州都を視野に/高崎の都市戦略「NEXTSTAGE」

北陸新幹線の金沢延伸も視野に/高崎の都市戦略「NextStage」

 ETC専用の高崎スマートインターチェンジ(仮称)の社会実験が平成二十四年春の北関東自動車道全線開通にあわせて開始されることが、ほぼ確定的な状況になった。高崎スマートICの予定地は、関越道と北関東道が分岐する高崎ジャンクションの南2・1キロの地点。東毛広域幹線道路によって高崎駅東口と約十五分で一直線に接続する。高崎スマートICは、高崎都心へのアクセスに利便性を欠いていた高崎ICを補完するだけでなく、高速道と新幹線をダイレクトに結び、高崎市への求心力を高める戦略的な位置づけを担っている。

高崎スマートIC/平成二十四年春に社会実験開始へ

 第二回高崎スマートインターチェンジ社会実験準備会が十二月十七日に行われ、スマートICのレイアウトや、社会実験申請に向けた実施計画が協議された。スマートICのレイアウトについては、現段階では公表されていないが、関越道から一般道への接続など、かなり具体的に描かれているようだ。高崎スマートICは、大型車も通行可能で二十四時間営業する全国初の直結式フルスペックICとして利便性の高さがうたわれている。
 高崎スマートICの社会実験開始時期については、当初よりも早期化する見通しで、平成二十四年春の北関東自動車道全線開通に合わせるという方向で進んでいる。高崎市都市整備部の松本泰夫部長は「北関東道全線開通のタイミングを逃すことなく、高崎スマートICの社会実験を開始したい。北関東道が開通してから何年もかけていたのでは、スマートICの戦略的な意味が薄らいでしまう」と調整を進めている。国、県や関連機関との協議を進め、十九年度中に申請手続きを行う予定だ。高崎スマートICと高崎駅東口を結ぶ東毛広域幹線道路が前橋長瀞線で止まっているが、延伸区間の完成をスマートIC実験開始にあわせてもらうよう県に要望している。
 昨秋、松浦市長が発起人となって呼びかけ、代表をつとめる「スマートインターチェンジ全国交流会」には、全国238自治体が参加し大きな反響を呼ぶなど、高崎市の動きは全国的にも注目されている。

高速交通ネットワークで生まれる/高崎の「Next Stage」

 北関東道開通から二年後の平成二十六年には北陸新幹線が金沢まで延伸され、高崎市をとりまく高速交通ネットワークは大きく進展していくものと考えられている。高崎市では、高速交通網による都市戦略「Next Stage」を打ち出し、首都圏、北関東、甲信越、北陸を枠組みにした構想を描いている。これまで、時間効率が悪かった北関東圏のアクセスが北関東道によって解決し、宇都宮、水戸との連携が深まる。そして中部圏として中京、関西エリアに位置している北陸が、新幹線によって関東圏に吸引されてくる。上越・長野新幹線、関越・長野自動車に新たな高速交通網が加わることで、ビジネス、物流、観光など新たな地平が開けてくることは想像に難くない。森永製菓が高崎への工場進出を決めた際に、高崎から新潟港を経てアジアを見ていたが、北関東道でひたちなか港と結ばれることも加わり、輸出入関連など物流機能も強化されることになる。
 高崎の交通拠点性、都市力は外部から高く評価されている。高速自動車道と新幹線を直結する高崎スマートインターチェンジは、高崎市の都市ビジョンに位置づけられた戦略的な意味を持っていると考えることができる。

高崎駅東口エリア/戦略的な都市基盤整備が必要

 新たな高速交通網の結節点として、高崎駅を核とした拠点が形成されてくる。ヤマダ電機本社ビル一階の長距離バスターミナルは、ビル建設の条件として高崎市が提示してきたもの。松本部長は「民間の力を借りながら都市基盤を整備していくことが重要。全て市で事業を行ったら莫大な費用がかかってしまう。そのためには、民間が開発しやすい条件を整え、商工部などとも連携しながら計画を進めていきたい」と考えている。高崎市では、高崎駅東口の高度利用を進め、駅から環状線周辺までの集積を高めていく方針だ。
 高崎市の都市戦略「Next Stage」は、結節点としての機能をさらに推進するため、都市機能の拡充を視野に入れている。新潟、長野、金沢と東京の中央に位置し、どこからでも集まりやすい都市として求心力を倍加させていくのが狙いだ。北関東道全線開通を視野に高崎市では、現在の長距離バス路線に加え、新たな路線誘致をはかっている。バス会社も積極的な姿勢を見せ、手応えを感じているという。「長距離バスの低料金性、深夜便などの特徴と新幹線を組み合わせることで、目的地も多様化し長距離移動の選択肢が大きく広がる」。高速交通の結節機能を生かし、旅行会社もこれまで新たな観光コースを設定することができる。
 「高速道、新幹線のネットワークで高崎を起点とした集客が考えられる。例えば全国規模のコンベンションを高崎で開催すれば、北陸信越、首都圏からも集まりやすい今後は、大規模な集客施設を高崎に誘致していくことが必要だろう」と言う松本部長。「Next Stage」は、外に向かって高崎市の存在感を示していく都市戦略だ。「高崎市には現在、コンベンション施設のようなものはない。交通拠点として環境が整い、城から撃って出ようと思ったら刀が無かった。次のステージに何が必要なのか、高崎市が戦う刀を持たないといけない」。
 戦略的な集客施設の整備についても、バスターミナルと同様の手法で行えるののではないかと松本部長は考えている。「民間と高崎市が連携し、財政負担も少なく、民間の採算もあうような手法は十分可能だ。土地も建物も全て行政が行おうとしたら、とても実現できない。公的な機能を民間開発が取り入れることで、ビルの格も評価されるはず」。東口エリアは、景観面においても高崎市の風格を示すような街区にしていきたいという。

(文責/菅田明則・新井重雄)
(2008年1月10日)

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