町工場の未来に挑戦 林製作所

(2018年10月29日)

たかさき産業祭2018ものとぴあ特集

IoTを活用した「考える工場」

 

林製作所は多品種少量生産の精密板金加工を軸に、プレス加工、溶接加工の一貫生産を行っている。前年度期に創業90周年を迎えた同社は林司社長で4代目。高崎の老舗ものづくり企業である。

林社長はスマートファクトリーの構築と就業環境の改善などをめざし、今年6月に溶接工場を竣工させ、続いて7月に生産設備を新規導入した。

スマートファクトリーは「考える工場」とも言われ、IoT(Internet of Things)やビッグデータ、AIなどを利用し、生産効率や製品品質の向上をめざす。林製作所では、工場内の設備機器やセンサー等をインターネットに接続して、どの製品がどの機械でどのような工程にあるのかモニターでリアルタイムに「見える化」している。その中核となるのが7月に新規導入したファイバーレーザー複合機(鋼板の切断・穴あけを行う機械)で、材料の自動供給、金型の自動交換、加工済み部品の搬出・集積も自動で行う。

段取り、組み立て、検査などの工程で、人手に依存する「属人的作業」が発生し、リードタイムや品質のばらつきの要因とされている。スマートファクトリーでは、自動化による連続運転が可能で、稼動時間の4割を占めると言われる「段取り時間」が大幅に短縮されるそうだ。使用する金型もデータベース管理され、メンテナンス時期もシステムが通知する。

 

職人技は更に磨きをかける

 

林社長は「IT技術を使って解決できるデジタルなこと、人でなければできないアナログなこと、どちらにも力を入れて行きたい」と考えており、導き出した答えがスマートファクトリーだった。

今回導入したファイバーレーザー複合機によって既存機3台を集約でき、人でなければできない付加価値の高い業務に人員を配置していく考えだ。また、技術者の手作業となる溶接工程を新工場に移し、作業環境を向上させている。

IoTによって蓄積されたビッグデータを分析することで、「どこに無駄があるのか」「どこを改善すればよいか」といった課題の発見・解決とともに、AI技術の発展によって経験や勘に代表される職人技もデジタルデータ化することができる。職人の確保が難しい時代でもあり、技術共有も容易になる。省力化によって創出された時間で、更に人材育成に力を注ぎ、企業としての実力を高めていきたいと考えている。

 

加速する多品種少量化に対応

 

林製作所の年間取引先数は130社で、年間10社から20社のペースで増加している。多数の客先から月産3,000種を超える部品を受注しているそうだ。

林社長は「受注ロットは1個から数十個がほとんどで、多品種少量生産となっている」という。材料や加工方法、管理、受発注伝票なども違い、手間がかかっている。「こうした動きは加速している。これまで人海戦術でこなしてきたが、人手の限られた中小企業ではいつか限界がくる」と危機感を持っていた。

こうした煩雑な仕事を「難なくこなせるような実力をつけていく。そのための方法がスマートファクトリーであり、お客様の欲しい製品を必要な時に短納期で供給していきたい」と語る。

林社長は「町工場の未来像を創り上げていきたい。今後の目標は客先数を200社、受注数を月産5,000種類に増加させていきたい」と意欲を見せている。

株式会社林製作所

■林 司社長

■本社 高崎市沖町368-1  TEL.027-343-1211

 

高崎商工会議所『商工たかさき』2018年9月号

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