「音楽センターと新ホールは切り離して考えたい」と高崎市

(2008年9月25日)

 高崎市は十日の高崎市議会一般質問で、高井俊一郎議員の質問に答え、群馬音楽センターと新たな芸術文化ホールについて、考えを示した。

 群馬音楽センターは、「ときの高崎市民之を建つ」の碑に刻まれるとおり、市民の浄財を集め、昭和三十六年に建設された。建設費は約3億3500万円のうち、寄付金は1億円で、3500万円の浄財が市民から寄せられた。高井議員は「現在に換算すると総工費は480億円、市民の浄財は2億円に及ぶ」と群馬交響楽団を軸にした当時の高崎市の偉業を振り返り、音楽センターの現状について、市の見解を求めた。

 平成四年の調査で、厚さ十数㎝のコンクリート壁は、4㎝ほど劣化が進行している。舞台の天井高が低く、舞台装置が大型化しているポピュラー系公演が難しい。音楽センターの残響時間は1・3秒で他ホールよりも短く、いわゆる「音が悪い」と言われる原因になっていることなどが市から報告された。耐震性は平成八年の調査で、「問題はないが、将来的には留意する必要がある」と指摘された。

 音楽センターの設計は、建築家アントニン・レイモンドであり、国際学術組織docomomoによって日本の近代建築二十選に選ばれるなど、世界的な評価を受けている。高崎市は「保存活用のため、高崎市都市景観重要建築物第一号に指定した。国内外から価値を認められ、視察、見学も多い。都市の格調を表している。都市計画、都市景観の観点からも慎重に考える必要がある」と考えを示した。

 一方、新しい芸術文化ホールの建設は、高崎市の都市戦略の上で極めて重要であり、第五次総合計画で位置づけられている。音楽センターを改修について市は「二年ほど必要。群馬交響楽団や市民の文化活動への影響は否定できない」、音楽センターを解体し跡地に新ホールを建設することは「市民に愛されている音楽センターを取り壊し、建て替えるには課題が多い」など説明。音楽センターが無くなることは本市の文化活動に空白期間が生じることを懸念した。その上で新ホールは「別の場所を選定し、規模、機能を設計していくことがスムーズに進む」とした。

 音楽センターを現状のまま手を加えずに使い続けるのは難しく、早晩、改修の必要がある。高崎市は、「新ホールの整備は市民の理解を得られるはず。音楽センターと切り離して考えたい」と、方向を明らかにした。また、音楽センターの維持を主旨に「ふるさと納税」を訴え、基金を集めることも可能だと言う。

 高井議員は「音楽センターの問題は、音楽ホールだけの議論にとどめず、市民と一緒に考え、これからの高崎市のあり方を創造していくことが大切。市民の溢れる活力が高崎を方向付けていく。ただ音楽センターを残すというのは無責任。覚悟をもって真剣に考えよう」と呼びかけた。

 十月十四日午後七時から音楽センターで、高崎青年会議所主催シンポジウム「音楽センターから考えよう」が行われる。大宮登・高崎経済大学副学長、熊倉浩靖・NPOぐんま代表、信沢卓・群馬建築士会高崎支部長が鼎談。入場無料。定員1932人。問い合わせは同所361・7604。

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