震災に備えて救助訓練 がれきから救出

(2015年3月11日)

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高崎市等広域消防局

 東日本大震災が発生した3月11日、高崎市八千代町の高崎市等広域消防局で震災対応合同訓練が実施された。消防局警防課指揮隊、高崎中央消防署救助隊、高崎東消防署消防隊、高崎北消防署救助隊が参加し、狭隘(きょうあい)空間からの救出救助訓練(CSR)とポンプ運用連携訓練を実施。震災発生時には黙とうがささげられた。

 CSR(Confined Space Rescue:狭隘空間における救助活動)とは、身動きがとれないくらい狭い空間での救助活動を意味し、地震によるビルの倒壊、乗り物などの大規模な事故により起こりうる救助活動のことを指す。ガスの漏えいやその他危険な状況を確認、活動方針と活動時間を決定し隊員を現場へ投入する。 今回は、震度7の地震が発生し建物が倒壊、瓦礫下で生き埋めになった人を救助するという想定で行われた。瓦礫周辺で、隊員は安否を確認。「誰かいますか!」と声掛けを行い、 要救助者の声を確認後、カメラを隙間から挿入。要救助者の意識レベルと怪我の状況を確認。バール等を使って救出のための開口部を確保し、隊員は救助へと向かった。

隊員は、要救助者を安心させるために声を掛け続け、外傷や痛みがないか全身を確認、毛布をかけ、隊員は交替する。隊員の体力維持のため、一人の活動時間は20分程度。次の救助隊員がブルーシートで要救護者を包み、ストレッチャーに乗せ救助を行った。

 消防局の高見澤朗局長は「東日本大震災の現場で大きなコンクリートが引きちぎられているのを見て自然の驚異を感じた。*群馬大学の片田敏孝教授が釜石市で行った防災訓練を徹底して多くの住民を救った事実も聞いている。私達は第一線の防災機関として、当時あった想定外という言葉を鵜呑みにせず、積み重ねた訓練と経験によって、想定外の場面でも一番いい形で対応できるようにしなければならない。助けられる命を助ける。基本的な使命に、全力で訓練を積んで立ち向かえるようにしていきたい」と隊員達を鼓舞した。

*群馬大学の片田敏孝教授の「避難3原則」
①「想定にとらわれるな」
相手は自然。何が起きてもおかしくない。ハザードマップで浸水しないと示されているからといって安全だと思いこむことは大きな落とし穴。だからこそ、あえてハザードマップを見せながら「これを信じるな」。

②「ベストを尽くせ、最善を尽くせ」
自然は何を引き起こすかわからないからこそ、自身が置かれた状況下で常に最善を尽くすこと(これ以上もはや何の対応もできないというところまでの、あらゆる対応をし尽くすこと)が大切。そして、最善を尽くしたのであれば、その結果は受け入れるしかない。

③「率先避難者になれ」
建物の中で火災報知器が鳴っても、なかなか人は逃げない。人間には「正常性の偏見」という心の特性があるため。人は自分にとって都合の悪い情報を無視したり、過小評価してしまう。ほとんどの人は非常ベルに加えて、非常事態を裏付ける他の情報がないと、現実感を持って逃げるという行動に結びつかない。だからこそ、自然の脅威に向かい合う姿勢を持ち、自ら率先して避難をすることが、周りの多くの命を守ることにつながる。

引用:群馬大学災害社会工学研究室ホームページ