赤レンガの景観と職人の手仕事 が息づく懐かしい街

(2018年11月30日)





赤坂町・常盤町・歌川町界隈

赤レンガに刻まれた歴史の記憶

山田文庫

常盤町交差点の角にある赤レンガ塀。月桂樹や黒松、檜など約40種100本の樹木が植えられた敷地内に建つ木造和風住宅は、図書館として開放されている。

この山田文庫は、元は高崎倉庫㈱の社長だった山田勝次郎・とく夫妻の私邸だった。夫妻は、子どもたちに読書を通じて豊かな人間性を養ってほしいと、県下の小中学校、高校に寄付を行ってきた。夫妻の没後昭和49年に改築され、図書館となった。シンボル的な赤レンガ塀は、大正時代に九蔵町にあった旧茂木銀行(横浜銀行の前身)を解体した時に、当主だった山田昌吉によって移築された。

 

美峰酒類株式会社レンガ倉庫

山田文庫と隣接する赤レンガ倉庫は、美峰酒類株式会社の倉庫。外観はレンガ造りに見えるが、実際は柱・梁の構造で、外にレンガ壁を巡らせたもの。上部が段々に迫り出し、屋根を支える軒蛇腹を巡らせるレンガ造りの意匠が施されている。

明治26年に、蝋山政右衛門、政次郎父子が新潟から移り「蝋山酒造」として酒造りを開始。しかし、第二次世界大戦中の食糧難で、サツマイモからアルコールを取るようになり、現在の美峰酒類㈱に移管された。高崎が生んだ議会政治家であり政治学者の蝋山政道は、この政次郎の長男。そして、次男は勝次郎で、明治・大正・昭和と高崎の産業界で中心的な役割を担った山田昌吉の娘とくとの結婚によって山田姓を名乗る。自身は優秀な農業経済学者であった。義父の急逝によって高崎倉庫㈱社長に就任。弟で三男の長四郎は、松井田の小山家の養子になり、旧美峰酒類㈱の社長を務めた。

 

岡醤油醸造株式会社の煙突

天明7年(1787)に現みどり市大間々に、醤油醸造業として創業した岡直三郎商店の支店として、明治30年、4代目の宗一郎の時に開業。以来「ヒキソーイチ」の名で醤油も店も親しまれてきた。平成に入り、醤油の製造は大間々工場に移り、ここでは木桶仕込み・天然醸造醤油を「にほんいち醤油」の銘柄で販売。中山道に面した店舗らしく、屋根の下の部分には京風造りを代表する虫籠窓が残っている。揚げ戸や古いガラス戸を使った戸などが見られる明治時代を伝える数少ない建物。裏手に見えるレンガ造りの煙突は、昭和初期に修復された記録が残る。街のシンボルとして地元に愛されている。

 

和菓子・手ぬぐい・竹皮編み―伝統の手仕事

 

有平糖づくりを伝承、謡曲『鉢の木』の心意気を伝える/「鉢の木 七冨久」

本町一丁目交差点を烏川方面に下る旧中山道・赤坂通りにある和菓子店「鉢の木七冨久」。店名は、鎌倉時代の御家人・佐野常世の物語で謡曲にもなっている「鉢の木」に由来。物語に込められた忠義心、正直な心、内助の功などを今に伝える和菓子が看板商品となっている。ほかにも、店内に20種ほどの上生菓子が常時並ぶ。また、3代目店主の石川久行さんは、砂糖で作る飴細工「有平糖」の数少ない伝承者で、飾り菓子や大物細工を手がける第一人者として知られている。

 

ブルーノ・タウトが着目した竹皮編みを現代に復刻/「でんえもん」

岡醤油醸造の手前の4軒長屋の1軒をギャラリー兼教室にしようと最近越してきたばかりの前島美江さん。かつて少林山達磨寺の洗心亭に仮住まいしていたドイツ人建築家ブルーノ・タウトが、地元の雪駄工房と共同開発した竹皮編み細工を現代に復刻した伝統工芸士だ。原料の竹皮は福岡県八女市周辺の限られた地域で採れる皮白竹の皮。殺菌効果やほどよい通気性があることから、食品のための容器が多く作られている。「通りを通る人がガラス戸から中をのぞき、気軽に入って来て一緒にモノづくりができるような空間をめざしたい。時間がゆったり流れているこの町は、手仕事にふさわしい場所」と前島さん。教室は11月から開始している。

 

県内唯一の注染工場がつくる手ぬぐい/「中村染工場」

屋根の上の櫓から長い布が何枚も垂れ下がり風にたなびく風景を時折見ることができる。中村染工場は、今では県内唯一となった“注染”の工場で、店舗も兼ねている。注染とは、手彫りの型紙を使用し、一枚ずつ防染糊を置いて生地を数十枚重ねた上から染料を注いでいく昔ながらの染色法。「一枚一枚に微妙に違う表情が生まれ、肌触りも良く手に馴染む。絵柄に表裏の区別がないのが特徴」と、ご主人の中村純也さんは、注染手ぬぐいの魅力について話す。

 

 

立派な梁のある蔵を改築 ブティック&カフェ「十一屋」

江戸末期に建てられた蔵を改築し、おしゃれなブティック&カフェを開店。天井の太い梁を残した空間は一見の価値がある。かつて、舘・山名地域はたばこの産地として有名で、この蔵は、清水家の2代目当主のときに、たばこの葉の乾燥と貯蔵用として利用されていた。たばこが官営となった後は、アパートとして使われた。

街道から少し入った木立に囲まれた一角は、まるでリゾート地のよう。この辺りで唯一食事やお茶ができるスポットで、大人の隠れ家的な雰囲気も楽しめる。立派な梁が迫力のある2階は貸しスペースにもなっている。

 

 

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