高崎のおもてなし 2

笑う門に福のおもてなし

志尾 睦子

 今春、福カフェオリジナル商品〈福だるまーグル〉が誕生しました。名は体を表すネーミングに思わず笑みがこぼれます。「福だるまーグルに似てるって言われるんです」と屈託なく笑うのは福カフェ店長の福島昭乃さん。もちろん似ているのはにっこり顔の方です。
 連雀町の交差点からスズラン方向に数メートル進むと現れるレンガ造りの外壁が福カフェ。福カフェは東口にあるベーグル専門店福ベーグルから生まれました。昭乃さんのご主人が営む建築会社ARIGATO COMPANYの一部門として東町に福ベーグルを開店したのが3年前の夏、その半年後2012年の4月にまち中で福カフェをオープンしました。東口と西口2店舗を行き来し切り盛りしていましたが、2年目の節目にと、福ベーグルと福カフェをそれぞれ独立させる方針を打ち出します。昭乃さんは福カフェに専念することになりました。
 「福ベーグルを高崎の名物にしようと言ってくれた人がいて、最初はそんな力量ないしおこがましいと思った」という昭乃さん。連雀町でカフェを営んできた2年を改めて振り返った時、はたと、まちのど真ん中でお店をやっている事の意味に気がついたといいます。もっと人の笑顔を集めたい、そしてその笑顔をまちの中心から広げなければならない、と思ったそうです。街の人たちと手をつなぎ合い、まあるく楽しく幸せな町にする。笑顔と福のおもてなし発信地に福カフェがなったらいい。高崎名物と呼ばれるものがまちのど真ん中から生み出せたらもっと楽しい。そんな思いで商品開発に取りかかりました。
 小麦粉・砂糖・塩・水・イーストで作るベーグルは、焼く前に茹でるのと、蹄が由来と言われる輪形がその特徴です。そこを起点に、いつかの高崎名物を目指して考案したのが「福だるまーグル」。小麦粉は群馬県産と北海道産のブレンドです。粘り気の強い群馬県産の小麦粉の良さを最大限に活かす配分には苦戦したそう。そのうち中に具を入れるのにぴったりな味わいと食感を発見し、丸形にしてだるまの焼き印をつけました。プレーンは王道、だからいわゆるだるまらしい凛々しいお顔。具入りは楽しい気分で笑顔印。焼き印のデザインは今井だるまさんに協力を要請して素敵なコラボが出来あがりました。個包装した際におなかに福マークというお茶目なセンスも忘れません。
 「わあ、何これ! って人が笑ってくれたら嬉しい」と話す昭乃さん。まさしく、笑う門には福来る、ですね。

●福カフェ
所在地:高崎市連雀町106 大手前ビル101
電 話:027-395-4329

志尾 睦子(しお むつこ)
群馬県立女子大学在学中にボランティアスタッフとして高崎映画祭の活動に参加。群馬県内初のミニシアター「シネマテークたかさき」の総支配人を務めると同時に、日本を代表する映画祭である高崎映画祭総合プロデューサーとして活躍。