志尾 睦子の映画づくし18
ファンタスティック Mr.FOX
志尾 睦子

2011 監督・製作・脚本:ウェス・アンダーソン
声の出演:ジョージ・クルーニー/メリル・ ストリープ/ジェイソン・シュワルツマン/ ビル・マーレイ/他
ファンタスティックな日々を送るには
暑さ寒さも彼岸まで。この言葉が通用しなくなる時代に突入していくのを感じる今日この頃。今年も暑さはしばらく続きそうですが、とはいえ、夏祭りが終わると気分は自動的に秋の気配を察知したくなります。気候は追いつかなくても秋という気分には十分に乗って、少し落ち着き思慮深く物事を深めるタイミングにしたいなと思っています。
秋の夜長といえばやはり映画を堪能したいところです。気分を変える、という意味でもちょっと風変わりなものを見てイマジネーションをさらに広げていくのはどうでしょうか。今回はそんな視点で、とびきりの映画をご紹介したいと思います。
イギリスの作家ロアルド・ダールの児童文学「父さんギツネバンザイ」を原作にしたストップモーションアニメです。コマ取りと言われる手法で、人形を動かしていくものですが、キャラクターの造形にもぜひ注目してみて頂きたいと思います。
スポーツ万能で粋なワルを自称するMr.フォックスは、人間たちの里に出ては食料を盗んで日々を生きていました。そんなある日、恋人の妊娠を知り一念発起。静かに人里離れた地下暮らしを決意します。こうして結婚を機に家庭を持ったMr.フォックスは一男・アッシュにも恵まれて日々を穏やかに暮らしていました。でも。何かが足りない。そんな気分に駆られることも。
そうして日が過ぎ、Mr.フォックスは丘の上に新しい家を建てることにしました。見晴らしがよく、久々に人間たちの様子が目に入ってくると、かつての思い出と共に内なる野生の魂がうごめくようになりました。甥っ子のクリストファソンもやってきて、フォックス家は新しい家での生活が始まるのですが、Mr.フォックスだけは日毎に野生としての欲求を抑えられなくなってきて、人間たちの里に盗みに入るようになります。
こうなってくると人間たちも黙ってはいません。盗みにくるキツネやその仲間の動物たちを捉えようと、彼らの住む丘を根こそぎ掘り返すという反逆に出ます。Mr.フォックスたちは再び地下に追いやられてしまうのですが、ファンタスティックに生きたいと願うMr.フォックスは、仲間たちと共に、野生の本能と誇りをかけて人間たちと戦うことを決意するのでした。
Mr.フォックスだけでなく、妻や息子のアッシュ、甥のクリストファソンそして個性豊かな仲間たち、それぞれが風変わりで魅力的です。自分はこうありたいという強い想いが道を開き、事態を前に進めていくのだと伝わる快活な一作です。
- [次回:オットーという男]
- [前回:あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。]












