143.橋の風景から29

―共栄橋―

吉永哲郎

 倉賀野町と阿久津町の間を流れる鳥川に架かる橋です。昭和7年(1932)に木橋が架設するまで、渡船と仮橋で川を渡っていました。その後昭和32年(1947)にコンクリート橋に。この橋は橋梁構造では県下最長のゲルバー桁橋です。倉賀野側は倉賀野河岸跡で、その小公園に河川の由来の石碑、横浜の生絲貿易商廻船問屋飯塚某の船着帳場があったことを示す「船着銘石」などがあり、橋以前のこの辺りの賑わいを想像させられます。橋上から西に遠く妙義山や浅間山が、南は多野の山なみが眺められます。橋下の川原には季節になると月見草が沢山咲きましたが、今はあまり見かけなくなりました。この月見草は帰化植物の一つで、横浜港から河岸に運ばれる荷物についていた種が落ち、自然に広がったシルクロード・ロマンの花ではと、思っています。またポール・ブリュナが富岡製糸場へ赴任するときに、妻エミリの弾くピアノがこの河岸経由で富岡に運ばれたのかもしれないと、往時の河岸風景を様々に思いやります。阿久津町側の橋から、上流の長い堤があり、大阪河口淀川の左岸毛馬堤を思わせ、与謝蕪村『春風馬堤曲』の「春風や堤長うして家遠し」の句が浮かんできます。下流の鏑川沿いに続く堤は、富岡へ向かうフランス人工女のパラソル姿が見え隠れしています。共栄橋界隈は様々な幻想を描ける、抒情豊かな空間で、春先の恰好の散歩道。

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