第14回吉野秀雄顕彰短歌大会優秀作品

(2015年12月29日)




7700首の応募

 第14回吉野秀雄顕彰短歌大会授賞式が19日に高崎市総合福祉センターで行われた。今年は、昨年を1500首上回るおよそ7776首の短歌が応募された。小学生から大学生までの学生の部は広がりを見せ、アメリカのワシントン日本語学校からも日本文化の学習の一環として応募があった。小学生2555首、中学生2914首、高校・大学2128首、一般184首となった。
 最高賞には一般の部=井田徳子さん(高崎市)、学生の部=五十嵐大河君(矢中小)、宍戸多恵さんの作品が選ばれた。
 
第14回吉野秀雄顕彰短歌大会主な優秀作品
●吉野秀雄賞
子の妻となる娘(こ)が明日やってくる夫は理容に吾はケーキ屋に
井田徳子
おどろいたにぎりかえした手の強さ点滴だらけの病床の祖父
五十嵐大河
鈍行の電車の窓から見る景色凹凸(おうとつ)減ってただいまふるさと
宍戸多恵
 
●高崎市長賞
「おとおとのびょうきがなおりますように」短冊十枚十枚ながら
渡部愛子(新潟市)
一人旅夏の終わりの大冒険息をひと吐き改札抜ける
近藤征海(片岡中)
青空に稜線きわだつ赤城山将来(さき)の見えない心もハレる
笹川和希(高崎健康福祉大学)
 
●高崎市議会議長賞
願ふことなしと書かれし短冊あり介護施設の七夕飾り
茂木豈久子(伊勢崎市)
夏の夜遊びつかれて帰る時川のほとりのほたるの光
長嶋莉子(箕郷東小)
夏休み君と歩いた抜け道は帰ってみると跡形もなし
一場喜允(高崎商業高校)
 
●高崎市教育長賞
七十年逝きて鎮まる忠霊塔ひとり詣づる白髪の遺児
金井晶子(高崎市)
夜行バス単身赴任父の背がさみしくみえるでもがんばろう
豊田未来(西部小)
背が伸びて母さん越えて気付いたよ黒髪混ざる白髪の量
田中美羽(高崎健康福祉大学高崎高校)
 
●高崎市文化協会長賞
一台も車見えぬに信号の青になるまで母と子は待つ
松田容典(和歌山市)
振り抜いた人生初の三塁打次に目指すはあのホームまで
関優真(榛名中)
自転車で風切り進む通学路あいさつ交わし広がる笑顔
髙橋真帆(高崎商科大学附属高校)
 
●県歌人クラブ会長賞
点滴を一滴二滴と数えつつ手術迫りて妻の手握る
高橋伸治(榛東村)
颯爽とモーターボートの水しぶき友と遊んだ夏の野尻湖
塚越隆一郎(片岡中)
「若くって楽しいでしょう」と問う人にうまく笑えず電車を降りる
森永理恵(岡山大学)
 
●ラジオ高崎社長賞
嫁ぎ来て袖を通さぬ銘仙の着物まとへば母の移り香
木村あい子(伊勢崎市)
従弟来て可愛さよりも大変さ週末だけで痩せた気がする
佐藤小春(群馬中央中)
満月というレントゲン嘘ひとつ君の翳りを見透かしていた
藤原麻衣(実践女子学園高校)
 
 
受賞者の声
【一般の部】
井田徳子=この度、第14回吉野秀雄顕彰短歌大会に於いて吉野秀雄賞を頂きまして、誠に光栄に存じます。嬉しさもさることながら、身の引き締まる思いで一杯です。私のお世話になっている短歌会は地味で会員の生活詠を主に取り組んでいるので、自ずと私の短歌も生活中心になっています。私の今回の受賞作ですが、諦めていた四十代の末の息子が突然結婚相手を、つれてくると言った時の気持ちを詠みました。

【学生の部】
五十嵐大河=ぼくが6年生になってすぐ、祖父が入院してしまいました。集中治療室のベッドの祖父は、たくさんの機械に囲まれ、体中に点滴の管がささっていました。口には酸素マスクをつけていたので、話す事はできませんでしたが、「おじいちゃん。」と声をかけると、ぎゅっと手を握り返してくれました。今は手術が成功し、リハビリに励んでいる祖父に、受賞を報告し、一日も早く元気になってもらいたいです。
宍戸多恵=サークルの活動として大会の応募用紙を受け取つたとき、正直参加するかどうか悩みました。短歌について何も知らなかったからです。本などで作品を見ていくうちに、少ない文字数で読み手の想像をかきたてる短歌の奥深さに魅力を感じました。短歌と出会うきっかけだけでなく、このような賞まで頂くことができてとても嬉しく思っています。まだ短歌に触れてからの時間は短いですが、これからも自分なりの作品を作っていきたいです。

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