新都市創造戦略の核としての都市集客施設

(2010年5月)

コンベンション施設と音楽ホールを一体化

 松浦市長が提起した新都市創造戦略は、当所の新都市創造推進委員会が、昨年の10月に行なった提言に呼応したもので、松浦市長はその具体的なプロジェクトとして新たな都市集客施設の整備を提起した。以下は松浦市長が語った都市集客施設整備についての内容である。


 「高崎に人が集まる、人を集める」新たな都市集客施設の整備が必要である。高崎の民間企業の活力や市民の活力を最大限活用し、新たなコンベンション施設や音楽ホールなどの都市集客施設の整備、集客交流サービス産業の育成が高崎の持続的発展と都市機能を高めていくために大事なことである。


 新たな都市集客施設の整備は、高崎の都市づくりの戦略的な都市の装置、集客装置として構想していく。また、その建設場所については、高崎駅東西を連続させ、高崎都心部の拡大を図ることで、「まちなか」全体の交流人口を増大させていくことを視野に入れて検討していく。したがってコンベンション施設と新しい音楽ホールは一体のもとして整備していく。


 また、北陸新幹線の金沢延伸、北関東自動車道路の全線開通、高崎・玉村スマートICと高崎駅の直結で、群馬の玄関口である高崎駅周辺エリアは、ますます多くのビジネスマンやビジターが集まることが予測される。新たな都市集客施設の整備は、魅力的で活気ある都心部の形成や高崎経済圏、高崎都市圏の拡大にもつながる。


 さらに、群馬音楽センターについては「高崎の文化、市民のまち高崎のシンボルとしての大事な高崎の歴史遺産である。必要な改修を最低限行い、高崎公会堂的なパブリックホールとして可能な限り長く活用することを検討する」と明言した。


平成28年度のオープンをめざし「都市集客施設整備室」が発足

 高崎市は新年度に入り、松浦市長の提起した新都市創造戦略やその核となる新たな都市集客施設の整備構想を受けて、市長公室に都市集客施設整備室を設置した。都市集客施設整備室は、高崎市の都市づくりの理念である「交流と創造のまちづくり」を積極的に展開するため、都市の集客交流を促進するコンベンション機能の検討や、第5次総合計画の主要プロジェクトである芸術・コンサートホール整備事業も所管する。


 都市集客施設整備室が新たに発足したことは、文化施設としての芸術文化ホールを整備するのではなく、高崎の都市戦略として、高崎の立地や都市資源を最大限活かし、全国から集客を図るために、核となる、今までにない新たな都市集客施設を整備していく方向性が明確になったことを示している。


 都市集客施設整備室では、平成22年度中に基本構想を策定し、平成23年度には基本設計、平成27年度中には完成、平成28年度オープンをめざしている。都市集客施設整備と一体となって推進するスマートICや高崎駅東口線沿線の開発整備、中心市街地の新たな活性化策、集客交流を都市戦略としていくためのさまざまな施策や事業の検討、都市集客施設の整備手法や場所など多くの課題もあり、将来の高崎の発展を左右する整備構想でもあるので市民はもとより内外の注目や関心が高まっている。


高崎の文化力・ブランド力が集客の決め手に

 コンベンション施設や音楽ホールを主体とした都市集客施設の建設は、単体の施設を建設するという枠組みを超えて、都市開発プロジェクトとして捉えていくことが必要である。それは、今回の都市集客施設整備が高崎の新しい集客コアとして、都心機能の広域的拡充と都心部の質的拡大を図っていくことに狙いがあるからだ。


 経済や産業が活性化すれば都市が発展するという時代は終わったと言える。ヨーロッパの歴史都市や芸術都市のように、これからは文化の持つ創造性・文化力といったものがパワーになって、都市や街の経済発展、再生、活性化につながる。国際的にも国内的にも都市間競争の時代に突入し、多くの都市が街の賑わいや活力や創造性を高めていくために、文化や芸術のもつ力を活用していこうとしている。


 こうした都市文化戦略が高崎にも必要である。都市への集客を図るのは文化が大きな鍵を握る。これが都市のブランド力となる。群馬交響楽団に象徴される「音楽の街」という高崎の資産を活かす形で、音楽ホールを併設する高崎らしいコンベンションの在り方が想像できる。


 また、コンベンションは施設も大事だが、コンベンションを支えるためのソフトビジネスの充実も求められる。人材や企業の育成も相まって、コンベンションが成立する。新たな集客交流ビジネスやそれを担う人材を育成し、ビジネスチャンスをいかに創出していくか、という課題もある。


 今年度、当所の新都市創造推進委員会でもコンベンション施設やコンベンション都市構想の研究に着手した。都市集客施設の整備は構想ではなく高崎の都市づくりの核となるアクションプランとして行政と民間と市民が連携して取組むことが求められる。


■コンベンションとは
 狭い意味でのコンベンションは、企業、団体、公的機関などの広域的規模の会議、大会、学会、展示会など。この他にスポーツ大会や文化イベント、さらにはお祭りやフェスティバルなども、広い意味でのコンベンションといえる。


■コンベンションセンター&コンベンションビューロー
 コンベンションセンターは、会議場、展示面積、収容人数等の明確な定義・基準はないが、ホールや展示室、複数の会議室、レセプション会場、来場者の各種サービススペースを備えている複合施設。また、コンベンションビューローは、コンベンションを誘致し、支援を行う機関。今や都市セールスには不可欠な組織。


■国際会議観光都市
 「国際会議等の誘致の促進及び開催の円滑化等による国際観光の振興に関する法律」に基づき、現在51の都市が国際会議観光都市として国土交通大臣に認定されている。国と自治体が一体となって誘致に取組み、日本で開催されている国際会議の比率を3%から6%まで引上げることを目標にしている。


(文責/菅田明則・新井重雄)

高崎商工会議所『商工たかさき』2010年5月号

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