第32回高崎映画祭受賞者発表

(2017年12月28日)

最優秀作品賞「エルネスト」

第32回高崎映画祭の受賞者と日程が20日に発表された。日程は平成30年3月24日(土)から4月8日(日)の16日間で会場は高崎市文化会館、高崎シティギャラリー、高崎電気館、シネマテークたかさき。授賞式は平成30年3月25日(日)群馬音楽センターで午後4時から行われる。

授賞式チケットの発売、上映作品は2月上旬に発表される予定。

 

 

●最優秀作品賞

『エルネスト』阪本順治監督・スタッフ・キャスト一同

受賞理由=キューバ革命の英雄、チェ・ゲバラとともに革命に散った日系人フレディ・前村・ウルタードの人生をひも解いていく。歴史的事実の内側にいた一人の青年が、どのように世界を見つめ、人生を歩み、命を燃やしたのか。

丹念な調査は当然のことながら、かの時代に向き合い、歴史的意味をもう一度現代へ投げかけんとする製作者の意思が見て取れる。丁寧で実直な映画である。

革命に命を燃やした青年の生にも、青春の煌めきが宿る。鋭い洞察力に裏打ちされた堅調な時代背景があってこそ、細やかで繊細な人物描写が生きてくる。ここには人間の尊厳が描かれている。戦火に散ったものたちの命が犠牲で終わらないために、力を尽くした映画といえよう。その果敢な挑戦と、真摯な映画製作に称賛の声が集まった。

 

●最優秀監督賞

『海辺のリア』小林政広監督

受賞理由=演劇に映画に活躍し、その一時代を築いた往年の大スターの、寄る辺ない人生の終焉を描く。わずか一日の、非常に限られたシチュエーションの中で、一人の人間が歩んできた人生を走馬灯の如く観客の脳裏に焼き付ける。観客の眼前に広がる画面に、その一部始終が切出てくることはないのだが、それは頭の中にくっきりと刻まれる。対峙する人物たちの対話、自然と人間との対話が、圧倒的な映像力で研ぎ澄まされ、立体感を帯びてくる。映画とはかくも自由で、広がりのある、豊かなものであったのかと驚愕した。追随を許さない独自の作家性と演出力が高く評価された。

 

●最優秀監督賞

『映画 夜空はいつでも最高密度の青色だ』石井裕也監督

受賞理由=現実の厳しさに押しつぶされそうになりながら、どうにか自分で歩を進めようともがく若者たち。彼らが内に秘めていた感情は、言葉という装置を使うことで、とめどなく流すことができる。それが生きる力になることを、この映画はそこはかとなく教えてくれる。現代社会と若者たちの関係性を掘り下げながら、彼らの眩い時間を詩的世界観で浮かび上がらせている。その美しくしなやかな映像表現と演出力に、才気あふれる歓声が見て取れ、称賛の声が集まった。

 

●最優秀主演女優賞

満島ひかり『海辺の生と死』

●最優秀主演男優賞

仲代達矢『海辺のリア』

●最優秀助演女優賞

黒木華『海辺のリア』

●最優秀助演女優賞

岩井堂聖子『真白の恋』

●最優秀助演男優賞

池松壮亮『映画 夜空はいつでも最高密度の青色だ』

●最優秀新進女優賞

佐藤みゆき『真白の恋』

●最優秀新進男優賞

岡山天音『ポエトリーエンジェル』

●最優秀新人女優賞

石橋静河『映画 夜空はいつでも最高密度の青色だ』

●新進監督グランプリ

『真白の恋』坂本欣弘監督

●ホリゾント賞

『人生フルーツ』伏原健之監督製作スタッフ一同

 

 

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