住民から強い「反対」の声/上奥平の産廃処分場問題

(2010年2月8日)

 吉井町上奥平に計画されている民間の産業廃棄物最終処分場建設について、県から高崎市に求められている意見書の骨子を、市は4日の市民経済常任委員会で示した。

 この問題は、吉井町長が高崎市との合併直前の昨年5月25日に、同産廃についての意見書を県に提出していたことで浮上した。

 この産廃計画は、片岡町の民間業者によって昭和60年以前から持ち上がっている。処理場は面積は3万平方m、埋め立て容量は41万立方m。産廃の種類は安定型で廃プラスチック、金属くず、ガラス・陶磁器くず、がれきなど。安定型産廃は、有機性汚濁の原因となる物質が含まれたり付着、混入する可能性が高いことから、平成11年から対策が強化されているが、この処分場は対策強化前の昭和60年当時の規定で協議が進められている。

 最終処分場の設置には、地域住民との事前協議が許可権限を有する群馬県の規定として必要とされている。過去、地元との協議が行われていたが、意見が集約できず、協議は事実上、凍結されたかたちになっていた。

 昨年5月に吉井町長から出された意見書は「設置に関して町は県に判断をお願いする」とされ、長きにわたった凍結を解き、計画を進めるものと受け取ることができる。県はこの意見書を不十分として、高崎市に改めて意見書を提出するように求めていた。

 高崎市は、本件に関係する地域として吉井町上奥平地区、処理場から雨水が流れる雁行川下流地域も含まれるとし、先般、対象地域で「意見を聴く会」を開き、住民意見を踏まえた意見書をまとめた。

 住民のほとんどが建設に反対で、参加者は全員、生活環境に不安を抱いている。市では「聴く会」での参加者意見を重く受け止めている。

 対策強化された現行規定に比べ、旧規定に基づく本件の協議は内容が乏しく、関係住民が意思を表明する機会が少ないため、住民の合意形成が十分にはかられているか再考の余地があると、高崎市はとらえている。また、市は長期間が経過していることの問題点も指摘した。

 市は、当該地域には既に多くの産廃施設が集中しているため、これ以上の施設建設が地域の生活環境に影響をおよぼさないかどうか、県や近隣市町村と検討する必要性を感じている。市は県に対する意見書として、旧規定に則って行われている現在の事前協議を打ち切り、現行規定による住民との協議をあらためて行うよう求めることにした。

 高崎市は中核市移行後に、産廃関連事務を県から移譲されることもあり、今回の問題を重視している。

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