ビジネスパーソンにお薦めするこの1本 No.27

インターステラー

志尾 睦子

2014 アメリカ=イギリス 169分
監督:クリストファー・ノーラン
出演:マシュー・マコノヒー/アン・ハサウェイ/ジェシカ・ チャスティン

相対論的宇宙論に学ぶ、生きる姿勢

 今年も梅雨の時期がやってきました。うららかな春から太陽が照りつける暑い夏になる間の雨季は、日本の風土を守る大切な季節です。今年は穏やかに梅雨らしい梅雨になってほしいと、この数年毎回願っている気がします。情報が多分に入るようになったことも手伝って、「異常気象」時代に突入している実感があり、人類が生きられなくなる時代がやってきてしまうのだろうと想像もできます。この先の人類のために、今を生きる自分たちが何をするべきなのか、とこのところ強く思います。肌身で感じる環境の変化だけではなく、それを裏付ける情報やデータ、そして予測可能性がみえるからこそ、自分で考え実行することができる時代になったとも言えます。
 少し大きな話から入りましたが、これは身近なことにも応用ができます。仕事をする上でも数年先、十数年先を見越して今を積み上げていくことが大事です。そして過去に学ぶことで未来は開かれていき、あきらめない力が不可能を可能にすることもあります。今回はそんなアプローチで楽しめる超大作をご紹介します。
 舞台は異常気象で人々の暮らしが脅かされた近未来です。トウモロコシ農場を営んでいるクーパーはある日、前職場に呼び出されます。彼は数年前まで宇宙飛行士で優秀なエンジニアでした。人類滅亡を救うためのラザロ計画が秘密裏に遂行されていたNASAで、この計画にクーパーの力が必要とされたのです。ラザロ計画は、やがてくる地球消滅に備え、人が生きられる惑星を探しそこへ人類を移住させるというもの。クーパーの任務は、すでにいくつかの惑星に渡っている調査部隊の元へ行き、その実態を追調査する事。いつ帰ってこれるかもわからない任務を前に、幼い子どもがいるクーパーは非常に悩みます。しかし人類の、そして愛する子ども達の生命を守るため、彼は決心し宇宙へと旅立ちます。
 ブラックホール、ワームホール、五次元や相対性理論など、科学的根拠を元に綿密に練られたストーリーは知識の蓄えともなり勉強になります。2017年にノーベル物理学賞を受賞した、重力や相対論的宇宙論の権威であるキップ・ステファン・ソーン氏が製作総指揮に関わっているため本格的です。地球の今がどうなっているか、そこに対して人類は何を考え何ができるのか。
 科学的根拠とそれでは説明できない人間の感知能力双方がドラマチックに描きこまれていきます。映像表現も素晴らしい見応え十分なSF超大作です。

高崎商工会議所『商工たかさき』2019年6月号

志尾 睦子(しお むつこ)
群馬県立女子大学在学中にボランティアスタッフとして高崎映画祭の活動に参加。群馬県内初のミニシアター「シネマテークたかさき」の総支配人を務めると同時に、日本を代表する映画祭である高崎映画祭総合プロデューサーとして活躍。

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