整備スケジュール流動化も示唆/県コンベンション施設

(2014年6月12日)

高崎競馬場跡地で5月に観客席東側の建物を解体

知事「基本計画で示した時期にこだわらない」

 群馬県議会第2回定例会で5月29日から6月3日まで行われた一般質問で、大澤正明知事は、高崎競馬場跡地に計画しているコンベンション施設計画について、舘野英一(自民)、岩上憲司(新星会)、角倉邦良(リベラル群馬)議員の質問に答え、「新たなビネスチャンスを生み出すとともに、交流人口の増加により本県経済を維持発展させる施設で、本県の将来に必要不可欠な基盤」とする考えを改めて強調した。
 大澤知事は、北関東道の全線開通、圏央道の東名道接続、来春の北陸新幹線金沢延伸などを上げ「群馬県にとってこれまでにない追い風が吹こうとしている。コンベンション施設は高崎の優れた拠点性を生かす」と考えを述べた。
 一方、知事は「基本計画で示した時期にこだわらない」と基本計画の27年度着工、29年度オープンが流動的になることも示唆した。

●意見交換や調査を進め「時期にこだわらず、しっかりと説明」

 県議会2月定例会で説明不足が指摘されたことを受け、県では「経済界、学会、県民に理解を深めてもらうことが重要と考えている。経済団体や大学などと意見交換を重ね、シンポジウムなどで県民への周知や意見の把握に努める」と、今年度は調査と合意形成に力を入れる方針を示した。各地の商工会議所、青年会議所など多くの経済団体と意見交換を行う。
 コンベンション需要については、全国規模の業界団体、学術会議の事務局となっている大学などを対象にヒヤリングし、必要な施設内容や条件、経済波及効果について調査していく。
 大澤知事は、「地域住民の生活環境に配慮することも重要であり、道路等の周辺整備も必要になる。地元の意見を把握しながら検討を進めたい」とし、広く県民に周知しながら合意形成に力を入れる方針を示した。「基本計画で示した時期にこだわらず、しっかりと説明し議論を深めながらより良き施設となるよう取り組んでいきたい」とし、基本計画の27年度着工、29年度オープンが流動的になることも示唆した。

●収支よりも先に施設内容を検討

 コンベンション施設の収支見通しについて懸念を示す意見に対し、知事は「収支計画を明らかにすることは当然と考えている。しかしコンベンション施設は新たなビジネスチャンスを生み出すとともに交流人口の増加により経済需要を喚起し、本県の経済を維持発展させていくための社会基盤として整備しようとするものだ」と述べ、施設単体の収支ではなく、群馬県全体の経済効果を重視すべきという考えを強調した。 知事は「他の民間施設と同様に整備費も含めて施設単体で利益が上げられるのであれば、民間が取り組むべき事業だと思っている」とし、公的に整備する意義を優先させていきたい考えだ。「収支計画の検討には施設内容、料金設定を含めた運営をどのように行うか考える必要がある」と、施設に関する議論を進める必要性を述べた。
 これまで県内で開催されてきた会議やイベントが、このコンベンション施設に会場を移すのでは会場となっているホテルなどを疲弊させるだけとなり、新規需要を喚起、誘致することが重要となる。

●コンベンションビューローの設置は

 コンベンションビューローの設置については、県は「コンベンションを誘致するためには施設の具体的な内容、整備時期などを明確にして営業活動を行っていくことが必要だ。本格的なコンベンションビューローの設置については時期を検討したい」と答えるにとどめ、コンベンション事業の今後の確定に合わせる方向だ。今年度、コンベンション推進課に設置した誘致係が当面、誘致機能を担う。