スマートICの設置でさらに高まる高崎の都市力

スマートICの設置でさらに高まる高崎の都市力高度利用が期待される高崎駅東口エリア

州都をめざす新都市創造

高崎東部地区
高崎駅東口地域
高崎駅西口地域

 平成23年の北関東道全線開通、26年の北陸新幹線金沢延伸を視野に、関越道高崎スマートICの建設計画と、高崎駅東口の都市基盤整備が大きく動き出した。スマートIC、高崎駅東口地域は優れた交通拠点性と整った都市空間を有し、多様な業務展開の可能性を有する地域となることが期待される。

 400年の歴史をもつ高崎駅西口を中心とした都心部に対し、新たな都市機能と広域業務機能の集積が見込まれる高崎駅東口地域とスマートICが設置される高崎東部地区。この高崎東部地区、高崎駅東口地域、高崎駅西口地域の3つのエリアを結ぶ都心軸は、州都をめざす高崎の新たな動脈となる。

 高速交通のネットワークが拡大し高崎の交通拠点性が飛躍的に高まり、さらに高速道路と新幹線が結ばれることが、高崎駅を中心とした「まちなか」に大きな集客をもたらすことになるだろう。

東口エリアのビジネス集積/問屋町がそっくりビルの中に

 商都高崎の商品販売額は、平成16年商業統計で1兆3、790億3、758万円。内訳は、卸売が9、828億4、239万円、小売が3、961億9、519万円で、7割を卸売が占めている。高崎の商業は卸売業が底支えをしている。

 卸売販売額を地域ごとに見ると、問屋町エリアが最も多く問屋町と問屋町西の合計が1、475億9、189万円で高崎市全体の15%。次が栄町で1、123億3、137万円。事業所数では、問屋町エリアが142事業所、栄町は44事業所で1事業所当たりの売上規模は、問屋町の2・5倍の25億円。1、000億円を超える売上を上げながら、東口エリアには大きな倉庫や配送センターが見あたらず、業態の多くは物流を切り離している。栄町を含む佐野地区では電気機械器具の卸売販売額が突出して646億円で、全市の4割をこの地域で売っている。

 高崎駅東口のビルの中は、売上規模で問屋町に匹敵する電気機械・IT関連のディーラー街となっている。栄町に隣接する東町、江木町、上中居町も卸売額はそれぞれ約300億円で、市内でも屈指の販売高。東口エリアは、問屋町を上回る商社エリアとなっている。

高度な土地利用を東口線に拡大/ビジネス集積高めオフィス街の形成を

 高崎駅東口とヤマダ電機、高崎タワー21ビルをつなぐペデストリアンデッキAデッキが12月1日に開通。駅前デッキが平成21年2月完成、高崎タワー21ビル、高崎イーストセンタービルをつなぐCデッキが平成22年3月に完成する見込みだ。ヤマダ電機1階付近は高速バスターミナルとなり、高崎スマートICの開通までに高崎駅東口は、新しい姿をおおむね見せることになる。

 高崎駅東口と東三条通り、群馬トヨタビル、ヤマダ電機、メディアメガのある8・5ヘクタールの区域は、高崎駅イーストサイト地区として高度な土地利用ができるように地区計画指定されている。ヤマダ電機北には東口第八地区再開発として17階建てのホテル・商業施設が建設され、ペデストリアンデッキで接続される予定だ。

 高崎市は、高崎駅東口線に沿って高度利用エリアを拡大していく考え。イーストサイト地区のように民間開発を誘導し、東口から環状線までのエリアの業務集積を高めていく。東口線沿線にはペデストリアンデッキで接続されるビル、原地所第二ビル、内堀ビルなどがあるが、昭和57年の上越新幹線開業・高崎駅舎建て替えに伴う周辺整備によって建設されたものが多い。時代的には昭和50年代後半から平成初年のバブル期にあたっている。近年のイーストサイト地区や東三条通りのホテル・マンション建設ラッシュに比べ、東口線沿線の開発は一息ついている感が強い。道路沿いにJR東日本高崎支社、太陽誘電、ビックカメラ、北側には国土交通省高崎河川国道事務所、合同庁舎、東京ガスなどが所在しており、これからの集積を期待させるエリアだ。

緑化フェアで生まれた新たな動線/東二条線拡幅の効果も

 平成16年度の小売販売額は中心市街地である旧市エリアが904億5、750万円で全市の2割を占めている。店舗数と売り場面積では全市の4分の1を旧市で占めている。

 町単位の販売額では、飯塚町が238億円で全市のトップだが、宮元町231億円、八島町195億円、旭町187億円で大型店が中心市街地の販売を牽引していることが示されている。

 栄町の小売販売額は68億円だが、高崎市によるヤマダ電機LABI高崎の推計販売額は190億円で、合計約250億円。

 これまでも高崎駅西口から高島屋、スズランを動線とする中心市街地の回遊性確保が言われてきたが、高崎駅東口から中心商店街をカバーする戦略が必要だ。高崎駅東西両エリアの集客を生かし、回遊による相乗効果を生み出すために中央コンコースが果たす役割は極めて大きい。

 今年11月に国の認定を受け、実施が始まった高崎市中心市街地活性化基本計画では、城趾地区をウェストコアゾーン、高崎駅周辺をイーストコアゾーンとし、東西ゾーンを結ぶ商業軸に大手前慈光通り、文化軸に西口線・シンフォニーロードを位置づけている。全国都市緑化ぐんまフェアまちなか会場の効果もあって、高崎駅西口線の人通りが増え、にぎわいを作りだしている。イルミネーションで夜の高崎を演出する「光のページェント」も初の試みとして駅前から西口線を飾り、来街者を楽しませている。西口線はこれから高崎のシンボルロードとして街路整備が行われる予定だ。

 スマートICからまちなかへの誘導、高速交通拠点の高崎駅東口とまちなかを結ぶルートも重要だ。国道354号伊勢崎街道アンダーパス、旭町ガードあるいは競馬場通り線アンダーパスを経由してまちなかに進入する、または東口周辺に駐車して徒歩で回遊するなどが想定される。旭町、八島町周辺の駅西口の南北には大型駐車場が多く駐車しやすい。東二条線の拡幅工事が進みアンダーパス経由のドライバーがまちなかを通行しやすい環境ができつつある。

 西口線、東二条線の整備によってまちなかの動線が変わってきた。東二条線を歩行者天国にしたイベントも緑化フェア、雷舞、高崎音楽祭で試みられ成果を上げている。一方でイベント開催の中心となるもてなし広場・スズランを含む城趾地区と、高崎駅周辺が分化し、歩行者のまちなか回遊性が弱くなっているという指摘もある。

民間活力を生かして効率的な基盤整備

 スマートICによる交通利便性の向上で、高崎商圏の拡大と高崎都心部への求心性強化が期待できる。栄町だけでも1、000億円の卸売商社が集積し、東口線沿線の東町から上中居町を含めると2、000億円の商社が所在している。高崎市の卸売売上額の20%が東口線沿線にある。小売りでは、高崎駅東口から中心商店街で約1、000億円の集客を持っており、ビジネス集積と集客による重層的な力が発揮できそうだ。甲信越、北関東、北陸、首都圏へのゲートウェイ機能により、企業の新規進出需要が高まれば、ビジネスパークも立地の受け皿となる。

 高崎駅東口整備では、高速バスターミナルや屋外ステージ、ペデストリアンデッキなど、企業協力で行財政負担が軽減できた。これからの高崎市に必要なコンベンション機能なども同様に民間活力を生かすことで、市の財政負担を抑えて整備していくことができる。

 スマートIC整備と土地の高度利用によって沿線開発の活性化がねらえる。高崎市が東口開発の切り札として温存してきた栄町駐車場用地もある。市民の関心が集まる中で、なかなかはっきりしない高崎競馬場跡地利用も、東口線沿線の再開発が進めば、方向を出さざるを得ない状況になるだろう。

 スマートIC整備によって栄町から環状線に至るエリアは、既存の商社集積に加え、大きく変貌する可能性を持っている。

スマートICの設置でさらに高まる高崎の都市力

(文/菅田明則・新井重雄)
高崎商工会議所 『商工たかさき』2008年12月号

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