専門家が多胡碑を学術調査

(2014年12月5日)

写真を拡大多胡碑
写真を拡大多胡碑の上面

笠石の転落も危惧。対応措置を実施

 高崎市は、吉井町の特別史跡「多胡碑」の保存活用をはかるため、専門家による学術調査を実施することにした。
 多胡碑には、和銅4年(711)に多胡郡が建郡されたことが刻まれており、11月に多胡郡の郡衙(ぐんが=役所)の遺構が見つかったことや上野三碑を世界記憶遺産に登録する取り組みが始まったことから、今後、多胡碑を公開する機会がこれまで以上に増えることが見込まれる。
 多胡碑は吉井町の南部で採れる牛伏砂岩が使われており、材質のもろさが心配されることや、多胡碑の上部に乗っている「笠石」は二つに割れているので、大きな地震が発生した場合に落ちてしまう心配もあるという。
 高崎市では、古代史、石材学、文化財保存科学、石材流通史の専門家4人による「特別史跡多胡碑保存検討委員会(平川南委員長)」で学術調査を行い、多胡碑の保存、活用について検討を進めていく。







 これまでに第1回目の委員会が開かれ、
・現在、二つに割れた状態で乗っている笠石が大地震で動いたり、その重量が不均質に碑身にかかることで碑本体に影響を与える可能性がある。緊急性はないが石材に経年変化も見られる。
・今後、見学者が増えることで温湿度(結露)・振動等の環境変化が生じ、碑に新たなストレスを与える可能性がある。
・笠石は江戸時代以来、何度か動かされ、向きが変わっている。碑の外観は非常に重要な要素であり、旧状に復する必要があるかどうかの調査検討を行う。
―が指摘された。
 高崎市は、これらの点を踏まえて調査し、保存活用について総合的に検討する、地震による笠石等の転落に備え当面、碑の周囲に軟質素材を敷き詰める措置をとるとしている。また、特別公開などは、これまでと同様に実施していくという。