建築で新しい人的ネットワークを作りたい

(2010年10月)

建築で新しい人的ネットワークを作りたい松本さん

三世代が同居する家の外観三世代が同居する家の外観

それぞれの家をつなぐアプローチそれぞれの家をつなぐアプローチ

株式会社 松本金彌建築計画事務所

 松本さんが手がける物件のジャンルは個人住宅から、公共施設まで幅広い。設計をするときに重視するのは、人間、時間、空間の調和。そのため、個人住宅では、とくに木を多く使う。それは、木が人間の“スケール感”に合う合理的な材料だから。スケール感とは、天井の高さや部屋の大きさなど。人に調和した空間を作るのに、木は適しているという。

 作品は、斬新さを感じるが、古くから日本建築に用いられてきた先人達の知恵や技術がたくさん使われている。農家の田の字に配置された居室のように、広い空間に障子の仕切りを付けたり、町家のように吹き抜け天井に煙突を設け熱気を上から逃したり…。昔からの住まいの工夫と先進的な建築手法を合わせ、結果的に、開放感溢れるうえ、使い勝手がよい家を作る。

 「今まで、建築家は施主の敷地の内側のことだけ考えていましたが、建築が文化だと考えたとき、隣の家や町全体を考えて設計しなくてはならないと思います」と松本さん。近年取り組んでいるのは、自分が作った建築作品が、10年後、どのような形でまちにあるかを調べること。つまり、周りの住宅や道路などとの関係を「景観」という観点で調査している。周囲に何があって、どう使われているかを、高さ、色づかい、デザインなどの観点で分析している。

 建物の構造やデザインに、人々の生き様が反映される。まちの歴史を物語ることができる建築を作りたい。そう思っている。

 近隣住民との結びつきが昔に比べ弱くなっている現在、景観づくりで、人々が相談し、協力することが大切という。地域に住んでいる学識経験者やグラフィックデザイナーとお年寄りが相談する。今まで関わりが無かった人とのつながりができ、従来の隣組に代わる集団になる。景観づくりは、まちがもう一度活性化するきっかけになると松本さんは考えている。

群馬初! 日本建築家協会建築展を開催

 来年3月10日から16日まで、高崎シティギャラリー・コアホールで、日本建築家協会主催の建築展が開催される。松本氏をはじめ、会員の作品や世界的に活躍している建築家のメッセージが展示され、学生のコンペも行われる。今年で15回目を迎える。群馬で開催されるのは今回が初めて。

代表取締役・一級建築士 松本金弥
高崎市和田多中町10-22
電話:027-327-3803
http://matsumoto-archi.jp/

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