珈琲豆に人生をかける焙煎の達人

(2020年02月27日)




自家焙煎珈琲は都市文化

街の喫茶店は古き良き街の歴史を香らせている。高崎には喫茶店と共に、自家焙煎のコーヒー豆を販売する店舗も古くからあり、昭和町の「きゃらばん」、高崎のコーヒーブランドの代表格と言える「大和屋」、八間道路の「珈焙屋」、下中居町の「松屋珈琲」などは、長くコーヒーファンを楽しませている。近年は自家焙煎のコーヒー豆店が増えており、味わいの違いを楽しむのは高崎の都市の魅力だ。

うまいコーヒーを求め、珈琲豆に人生をかける珈琲道、焙煎道の達人が高崎にいる。

 

コーヒーの多様性を楽しんでほしい

MAKAP COFFEE

高崎市箕郷町上芝12-4

スプロケット&コーヒー内

https://makapcoffee.stores.jp

営業時間:10:00〜19:00

(土・祝〜18:00)日曜定休

 

コーヒーのある素敵な時間

県道28号線沿いの箕郷町にある住宅メーカー「アイルズハウス」の展示場。その一角のモデル店舗「SPROCKET&COFFEE」で営業しているコーヒースタンド『MAKAP COFFEE』。店主の倉林範行さんは、3年のサラリーマン生活を経て、学生時代を過ごした北海道・小樽市で約2年、高崎で約6年の間、車両を使った移動カフェという形態にこだわり、パン屋やスーパーの店先、マルシェなどのイベント等に出店してきた。

「地域に暮らす人たちが集い、ひとつのテーブルを囲んで談笑する。コーヒーのある素敵な時間を楽しむ風景がありました。日常のちょっとした時間や地域の片隅に、そういう風景をつくれることに、やりがいを感じました」と話す。

 

農場ごとに変わる豆の味わい

そして、住宅展示場に出店の機会を得て路面店での営業を開始して3年半。「豆も売る移動カフェ」から「喫茶もできる豆屋」と事業コンセプトの転換を図ってきた。カウンターのショーケースには、焙煎したシングルオリジンコーヒー豆(単一品種)が日替わりで6〜10種ほど並び、生産者、品種、精製方法が細かく表示されている。「コーヒーを農場単位でとらえ、それぞれに異なる味わいを楽しみ、多様性を知ってほしい」と話す。

 

豆のおいしさを最大限引き出す

倉林さんが焙煎したシングルオリジンコーヒー豆を仕入れるカフェや、料理メニューや店舗の雰囲気に合わせたブレンドを倉林さんに依頼してオリジナルコーヒーとして提供している飲食店も少なくない。

それぞれの生豆の個性を知り、豆の美味しさを最大限に引き出す技術を磨き研鑽を重ねる。そんな日々を倉林さんは謳歌しているようだ。

 

 

コーヒーは生鮮食品

トンビコーヒー

高崎市菅谷町531-10

TEL.027-360-6513

営業時間:10:00〜19:00

火曜日・第1・第3・第5水曜日定休

www.tonbi-coffee.com

 

その豆個有の風味を届ける

「コーヒーはお米や野菜と同じ生鮮食品です」。菅谷町に店を構えるトンビコーヒー店主の間庭邦夫さんは、そう教えてくれた。コーヒー豆は収穫から日が経つにつれ香りが変化していく。「生豆の種類や産地、生産者による個性を、しっかり味わってほしい」という思いから、収穫後、一年以内の新豆のみを使用。一定温度を保って輸送し、基本的に焙煎後3日以内にお客様に届けている。

 

豆のおいしさを客観的に

トンビコーヒーが豆自体の味にこだわるのには理由がある。間庭さんがコーヒー業界で働き始めたのは、20年以上前。当時の味の評価は、感覚的であいまいだった。ブラジルやコロンビアといった生産国や品種の情報だけで味を判断され、農園や生産者の個性は無視されていた。

同じ農産物であるお米は、産地や品種だけではなく、甘みや香り、硬さや粘りなどで優劣が判断されているにもかかわらずだ。「お米と同じように、コーヒーも客観的な物差しでおいしいと判断されたものを届けたい。焙煎方法や抽出方法も大事ですが、まずは良質な豆のおいしさを味わってほしいです」と間庭さんは語る。

 

産地や生産者の個性も

産地や生産者の個性を最大限活かしたトンビコーヒーの豆。Dean & DeLucaでの取り扱いや通販などを通じて全国にファンがいる。店頭にはシングルオリジンやブレンドなど、約15種類の豆が並べられ、一年中、新豆が入荷してくる。テイクアウトのコーヒーも楽しめるので、ぜひ一度足を運んでもらいたい。間庭さんが好みや挽き方にピッタリの豆を、情熱をもって提案してくれるはずだ。

 

 

コーヒー一筋に生きる

 

いし田珈琲

高崎市新田町1-3

TEL.027-328-6999

営業時間:11:45〜18:00

月曜日定休

絶メシリスト

https://zetsumeshi-takasaki.jp/

 

まちの喫茶店として42年

新田町交差点近くにコーヒーの自家焙煎工房と喫茶店を兼ねた店「いし田珈琲」がある。店主の石田登さんはレンガ通りで長く喫茶店を営み、コーヒーへの思いを新たに2010年にこの店を開店した

石田さんはコーヒーの世界に入って約50年。仕事で乗っていた船でコーヒーに出会い、東京青山で初めて自分の店を持った。健康上の理由から都会を離れることになり、電車に乗って適地を探し、偶然降りた高崎の空気がおいしく、この街が気に入った。

高崎の田町のバス停近くに店を出し、駅前、レンガ通り、新田町と移りながら高崎で42年間、「おいしいコーヒーをお客様に」と、コーヒーへの姿勢を頑固に貫いてきた。

 

コーヒー本来の「甘さ」を味わう

おいしさの秘訣は手間を惜しまないコーヒーの選別と焙煎技術。まず生豆の段階で一粒一粒を確かめる。傷んだ豆、虫食いの豆、十分に育っていない豆など状態の悪い豆が一粒でも入っていると焙煎中に豆全体に影響してしまうそうだ。

転倒事故で体が不自由になり、一時期は休業していたが電気焙煎機を導入し、店を再開した。一日に焙煎できる豆の量は少なくなってしまったが、「これだけは人に任せられない」と黙々と打ち込む。

石田さんの豆で淹れたコーヒーは光沢が艶やかで味と香りが深い。そして豆本来の甘さが味わえる。

 

他に道がないからかな

妻の充得さんと夫婦で店を切り盛る。「おいしいと言ってもらうことが何よりうれしい。石田に焙煎を極めてほしい」と充得さんは話す。「コーヒーしかできない不器用な人生です。これ以上手がかけられないと思うくらい豆に向き合いたい。他に道がないからかな」と石田さんは微笑んでいる。石田さんは来年84歳、干支年となり「勝負しなくちゃ」と気力が充実している。「いし田珈琲」は高崎市絶メシリストで紹介されている。

 

高崎商工会議所『商工たかさき』2019年12月号

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