古典花木散歩

14・うめ②

吉永哲郎

白梅を万葉人はとても愛し、己の学問のありようを、我が庭の梅の咲き具合に重ね、鑑賞していました。まだまだ学ばなければと、花の姿に己をみたのかもしれません。万葉時代は白梅が歌によく詠まれていますが、紅梅が文学作品に登場するのは、平安時代になってからのようです。清少納言の『枕草子』に「木の花は、濃きも薄きも紅梅」とあります。今回は「源氏物語」の紅梅に関して触れたいと思います。
源氏物語には巻名をはじめ、物語の重要な場面に紅梅はよく描かれています。零落の姫君末摘花は、鼻の端が赤く、ひどい扱いを受けていました。その姿に光源氏が初めて接する時、紅梅が咲いていました。本文を少し紹介しましょう。
日のうららかなるに、いつしかと霞わたれるどもの、心もとなき中にも、梅は気色ばみほほ笑みわたれる、とりわきて見ゆ。
階隠(はしがくし)のもとの紅梅、いととく咲く花にて、色づきにけり。
紅の花ぞあやなくうとまるる梅の立ち枝なつかしけれど
霞がたなびきはじめると、梅の花が咲き始め、その中でも特に早咲きの紅梅が注目されています。その紅梅については次号で…。

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