一皿に込められた幸せの循環

(2020年09月29日)


カレーを彩る美しい副菜は、料理人として先輩であり心強いパートナー・陽介さんが担当

curry stand baimai

スパイスやハーブを効かせたインドやタイのカレーを基本としながら、地元の旬野菜などの素材に寄り添い、時に意外性のある組み合わせにも感動する滋味深いカレー。

“ここだけの味”を求めて高崎市本町の『curry stand baimai』には多くの人が足を運ぶ。

 

若木さんの趣味が興じて週に一度の間借りカレー店を始めたのが約10年前。その後、独学ながら移動販売車での本格営業でファンを増やし、2015年に『baimai』の屋号で富岡市に店舗を構えた。

2018年には同じく飲食業の道を歩んできた夫・陽介さんとの二人三脚となり、今年2月に多くの期待の声に応え、新たな基盤となる高崎の店舗『curry stand baimai』を開店させた。

 

オープン早々にコロナ禍に直面してしまったが、移動販売時代からノウハウを培ってきたテイクアウトや、かねてより人気だったパウチ商品もフル稼働で製造し、ステイホーム中も人々の心とお腹を満たしてきた。

 

商いの形を変えながら前進してきたこの10年の一番の転換点は、移動販売時代だったと若木さんは語る。友人の勧めから興味を持ち、小さな販売車であちこち出向き販売するスタイルで4年間営業した。

天候や季節の影響も受けやすく心身ともに厳しい時もあったが、移動販売だからこそ出会える様々な人の生き様や仕事ぶりにふれ、そこで得た刺激と縁がすべて財産となり、今の店づくりにも反映されているという。

 

先を思い描くとき、節目で大切にしてきたのは、若木さんが初めて旅したタイで見てきた光景だ。紛争と貧困が生み出す薬物栽培の悪循環を垣間見て、いかに自分が教育環境や職業選択の自由に恵まれて育ってきたか骨身にしみたという。

 

一方で、その悪循環を変えるため、新しい商いのサイクルにより環境の良い雇用と幸せを生みだす取組みがタイ国内で生まれていることや、その事業に日本人が関わっていることも旅の中で知り、大きく影響をうけているそうだ。

 

若木さんは「まだ形を模索しているところだけれど、自分も人が幸せになれる雇用や商いを生んでいきたい」と、飲食店というフィールドで思い描く幸せの循環について語ってくれた。

控えめな中に意志の強さがある若木さんについて、共に歩む陽介さんは「その心意気や姿勢にいつも感服させられる」と優しい笑顔で答えてくれた。

食材や器、スタッフ着用のエプロンや、何気ない店内の什器・装飾に至るまで、志を同じくする作り手たちの品を積極的に使い、幸せな商いの循環を生み出している。人々はカレーのみならず、誠実な夫妻の人柄が溢れるあたたかな空間にふれたくてbaimaiを訪れるのかもしれない。

 

高崎商工会議所「商工たかさき」2020年9月号

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