高崎森永第一工場が8月から稼働

産官あげて歓迎

高崎森永第一工場が8月から稼働/産官あげて歓迎高崎森永株式会社の第一工場

 高崎の産業界が待ち望んでいた高崎森永株式会社第一工場が竣工し、8月から稼働を始めた。森永製菓の生産子会社の形態をとり、森永製菓のフラッグシップ(旗艦)工場に位置づけられている。同社国内生産の中核として第二工場建設計画も進んでいる。

 高崎工場は同社にとってどの様な役割を担うのか、雇用や地域との係わりなど、高崎市にとってどんな影響があるのかレポートした。

森永製菓の生産子会社

 新工場は、森永製菓株式会社100%出資の生産子会社として4月に設立された高崎森永株式会社の第一工場として位置づけられている。森永製菓の生産拠点は、国内に5拠点あるが、直営ではなく生産子会社の形で運営される。高崎森永の池田弘社長は、生産子会社化について「市場環境にあわせた柔軟な経営、生産体制づくりが行える」と説明する。工場長の職位はなく、池田社長が統括する。

 8月稼働の第一工場は、年間生産量100億円規模を計画。マリー、ムーンライトなどのビスケットと、これから発売が予定される新製品が生産される。新製品については、第一工場の主力製品となるようだ。

第三工場まで視野に入れた森永旗艦工場に

 森永製菓が取得した、いわゆるキリンビール跡地の敷地面積は17万8千㎡。第一工場は延床面積1万4千㎡の規模。

 第二工場は来年3月に着工し、平成25年6月稼働予定で、チョコレートやハイチュウの生産が関西の工場から移管されてくる。第二工場稼働に伴い、関西の工場は閉鎖される計画になっている。池田社長は「第三工場まで視野に入れている」と展望を語っている。

 森永製菓の国内生産拠点を再構築する中で、高崎森永は「今までの森永にはない工場づくりを進める」という。「常に革新し、進化し、発信し続けるリーディングファクトリー」を企業コンセプトに、森永製菓のフラッグシップ工場を目指す。

高崎森永株式会社・池田弘社長高崎森永株式会社・池田弘社長

進出の決め手は交通拠点としての利便性

 キリンビール高崎工場が平成12年8月に閉鎖し、森永製菓の工場進出が決まるまで、7年の年月を経た。森永の高崎進出に伴い、平成19年秋に行われたキリンホールディングスと森永製菓の共同記者会見では「日本海側、太平洋側、どちらにも近く輸送効率が上がる」など、高崎の交通の利便性が森永に高く評価されていた。

 当初計画は、平成20年10月着工、平成22年春稼働の予定だったが、着工目前の20年6月、原材料価格の高騰などを背景とした生産体制の見直しで、高崎工場の建設延期が発表された。森永製菓からは、延期ではあるが計画通りに建設する方針が示されていたが、「無期限凍結」の報道に、高崎産業界のショックは大きかった。

 「私どもは、一度も無期限凍結と言ったことはなかったのですが」と池田社長は申し訳なさそうな表情を見せる。

 本年4月の竣工式には、大澤正明群馬県知事、松浦幸雄前高崎市長、高崎商工会議所の原浩一郎会頭も招かれ、高崎は産官あげて歓迎をした。

開かれた工場を目指して

 第一工場玄関には、森永製菓のシンボルである天使のブロンズ像や、大きなガラス彫刻が置かれている。どの工場にもこうした調度があるのか質問すると、「高崎だけです」という。森永製菓のエンゼルマークには「食」を通して、多くの人たちに価値と感動を届けたいとの思いが込められており、池田社長の思い入れの強さを感じさせる。

 工場見学も、操業が落ち着いてから開始する考えで、第一工場内には包装過程が見学できる場所が設けられている。「第二工場は、製品づくりをもっと知っていただけるような見学コースを検討したい」と池田社長。

高崎森永株式会社・池田弘社長

高崎市と共に歩む

 現在高崎森永の従業員は70人で、森永製菓からの出向と地元採用が半々になっている。求人のため、池田社長が6月にハローワークに出向くと、「やっといらしていただけましたね」と言われたそうだ。従業員募集には大きな反響があり、うれしい悲鳴だった。来年4月の高卒新規採用も考えており、若者の就業拡大にもつながる。

 仮に地元採用者の月額平均給与を12万円とすると、年間5,000万円を超える賃金になる。また、守衛、清掃、倉庫、輸送なども地元企業に業務を委託しており、雇用などの経済効果だけでなく間接的な波及効果も大きい。ビスケットなので使用量は多くはないそうだが、製品には高崎市の上水道も使用されている。

 合併により事業所税の課税団体となった高崎市は、今年7月から対象企業への課税が開始された。非課税部分や高崎市の助成支援制度による助成を考慮せずに、単純に第一工場の床面積と単価で事業所税を試算してみると、年間ざっと800万円を超える金額になる。さらに固定資産税や都市計画税、法人市民税など、今後高崎市に納められる税収だけでも相当な金額となる。

 森永製菓の創業は明治32年(1899)で、高崎市制施行が明治33年(1900)と、期せずして同じ時代を歩んできた。森永製菓というナショナルブランドが高崎に存在する意義は大きく、活力あるまちづくりや都市としてのブランドイメージアップにつながる。

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