市長会頭新春対談

市長会頭新春対談

  • 富岡賢治・高崎市長富岡賢治
    高崎市長
  • 原浩一郎・高崎商工会議所会頭原浩一郎
    高崎商工会議所会頭
  • 聞き手/二居野未来(ラジオ高崎)聞き手:
    二居野未来
    (ラジオ高崎)

高崎の元気が復興の力に

二居野: 新年あけましておめでとうございます。富岡賢治・高崎市長と原浩一郎・高崎商工会議所にお話を伺います。

富岡賢治市長:あけましておめでとうございます。今年も高崎に元気が出るように全力でがんばって参ります。市民の皆様もよろしくお願いいたします。

原浩一郎会頭: あけましておめでとうございます。昨年の大震災で、今年は「おめでとう」のあいさつを控えたほうがいいのでは、ということも聞いています。しかし昔から、いやなことがあればある程、年が替わって心機一転し、新しい決意や覚悟で出発できることに対し「めでたい」と言ってきたのだと思います。あえて使わせていただきました。

富岡市長: 大震災で被害を受けた方に心からお悔やみを申し上げ、高崎市も復興支援の取り組みを一生懸命続けていかなければなりません。復興のためにも、自分たちのためにも皆が元気を出し、高崎に、日本に活力をもたらしていくことが大事だと私も思います。

震災対策や産業施策に大きな成果

二居野: 東日本大震災は、私たちの生活に大きな陰を落としました。

原会頭: 東日本大震災後は、自粛ムードで多くの行事が中止、延期になりましたが、これではいけないと思い、高崎商工会議所の事業は全て予定通り実施しました。

富岡市長: 高崎の産業も大きな打撃を受け、震災対策は市政の大命題でした。震災から学ぶこともたくさんありました。人を救うということは、地域のつながり、人の絆だと強く感じました。市長就任後は、早く対策を実施したいと思い、中小零細企業と放射性物質の被害を受けた農業従事者に対し、まず最初に対策を実施しました。特に住環境の改善、改修の支援制度は、予想を大きく上回る申し込みがあり、市内の建築業者の売上げ増につながりました。高崎の公共事業や物品の購入では、高崎市民の税金を使うのですから、高崎の企業に潤ってもらうように方針を出しました。

原会頭: 東北地方の被害で部品供給が止まり、日本中で工場の操業が滞ってしまった。さらにタイの大洪水でも日本企業の自動車生産が止まってしまいました。「震災は忘れた頃にやってくる」と言われますが、高崎市も災害に対する備えを本格的に行ってほしいと思います。

富岡市長: 高崎市の防災基本計画は、高崎が直下型地震に見舞われた場合を想定しており、原会頭が話されたことは考えられていなかったのです。

 高崎市そのものは、大きな地震や災害が少ない都市ですが、今回の震災では、福島第一原発事故の放射性物質漏れで、高崎は二次的に大きな被害を受けました。タイの洪水のように、海外の災害が、高崎に被害を及ぼしたことも大きな教訓です。高崎市の防災計画の見直しを進めています。

原会頭: 富岡市長が矢継ぎ早に対策を打ってきた効果があり、経済界として大変ありがたいと思います。農業では、風評被害が大変心配されましたが、2億円の基金を創設、活用し、施策を展開していただきました。事業所税の4分3補助や、企業の誘致と市内企業の流出を防ぐ産業政策を打ち出し、コンベンション計画も発表されました。

富岡市長: こうした施策を進める上で、高崎商工会議所の意見は大変貴重でした。市長に就任し、高崎に企業を誘致してこよう、仕事を持ってこようと張り切っていたところ、実はそれどころではなく、いくつもの市内企業が、高崎から出て行く計画を検討していたことがわかりました。海外に工場を移転するのであれば、グローバル化の中でしかたがないとも思いますが、市外、県外に出ていってしまわれては雇用や税収が失われ、一大事です。企業に高崎を選んでもらうための条件が必要です。高崎市は北関東、上信越の中核的な都市ですから、全国に誇れる制度を整えました。

集客力を高めるため民間と行政の連携強化

二居野: 昨年、富岡市長は、高崎駅東口の都市集客施設の計画を発表されました。コンベンション施設も話題になっています。高崎の未来へ向けた取り組みとして、行政と民間が協力して進めるプロジェクトであり、期待されています。

原会頭: 都市集客施設については、当所の高崎新都市創造推進委員会が2年間をかけて研究した結果を、一昨年の11月とさらに昨年の8月に提言書として市に提出しました。高崎市の構想には、この提言が大きく反映されており感謝しています。ハコモノだけ作っても人は集まりません。人が集まる仕組みをみんなで創造していくことが究極的な目標になると思います。

富岡市長: 北関東自動車道が全線開通し、まもなく北陸新幹線も金沢まで延伸されます。交通拠点性は都市の基礎的な条件ですが、それだけで高崎に人、もの、情報が集積するというものではありません。高崎駅の東口に集客施設を作り、「文化ゾーン」、「ビジネスゾーン」を設けて、高崎に人、もの、情報が集積するよう魅力を高めていきます。

 高崎をにぎやかにする催しや工夫を、高崎商工会議所は、積極的に仕掛けていただいていますね。高崎がおもしろい「まち」になるよう、思い切った都市改造を行政と商工会議所が一体となり行っていきましょう。

原会頭: 昨年は2回目の「高崎商都博覧会」に併せて、101店舗の飲食店が参加した「高崎バル」を初めて開催しました。反響も大きく、継続していく予定です。

 交通が便利になることは、市外から攻め込まれることでもありますから、ライバルも広域化します。今まで以上に、企業間競争、都市間競争が激しくなるでしょう。高崎の持つ、他にない特徴をもっと生かし、人を集めることが必要です。私どもも、高崎「農・商工・観光・文化」会議所として取り組んでいきます。

富岡市長: その視点は重要です。高崎が観光のデスディネーション(目的地)になるには、まだまだ魅力が足りないと思います。音楽と観光、飲食など複数の組み合わせが重要になるでしょう。

 高崎市の文化政策の目的は、高いお金を出して芸能人を呼んできて、ホールをいっぱいにすることではありません。色々な文化活動がまちなかで行われるようにし、高崎の文化活動、創造活動を応援していきたい。新しく東口にできる集客施設には、若者の音楽や演劇などの文化活動を応援し、人が集まる場にしていくように考えています。

原会頭: 人を呼び込むには、経済力だけでなく、芸術文化や歴史遺産、自然などあらゆる要素を複合的に積み上げていく体制が必要になります。

富岡市長: 高崎は、全国で活躍している芸術家も輩出しているので、力を借りて盛り上げていくことも必要です。それが、ビジネスにも文化振興にもつながってくるでしょう。

 キングオブパスタも大変なにぎわいとなりました。「パスタ通り」があればいいなと思います。

 高崎駅の東側でビジネスを盛んにして、その流れをまちなかにもってくるような施策を考えています。中心市街地を活性化したいと、日本中で同じことを何十年も言い続けていますが、解決策が見つかっていません。高崎をエキサイティングなまちにしたいと思っています。

原会頭: 高崎市のまちづくりに官民をあげて、取り組んでいきたいと思います。

さらに新しい試みに挑む

二居野: 2012年の新しい事業にも期待されています。

原会頭: 今年は、富岡市長の積極的な提案を受けて、当所も全面協力して、新しい仕掛けを行っていきます。新しい交通手段として「高崎市まちなかコミュニティサイクル」、略して「タカチャリ」を検討しています。自転車をまちなかで自由にレンタルする仕組みです。法律の改正で、歩道でオープンカフェができるようになったので、高崎の中心商店街の活性化のため、群馬県で一番に取り組んでいきたいと思います。

 個人的にも「進化」と「深化」をキーワードにマンネリから脱皮して、ものごとを深く掘り下げていけるようがんばっていこうと思います。

富岡市長: こうした事業は問題点から考え始めると、実現できないのです。まちを元気にするガッツ、志があれば、課題は乗り越えられると思います。やらなければまちは変わらないと思います。全国のまちができなかったことを高崎でやろうと思います。緑にあふれた詩情豊かな風格のあるまちづくりや、歴史的なまちなみの保全にも取り組んでいきます。

二居野: 高崎には、いいものがたくさんあることを認識し、発信する力を持つことが必要だと感じました。エキサイティングなまちにするために、やろうと思ったことをやる、前向きな姿勢が2012年は必要だと思いました。

 高崎市のまちづくりが、2012年はどのように進んでいくか、お二人に伺ってきました。富岡市長、原会頭、ありがとうございました。

富岡市長・原会頭: ありがとうございました。

(ラジオ高崎特別番組/平成24年1月1日放送より要旨)

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