161. 「高崎唱歌」

散歩風景⑤

吉永哲郎

「高崎唱歌」第五番は「春は藤波秋は月 眺めもさえて烏川 橋を渡りて観音山 四時の散策此の処」、第六番は「茲にしばらく憩ひつつ 今来し方を見渡せば 数万(すまん)のいらか立ちならび 景色ぞいとど優(まさ)りける」と詠まれています。「観音山」は白衣観音ではなく、清水寺のこと。とすると石段を昇り、清水寺本堂前の拝殿からの風景を詠んでいることと思われます。この五、六番の唱歌からは「清水寺石段散歩」に誘われます。現在、石段を昇る参詣者の姿はあまり見られませんが、古く観音信仰と景勝の地として賑わっていました。特に、旧暦十月十日夜の十(とお)日夜(かんや)には、秋の収穫祝いと来年への五穀豊穣・養蚕倍増の予祝行事とが重なって、埼玉・新潟からの多くの参詣客があり、清水寺付近の大農家は臨時のお籠宿となり、遠来の人を接待したと伝えられています。ふと「あっしら、十日夜で縁ができたようなものよ。くせぇ夫婦なんだよ」と笑いながら語った老夫婦の話を思い出しました。この夜は自由に逢引ができる夜、これぞと思う娘を誘い追いかけ、時に暗い田圃の「肥溜」に二人が落ち、とんでもねぇ夜になった若者も。「それこそクセェ仲さ」と先の老夫婦の仲のよさ。さて、大正期の「群馬郡誌」に「眺望絶佳、銀河の如き烏川を隔てて高崎市を俯瞰し、…筑波の高峰を望む」とあります。現在でもよく晴れた日には筑波山の姿を認められます。石段の紫陽花が咲き誇りますと、古都鎌倉のアジサイ寺を思わせます。

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