古典花木散歩

13 ・うめ

吉永哲郎

梅は桜と比べると、開花の期間がとてもながい。緯度や土地の高低さもありますが、一月なかばに咲き出しても、桜の咲き出す頃まで、梅の盛りは続きます。
旧暦でいいますと、三月は晩春です。今の三月は春たけなわの季節。晩春の言葉の響きには違和感を覚えます。それにしても正月から三月にかけて、高崎の近郊、榛名山麓に際立って咲きほこる花の木は、梅と桃がシンボル的存在となっています。
梅は、奈良時代に中国から舶来したといわれ、万葉集には119首の梅の花の歌が載っています。ご存知「令和」は、大宰府の長官大伴旅人の官邸で開かれた梅花の宴をもとに命名されました。
大伴家持に「わが園に梅の花散るひさかたの天より雪の流れくるかも」という梅の歌があります。散る梅の花びらは、天空から舞い下りてきた雪かも、と詠んでいます。白梅は別名「好文木(こうぶんぼく)」ともいいます。中国の普(しん)の武帝が学問に親しむと梅が開き、怠ると開かなかったという故事をもとに、つけられた名ですが、白梅は中国文化のシンボルとして、万葉人は慣れたようです。菅原道真を祭神とする京都の北野天満宮には、梅が約1500本も植えられ、道真の命日2月25日には「梅花祭」が行われます。こうした古代の人々の梅への憧れの心は、入試合格を祈る天神様参りに重なり、梅と学問のつながりを思います。今春はどこの天神様へお参りしますか。

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