オリンピック選手が先生に

(2015年6月10日)

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吉井西中学校 JOCオリンピック教室開催

 高崎市は今年4月3日、公益財団法人日本オリンピック委員会(JOC)とパートナー協定を締結。この協定を受けて吉井西中学校で6月10日、県内で初めてオリンピック教室が開催された。同教室は、JOCがオリンピック・ムーブメントの啓発活動の一環として実施しているもので、オリンピック出場経験のあるアスリート=オリンピアが教師役となり、自身の経験を踏まえながらオリンピックの精神や価値等を子供達に伝える内容。中学二年生を対象に「運動の時間(体育館)」と「座学の時間(教室)」の2コマ構成になっている。

 この日は、スノーボードでトリノオリンピックに出場した鶴岡剣太郎さんを先生に迎え、同中学校2年生に授業を行った。体育館で行われた運動の授業は、いわゆるスポーツの技術指導ではなく、運動が苦手な生徒も参加できるよう工夫されており、「全力・協力・ルールを守る」ことを約束して授業開始。一クラスが3組に分かれ、ゲーム感覚を取り入れた4種目を体験した。長縄跳びでは、100回を目標に跳び「縄を短めに持ってリズミカルに跳べるようにした」「全員で数えながら跳んだ」など、どんな点を工夫したかを発表。ダッシュして壁をさわり、追いかけてくるアスリートにタッチされないようするゲームでは、「まともに走ったら勝てるわけないオリンピック選手相手でも、ルールを聞いて最大限に生かせば、工夫次第でできることがある」とルールの意義や考え方について話した。生徒は生き生きとした表情で、協力し工夫し合いながらオリンピック精神を学んだ。

 近代オリンピック創設者であるピエール・ド・クーベルタンは、「オリンピックで重要なことは、勝つことではなく参加することである」という名句を広め「オリンピックの理想は人間を作ること」という理念を掲げた。またIOCの前ジャック・ロゲ会長は「エクセレンス(卓越性)」、「フレンドシップ(友情)」、「リスペクト(敬意)」という3つを「オリンピックバリュー」として提唱。「オリンピック理念は生活の中でも大事なこと」であると運動を通して実体験してもらう狙いで行われる同教室は、今年10月吉井入野中学校でも開催予定になっている。