市長・会頭新春特別対談

  • 富岡賢治・高崎市長富岡賢治
    高崎市長
  • 原浩一郎・高崎商工会議所会頭原浩一郎
    高崎商工会議所会頭
  • 司会/二居野未来司会/二居野未来
    (ラジオ高崎)

(この対談は平成27年1月1日放送の補筆採録です。文責:編集部)

二居野: 新年あけましておめでとうございます。ラジオ高崎特別番組として富岡賢治・高崎市長と原浩一郎・高崎商工会議所会頭にお話しをうかがいます。

富岡賢治市長: あけましておめでとうございます。高崎がいよいよ発展し、人、もの、情報、お金が流通し、集積するまちになっていくと思います。チャレンジ精神に燃えてみなさんとがんばっていこうと思います。

原浩一郎会頭: あけましておめでとうございます。お揃いで輝かしい新春をお迎えのこととお慶び申し上げます。

高崎の拠点性が高まる年

二居野: 昨年2月、高崎玉村スマートICがオープンしました。東毛広域幹線道路も開通し、高崎の中心地域の利便性が更に向上しました。人や物の流れがスムーズになっただけではなく、ますます拠点性が高まったのは間違いありません。いよいよ3月には北陸新幹線が開業します。金沢や富山に出かけるのを楽しみにしている人も多いのではないかと思います。また、高崎線の起点が上野駅から東京駅になり、高崎から東京まで在来線でも乗り換えなしで行けるようになります。古くから交通の要衝であった高崎の魅力を肌で感じられ、ますます拠点性が高まりつつあることについて、お考えをお聞かせいただけますでしょうか。

富岡市長: 高崎は昔から商都と言われていたでしょう。原会頭がいつもおっしゃっていますけれど、高崎は農工商のバランスがとれたまちで、中でも特に商業は、都市別のランキングで卸と小売りの売上が日本で14位の都市です。高崎は中核市ではトップ、政令指定都市が20ありますから、その中でも真ん中くらいの順位です。その上、工業は食品を中心に優秀な企業が集積している都市です。農業はすばらしい野菜や果物が採れ、農工商が発展ができるまちです。更に交通の要地で、昔から利便性が高い。大変、希望の持てるまちだと私は思っています。こうしたことを生かして高崎を発展させていきたいと思っています。
 一例を挙げますと、高崎玉村スマートICが開通し、初めは3千台から4千台弱の利用台数と言われていたのが、実際はその倍くらいの交通量があります。スマートICに19万坪、64ヘクタールの新しい産業団地を造る構想を進め、昨年に企業の受付を行いました。予定の1・5倍の企業からエントリーがありました。産業が集積する機運がみなぎっている感じがします。ありがたいことです。

二居野: ますます発展を遂げる種まきの段階が終わり、芽が出るのが本当に楽しみです。

原会頭: 市長からお話しがありましたが、私も高崎は農工商のバランスがとれた都市だと思っています。産業のバランスという意味でも群馬県では一番の都市だと感じています。高崎は内陸の中で新幹線や高速道路の結節点となっており、全国を見ても高崎のような都市はほとんどないわけです。都市集客戦略に結び付けようと、市長を始め努力をしています。新体育館の建設、文化芸術センターの設置、スマートIC周辺の18万坪に及ぶ産業団地の造成、また高崎駅西口には大型商業施設が進出しますし、競馬場跡地では県が主体でコンベンション施設の計画が進んでいます。挙げればキリがないほど、いろいろなことが動き出しています。4、5年後には高崎市がまた大きく様変わりし、上信越と首都圏を結ぶ大きな役割を担う都市になると期待しています。

富岡市長: 会頭は、農工商に更に文化を加えられ、私もなるほどと思いました。農工商、文化がバランスよく発展するまちと原会頭はお話になっていますね。産業だけではない。高崎が活躍できる気運が出てきています。高崎駅の周辺に新しい体育館をつくりますが、スポーツでは、大きな大会は高崎はとばされていたんです。同時に試合ができないので県大会の予選ができないのです。音楽でも同様です。市民の努力で建設した音楽センターがあり、音楽センターは大切にしますが、音響の問題や舞台が小さいこと、設備が如何ともしがたい状況で、残念ながらポピュラーコンサートは高崎で行われなくなっているのです。高崎を文化でも中核的なまちにしようと体育館をあと2年でつくりますので、世界大会もできるまちになります。体育館が完成したら東口に音楽ホールの文化芸術センターをつくります。高崎は大いに気合を入れてがんばろうと思います。

高崎に人が集まる魅力づくり

二居野: 来年、2016年のオープンに向けて、新体育館の建設が昨年の7月にスタートしています。合気道の世界大会開催が決定したとのニュースも入ってきて、私もワクワク心待ちにしています。平成30年にオープンを予定している高崎市文化芸術センターの建設も順調に準備が進んでいることと思います。高崎駅西口にイオンが建設されることになり、ビブレや長谷川ホテルが解体され、新しい高崎駅前として生まれ変わることが実感されるようになっています。このような施設ができることで、高崎がどのように進化していくのか、新しいまちづくりの可能性について改めてお考えをお聞かせ願いたいと思います。また、課題などもありましたら、合わせてお聞かせください。

富岡市長: 人が集まるためには、やはり、仕掛けを作っていかなければなりません。文化面も含めて、仕掛けとなる大型プロジェクトを進めています。新体育館が年間に60万人、文化芸術センターも60万人、イオンが1千万人の客を集めると言われています。文化芸術センターには商業エリアも設けますから、3百万人から4百万人が見込めるでしょう。スマートICの産業団地、群馬県が競馬場跡地に建設するコンベンションホールも合わせると、今よりも1500万人の流動人口が増えると思います。また、富岡製糸場が世界遺産になり年間に100万人を超える来場者となっています。高崎駅を経由されるお客様も多いでしょう。こうしたお客様を高崎のまちなかに来てもらえるようにしていきたい。これは知恵が必要です。官民が力を合わせてまちを魅力あるものにしようと努力しています。問屋町にも新しいホールができ、産業の各分野の催しが人を集めています。いろいろな仕掛けが揃ってきました。

原会頭: 3月14日から北陸新幹線が金沢まで延伸されます。高崎から金沢まで、新幹線駅が13ありますが、その沿線都市が集まって「北陸新幹線沿線民間交流会議」が組織されました。黒部の宇奈月温泉で会議が行われました。私たちは驚いたのですが、他の都市から見ると高崎は、我々が感じている以上に上信越、北陸との結節点として機能を持ち、期待が大きいですね。会長を高崎につとめてほしいというので、お引き受けいたしました。富岡市長と力を合わせ「かがやき」が停まるように働きかけたいですね。

富岡市長: 市民の皆さんにも申し訳ないと思います。北陸新幹線の最速便「かがやき」が高崎に停まらないので愉快ではないのですが、そうしたことを乗り越えていこうと思います。

二居野: 高崎への企業誘致をはかるビジネス誘致キャンペーンや中心市街地の活性化事業は既に大きな成果を上げています。また、高崎市の商工業者へのサポートは非常に充実していて、他の市町村の業者の方がうらやましがるという話も聞いています。

原会頭: 全国どの都市に行っても共通の課題が中心市街地の活性化です。みんなが悩んでおり、正解を見つけ出した都市はありません。高崎も同様ですが、高崎市は昨年3月に内閣府の第二次中心市街地活性化基本計画の認定を受け、事業が進展しています。高崎商工会議所も即応して中心市街地活性化協議会をつくり、力強く後押しをしています。高崎は、進んでいるかなと自負もしています。高崎商工会議所も市長の理解を得ながら、まちなかの回遊性の向上、新たなにぎわいの創出をめざした高チャリ、高カフェ、高崎バル、高崎商都博覧会、高崎まちなか音楽活動など、いろいろな事業を組み合わせながら回遊性の向上をはかっていきたいと考えています。
 イオンの話がありましたが、既に中心市街地から、駅周辺だけでお客様が帰ってしまってまちの方に来ないのではないか、中心市街地の商店街が厳しくなるのではないかと心配の声もあります。イオンの集客効果を中心市街地全体に波及させるかを狙い、会議所が中心になり、イオンにも加わってもらい「高崎まちなか回遊性向上検討懇談会」をつくりました。既に1回目の懇談会を開催しています。懇談会には地元商店街、既存の大型店ほか各団体に入っていただいています。高崎全体の活性化のために、何でもやっていこうという気持ちです。

富岡市長: 会頭からお話しがありましたように、地方都市の中心市街地の商店街はシャッターが降りてしまってと、全国で同じことが言われています。毎日、人が来るようにするには知恵を出さなければなりません。行政がお客様を無理やり連れて来ることはできませんから、やはりまちを魅力的に、個々の商店を魅力的にしていくためには、市もお金をかけなければならないと思っています。数年前から商店をリニュアルして魅力あるものにしようと支援する制度を作り多くの利用をいただいています。店を魅力的にし、新しいお客を呼べるようにしてほしいと、市も努力をしています。会頭が言われたまちなかの回遊性を確保するために官民が知恵を出していかなければなりませんね。しかし、まちを訪れるお客様の絶対数が必要です。イオンに客を取られてしまう心配はありますけれど、逆に言うとイオンの1千万人が来なかったら、今のままの人数しかまちを歩かないわけですから、積極的に打って出ないといけないでしょう。1千万人をまちなかに流すようにするためには、魅力のある店をつくる、魅力のある通りをつくることに精を出したいと思っています。
 高崎商会議所と高崎市役所は、今、とても仲良く、同じ方向で取り組んでいます。他のまちからうまくやっていますねと、よく言われます。

原会頭: 県の方からも高崎はうまくいってますねと、おほめの言葉をいただきます。富岡市長に理解していただいているからで、感謝しています。まちなかコミュニティサイクル「高チャリ」は高崎方式として有名になり、色々なところから視察に来ます。100円を入れて乗って返すと戻ってくる。無料で使えて確かに一番簡便な方法です。

富岡市長: 自転車を盗まれないようにするため、事前の申し込みなど管理を強めるとうまくいかない。高崎はまだ一台も盗まれていないそうですね。とても工夫されて自転車がカラフルで盗まれにくいようです。

高崎商工会議所120周年

二居野: ちょっとした工夫で、皆さんが便利に快適に使えるシステムが作れるということですね。今年は高崎商工会議所が120周年を迎えるということで、原会頭から一言お願いいたします。

原会頭: 振り返って見ると、明治28年11月18日に高崎商業会議所として開設されました。県内で1番でしたが、関東で6番目、全国でも33番目の大変早い設立でした。今年は120周年の冠を付けて大々的に事業を行いたいと思います。記念式典、記念大会は11月19日に実施する予定です。主な事業では、高崎物産フェスタイン東京を3月6日、7日に東京駅地下2階で開催する予定です。国の採択を受け、高崎市と連携して行っていきます。今年も官民を上げてがんばっていきたいと思っています。

富岡市長: 全国の商工会議所が集まるということも聞いています。

原会頭: 毎年、日本商工会議所が全国で移動常議員会を行っていまして、いよいよ群馬県でということになり、6月に高崎で開催されることになりました。全国から300人が参加します。波及効果もあるように計画しています。

富岡市長: ありがたいことです。

二居野: 着実に一つひとつ積み重ねてきた成果が実を結んできているんだなと実感するお話ばかりと思いました。2015年も輝かしい光が私たちの住む高崎に降り注ぐのではないかと思います。今年、取り組んでみたいこと、挑戦してみたいことがうかがっていきたいと思います。

富岡市長: 私の夢、なりたいことがあります。高崎の若い女の子が買い物にどこに行くか、大宮に行くと言うのです。私の世代では買い物は高崎だった。本庄や深谷からも高崎に来ていました。今、なぜ大宮なのでしょう。まちが動いていて新しい雰囲気がしているんですよ。駅を降りて、スタジアム、新しい建物ができ、イメージが定着したのだと思います。私の抱負は、高崎に引き戻すことです。高崎にアウトレットを作ってブランドを並べるということではありません。軽井沢のアウトレットに行くのはまちがカッコいいからですよね。買い物は、モノだけではなくて、どこで買ったかイメージが大事です。高崎をチャレンジ精神にあふれ、アクティブなまちにしていく。高崎で買うのが楽しみだ、買い物をし、コンサートを聞いて、あるいはスポーツを楽しむ。そうしたまちにしていきたい。

原会頭: 昨年、富岡製糸場が世界遺産に登録され、大変にぎわっていますけれど、国の特別史跡になっている上野三碑をユネスコの世界記憶遺産に登録しようと、官民協力して協議会が設立されました。上野三碑と言いますが、多胡碑、山上碑、金井沢碑は全て高崎市にあります。上信電鉄の沿線です。富岡製糸場に続いて、世界記憶遺産登録実現に向け、行政とともにがんばっていきたいと思います。個人的な希望は、もう一冊句集を出したいので、なるべく俳句の時間もとりたいと思っています。

富岡市長: 商工会議所の会頭が俳人というのはまさしく、農工商、文化のバランスよく発展したまち高崎らしいお話しですね。

二居野: この時間は、富岡市長、原会頭にお話をうかがいました。市長、会頭、ありがとうございました。