40年代から高崎には、国内の有力企業が工業団地に進出してきた。太平洋側と日本海側、首都圏と全国をつなぐ高速交通網により、ビジネス拠点、生産流通拠点として発展し、自然災害が少なく、年間を通じて日照時間が長いなど、交通環境や生活環境が安定しているといった点が着目された。

1969年(昭和44)に日本ケロッグ合同会社の高崎工場が設立されたことは高崎市史に「アメリカ資本の食品会社日本ケロッグ社が日本で最初の工場を設立し、本社のあるミシガン州バトルクリーク市と高崎市が姉妹都市となる架け橋ともなった」と記されている。

 

世界のケロッグ日本の生産拠点

穀類のもつ栄養素をそのままに、おいしく食べやすい「シリアル」を広く一般にも提供できると確信したW.K.ケロッグ氏が1906年に会社を設立。その後1922年に社名を「ケロッグ社」と改め、朝食シリアル専門メーカーとして成長し、1世紀以上たった今では180カ国以上で事業を展開する世界的な食品メーカーとなっている。

そして、米国ケロッグ社100%出資の日本法人となる日本ケロッグが1962年(昭和37)に設立され、国内唯一の生産拠点である高崎工場が、1969年(昭和44)に稼動を開始した。

日本でもケロッグブランドは、半世紀以上にわたって、太陽と大地の恵みを受けて育った、玄米、小麦、大麦、とうもろこしなどの穀物のエネルギーとバランスのよい栄養がたっぷり詰まったシリアルを朝の食卓に届け、快調な一日のスタートを応援してきた。手軽に利用でき時短になるケロッグ商品は、忙しい現代人にうってつけの食品といえる。

 

ターゲットを細分化し市場を拡げる

近年、日本ケロッグでは消費者層を細分化し、家事・育児・仕事と多忙な女性を「マルチタスクウーマン」、小学生を中心とした「キッズ」、中高生から大学生までの「ティーンプラス」、その後の「ミレニアル世代」、40代以降の男性「ストレスサラリーマン」、「アクティブシニア」と、それぞれに合った商品をラインナップすることで、市場拡大に努めている。その結果、2018年度実績では数量・金額ともに前年実績をクリアし、マーケットシェアも上昇を遂げた。

また、「家族が繁栄し成長できるように、栄養を与え育む」という企業目的を掲げ、食料・飢餓問題においてもリーディングカンパニーをめざして、「シニア」と「子ども」を対象に年間30万食分のシリアルを無償で提供している。

 

 

日本人好みのオリジナル商品も誕生

高崎工場では、日本ケロッグ全体のほぼ2分の1にあたる100名ほどが働いており、その約8割が地元出身者だ。

高崎工場では、コーンフレーク、コーンフロスティ、オールブラン(フレークタイプ)、玄米フレークや、子どもに人気のチョコワなど、幅広い製品が生産されている。日本では、日本人の食習慣を反映した味覚や食感に合った製品を独自に研究開発しており、中には「玄米フレーク」のように海外のケロッグに広がった事例なども少なくない。

「ケロッグは、原料へのこだわりも大切にしています。例えばコーンフレークは、天然の生のコーンを使用し、素材の味が十分生かされており、1枚1枚の形が不揃いなのが特徴。製造工程はオートメーション化されていても、気温や湿度の変化によって、水分量やオーブンの設定温度には微妙な調整が必要で、こうした部分は熟練した“匠の技”が担っています。人の感性が息づく工場と言えます」と話す松原剛工場長。

また、高崎工場内には消費者からの問い合わせに対して、迅速かつ専門的に対応するため、「お客様相談室」も設置されている。消費者対応の最前線と位置づけられている。

 

 

自分の未来をデザインする

もともとケロッグには工場を大切にする文化があり、生産拠点にとどまらず工場起点の製品づくりを提案するなど経営の一翼を担う役割も期待されている。

それだけに、「人材教育にも熱心です。社員一人一人が工程に合せてスキルマップを作成し、現在の自分のスキルを見える化しています。3年後、5年後、10年後にどこまで学びキャリアアップしたいかを自分で設定することで、自分の将来像がイメージしやすくなり、モチベーションアップにもつながっています」と人事総務部の北西健マネージャーは話す。

高崎工場には「家族の繁栄」を願うケロッグならではの家族的で温かい雰囲気があるという。

高崎商工会議所『商工たかさき』2019年11月号

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