モンテドラーゴ

(2008年12月)

モンテドラーゴ群馬でほかに無いというチーズ専門店

モンテドラーゴ価格は100gで800円~1000円が売れ筋

モンテドラーゴ山本清喜さん

まとめ買いはお断り

チーズを育てる本格チーズ屋

フロマージェリー モンテドラーゴ

 

 今回で5回目となる「勝ち残る専門店」は、群馬でほかに無いというチーズ専門店「フロマージェリー モンテドラーゴ」の山本清喜さんを、当誌広報委員で高崎青年会議所・小澤健一理事長と訪ねた。


 デパートやスーパーなどで品揃え豊富なチーズコーナーを持っているところは高崎にもあるが、チーズだけを販売する専門店は全国的にも珍しいようだ。


 他店のチーズ売場の担当がモンテドラーゴにお客さんとして来ることもあるそうで、そんなときは「チーズの話を色々してしまいます」と山本さん。競合する売場の担当者も来店するほどの、知識と経験がモンテドラーゴの強みだ。チーズは品揃えさえあれば売れるというものではないということなのか。


●目立たないお店になぜお客は来るのか

 山本さんご夫妻は、東京でチーズ輸入関係の会社に勤め、チーズ専門店を始めようと2000年5月高崎にモンテドラーゴをオープンした。なぜ高崎なのかと聞くと「別に場所はどこでも良かった。奥さんの出身の群馬で探して気に入ったのが高崎だった」と住宅街の静かな現在の場所に店舗を構え、大きな看板などもたてずに目立たないようにたたずむ。


 二人ともチーズの知識は充分、仕入のルートも前職の会社との取引もあり、海外へ直接予約もできるほど。自分たちでお店を持つにあたっては〝本当においしいチーズはどこででも売れるはず〟と楽観的。


 飲食店にも卸販売はするが、ほとんどの売上は個人のお客さんだと言う。なぜお客さんが来るのかと聞くと「分析はしたことも無く、なぜでしょう」と他人事のように話す。チーズ好きな人にとっては遠方からでも探して来る価値がある店なのか。


 取材に伺ったときに来店していたご夫妻は太田から人づてに聞いて初めて来たそうで、チーズの説明を聞きながら味見をして買って帰るまでに1時間程はかかっていた。まるでチーズ教室が開かれているかのようだった。


●チーズを育ててお客様へ販売

 「このブルーチーズを食べてみてください」と私たちも味見が始まる。ブルーチーズと言えばちょっとくせのあるチーズの印象があったが、これが食べやすくおいしい。


 取材に同行してもらっている小澤さんも「ブルーチーズはこんな味だったの?」と言うほど。「チーズの味は作るものです。丹念に作ったチーズを仕入れ、食べごろになるまで店舗奥の大型冷蔵庫で、温度・湿度を管理して熟成させて味を安定させてからお店に出しています。同じチーズでも東京で熟成させるのと群馬で熟成させるのでは、風土や気候によって変わるので群馬での熟成になれるまで時間がかかりました」と山本さんはチーズをただ販売しているだけではなく育てて販売しているのだ。


●日本人にも合う発酵食品

 試食の中で「このチーズはすごく癖のあるチーズですが、チーズが日本人に合うことを実感してもらえます」と言って差し出されたエキバチーズ。食べてみると沢庵のような味がした。チーズは発酵食品で味噌や漬物などと同じで、日本人にも合う食品ですと言い切る山本さん。


 チーズは100g単位の切り売りが中心、昔は味噌屋さんがお客さんの好みにブレンドした味噌を計り売りしていたのと同じように、チーズも食べごろに熟成させた分を食べる分だけ買っていってほしい。食べ終わったらまた買いに来てくださいと、まとめ買いをするお客さんには断ってしまうこともある。


 まだ味が安定しない未熟成のチーズを食べてチーズは苦手ですと言ってしまっている人には、熟成して安定した味の食べごろのチーズを食べて欲しいと言う。


●お客さんウォッチ

 1時間半ほどの取材のなかお客さんが5組、太田から初めて来店したご夫妻はバーを経営しているそうでお店と自宅分を購入して行った。二人目はスーツ姿の男性、月曜日に来たら休みだったのでと再度の来店だという。三人目は自転車で来た男性、常連のお客さんのようでチーズを購入し入荷状況を聞いていった。四人目は女性で友だちに貰ったチーズがおいしかったとチーズの説明しているのだが、私たちには漠然とした味の説明のように聞こえるが奥さんにはわかるようで味見を勧めたチーズを買っていった。そして最後の客は取材が終わった私たち、山本さんの説明を聞き終わるとなぜだかチーズを買いたいという気持ちになって私たちも購入してしまった。


 なぜ売れるのか明確ではないが、山本さんご夫妻から他では聞けない話が聞け、チーズを買ったお客さんは誰かに話したくなってしまう。口コミでお客さんが広がり、初めて来たお客さんでもチーズを買いたくなってしまう魔法にかかってしまうような店だ。


所 在 地:高崎市江木町1471-2
営業時間:AM8:00~PM7:00
定 休 日:月曜日
電  話:027-327-8665


高崎商工会議所『商工たかさき』2008年12月号

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