152.橋の風景から38

―入野橋―

吉永哲郎

 上信線馬庭駅から次の吉井駅へと向かう電車は、すぐに鏑川の鉄橋を渡ります。この鉄橋のすぐ下流に渡し舟がありました。県道下栗須・馬庭停車場線に昭和8年、鏑川北岸馬庭と南岸旧中島村とに架けられた橋が、現在の入野橋です。その後、昭和10・22年に流失しましたが、その都度木橋が再建されました。重量制限の粗末な木橋でしたが、昭和44年に長さ198メートル、車幅6メートル、歩道幅2メートルの現在の橋になりました。橋下流に旧橋の名残が川床にあります。
 今では口にする人が少なくなりましたが、この橋は名作映画のロケ地として知られていました。山本有三の小説『路傍の石』(昭和12年)が昭和38年に映画化され、そのロケ地に旧入野橋が選ばれたのです。淡島千景・中村賀津雄らが来られました。俳優さんたちの身支度は、馬庭駅前の梅山宅が使われ、ロケ中は有名女優さんを一目見ようと、近くの人が大勢集まったと伝わっています。このロケを見学した人、今は少なくなったと思われます。
 ここがロケ地として選ばれたのは、入野橋付近の風景、とりわけ橋上からの浅間・妙義を背景とした夕陽の光景が素晴らしいことからといわれます。映画でもこのたそがれ時の入野橋が、目を奪われる程美しく映像化されていました。さて、暮れるに早い秋、そのひと日の夕陽のドラマを、よき人とこの橋上で、ご鑑賞下さい。心に余裕を…。

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