志尾睦子の映画づくし15
天気の子
志尾 睦子

2019 114分
監督:新海誠
声の出演:醍醐虎汰朗/森七奈/他
小さな想いが天気(世界)を変える
新緑の季節が過ぎると梅雨が来ます。梅雨と聞くと、じめじめした、という形容を思い出す人も多いのではないでしょうか。どちらかというとマイナスなイメージがついて回りそうですが、個人的には、傘をさして歩くことで見えてくるちょっといつもと違う景色はとても好きです。雨の季節独特の空気感には、気持ちを落ち着かせてくれる力もある気がします。とはいえ、雨が続き過ぎると、撮影などでは困ることも多いので、ちょうど良い感じで、季節が穏やかに過ぎていってくれるのを願いたくもなります。勝手なようですが、天気と仲良くなれたらいいなとも思うわけです。ということで、今回は天気をテーマにした作品をご紹介します。
離島で生まれ育った少年・帆高はある事情で家出をし、東京で暮らす決意をしました。年齢を詐称してアルバイトを探すもうまくいかず所持金が減っていくばかり。ある日帆高は、東京へ来るフェリーで出会った編集者・須賀を頼り、オカルト雑誌のライターを始めます。最初の仕事は、雨が降り続く東京で、一時的に天気を晴れにしてしまう「晴れ女」の取材。そんな中、帆高は偶然出会った少女・陽菜が、祈ることでその場を晴れにできる力を持っていることを知ります。弟の凪と二人きりで生活する陽菜が経済的に困っている様子を知った帆高は、「晴れ女」の力を使ったビジネスを一緒にやろうと持ちかけます。
帆高と陽菜は順調に仕事をこなし、雨で困っている人たちを助けていくのですが、次第に依頼が殺到していきます。処理が追いつかなくなると判断した二人は少し休むことを決めたのですが、実は力を使い続けてきた陽菜の体にも異変が起きていました。
陽菜の体と空がつながっている、その事実を前に戸惑いながら、帆高もまた逃げてきた過去と向き合うタイミングに来ていました。捜索願の出た家出少年と、保護者がおらず子どもだけで生活する姉弟の元に、警察がやってきます。自分達を守るため、帆高たちは3人でその場を逃げ出すのですが、ある夜陽菜は忽然と姿を消してしまうのでした。そして長く続いた雨が上がり晴天になった理由を知る帆高は、陽菜を探しにいくのですが……。
雨の龍神と、晴れの稲荷神、飄々と生きる須賀に隠された過去、誰かの想いを叶える天気と、誰かが受け入れざるを得ない代償。ファンタジーでもありますが、身近に感じられる感覚がありました。
雨が降り注ぐ街の空を、ゆっくり眺めたくなりました。
- [次回:83歳のやさしいスパイ]
- [前回:イル・ポスティーノ]












