人口37万3,000人の新高崎市が誕生/6月1日に吉井町と合併!

(2009年2月)

人口37万3,000人の新高崎市が誕生/6月1日に吉井町と合併!

 吉井町議会は1月13日の臨時会で高崎市との合併関連議案を可決しました。これまで吉井町議会では合併慎重派が多数を占めていましたが、この日の臨時会で4時間を超える質疑や討論を行い、賛成8、反対6で可決されました。これにより6月1日の合併に向けて大きく前進しました。


吉井町議会が合併関連議案を可決

 これまで吉井町議会は合併慎重派の議員が多数を占めてきました。臨時会では斎藤軍雄町長、町当局、賛成派議員、慎重派議員の討論が4時間半にわたって行われました。
 会議の冒頭に、斎藤町長は「吉井町では7年にわたり合併議論を行ってきた。町民に溝や亀裂が生まれないことが肝心だ。大所高所から判断してほしい。住民の意思を尊重すれば議会解散もなく、町は丸くおさまる」と可決を求めました。
 賛成議員からの質疑では、「高崎市とのサービス格差は明らか。新たな吉井町の発展、住民サービスの向上が望まれる。民意に沿った判断が大切だ。これ以上の混乱は避けなければならない」「合併慎重派もまちづくりの気持ちには差異はない。しがらみによる抗争を終息させよう」。「高崎市と吉井町は古代から一体的な地域。スケールメリットで一体的な発展ができる」など述べられました。
 慎重派議員からは「合併で周辺部が衰退すると報告されている。吉井町ならではのまちづくりを進め、合併は先送りすべきだ」「合併協議は急ぎすぎて、吉井町独自の制度が排除されている。慎重派は悪者扱いで議会解散の脅しにあっている」など述べられました。また、斎藤町長が昨秋、合併が可決されれば辞職すると発言したことについて、辞職の時期を具体的に示すよう求められました。斎藤町長は、今回の議案に同件は含まれていないとしながら「発言以降も議会は合併について何も対応せず、議会の解散署名が集められた」と白紙化を示唆。「発言に責任を持ちたい」と言うにとどめました。
 裁決は、無記名投票で行われ、賛成8、反対6の結果となりました。なお、吉井町では、住民によって議会解散署名が集められ、否決された場合は解散の本請求が行われることになっていました。


高崎市議会は合併関連の補正予算を可決

 一方、高崎市議会は吉井町議会の臨時会を前に、1月8日に臨時会を開き、吉井町との合併関連議案を可決しています。この臨時会で審議可決されたのは、今年六月一日に合併するための廃置分合、財産処分、吉井町議員の在任特例、吉井町地域の地域審議会の設置、吉井町との合併に要する補正予算です。補正予算では、電算システム統合のためのシステム委託料等1億7、510万円、吉井町との交流バス1月から年度末までの運営費331万円が措置されました。
 高崎市議会臨時会では、飯塚俊彦議員(共産)が「合併で吉井町が二分されている。推移を見守るべきだ」と現時点での議決に反対。共産除く全会派を代表し石川徹議員が「合併は住民の直接請求に基づくもの。吉井町住民の付託を受けている。合併が最善の選択だ」と賛成意見を述べました。


歴史的な繋がりのある地域の再統合で
高崎市と群馬県の南玄関としての発展を期待

 平成21年6月1日に誕生する新市は、面積約460平方キロ、人口37万3千人の都市となります。北関東、北信越地域の拠点都市として、さらなる存在感を示すことになります。高崎市は二度の合併により、群馬県最大の都市になりましたが、高崎市が将来、政令指定都市や州都をめざしていく上でも、吉井町との合併は大きな意味を持つことになります。
 また、高崎都心部から中山峠を経て吉井町に至る幹線道路には、大学、住宅団地、ゴルフ場、大型郊外店などが続き、現在でも行政域を超えて活発に交流が行われています。高崎市のこれまでの合併も、今回の吉井町との合併も、同じ生活圏・文化圏で暮らす住民が一つの都市を形成するという大きな意義をもつものです。
 上信越自動車道吉井ICや国道254号バイパスは、高崎市や群馬県の南玄関として、また西毛地域の動脈として大きな役割を担います。今後、高崎市全域の観光や産業振興を図るうえでも、吉井ICへのアクセス道路や254号バイパスを整備していくことは重要な事業となります。
 吉井町には、日本三古碑の一つである多胡碑に象徴される貴重な文化的遺産や史跡が多数あります。国特別史跡に指定されている多胡碑には、和銅4(711)年に多胡郡が設置されたことが刻まれています。当時の多胡郡は、吉井町と南八幡地区をあわせた郡で、多胡碑、山ノ上碑、金井沢碑の上野三碑が、2011年の多胡郡建郡1300年を目前に、再び同じ地域として一体化したことは、歴史の巡り合わせを感じさせます。
 高崎市は一九九五年の高崎都市圏構想を提唱し、生活圏や文化圏に合致した行政域を再編することに取組んできましたが、今回の吉井町との合併で歴史的にも古くから繋がりのあった地域が再統合され、地域主権を基盤とした21世紀の都市づくりが大きく前進したといえます。


(文:菅田明則・新井重雄)

高崎商工会議所 『商工たかさき』2009年2月号

高崎の都市戦略 最新記事

勝ち残る専門店

グラスメイツ
グラスメイツ
メガネ店の店員も買いに来るメガネ専門店
辰巳
辰巳
印傳と陶器の専門店/県外からもお客様
有限会社三洋堂
有限会社三洋堂
パソコン全盛時代に書道のおもしろさを伝える

すべての記事を見る