鉄のプロとして地球規模の貢献をめざす

石井商事株式会社

(2013年3月)

鉄を中心にした金属の再資源化

 昭和18年に東京都葛飾区で創業した石井商事は、製鋼原料の仕入れ・販売業として創業した。そして、金属の再資源化と、取り除いた後の不要物の有効利用に取り組んできた。昭和37年に高崎営業所を、46年に高崎工場を開設し、埼玉の八潮工場とともに精製・加工の拠点となった。

 平成7年に開発・製造した鉄粉を利用した住宅建材・高性能制振遮音材『すーぱー静香』の販売も始めた。『すーぱー静香』は、現在国内シェア80%を占めている。

代表取締役の石井さん

鉄の可能性を拓き、新たな事業へ

 平成13年に高崎の営業・生産拠点が分社化され、石井敏明氏が代表取締役に就任した。高崎の仕事を取り仕切っていた父親の仕事にあこがれ、幼い頃から「鉄」に親しんできた石井社長は、「鉄」の可能性を広げ、社員たちも仕事に誇りを持てるようにと、新たな事業を模索した。

 翌14年群馬工業高等専門学校との産学連携により金属リサイクルに関する共同研究を開始したことから大きな転機を迎え、水質浄化やリン除去など、国内や海外数カ国で特許を取得するに至った。

『ミスタースチールカーボーン』を引上げ、牡蠣卵の着卵状況を観察。

山田湾(岩手県)で『ミスタースチールカーボーン』を、牡蠣のいかだに設置。

環境にやさしい水質浄化材の開発

 平成16年自然にやさしい炭素繊維と鉄材を使って河川や湖沼を浄化する仕組みを開発、薬剤を使わない世界初の試みに成功した。水中のリンが増加することでアオコが大量発生し、酸素不足から生態系の破壊を招くが、リンを鉄イオンと結合させ無害なリン酸鉄にすることで、環境へ負荷をかけることなく除去できる。環境水だけでなく産業排水にも有効だ。特許取得まで約4年を要し、水質浄化材『すーぱーぴーとる』が誕生した。

 さらに、佐渡ケ島の加茂湖での水質浄化実験から、鉄板を入れた炭素繊維には、牡蠣や魚が着卵しやすく、しかも生育のスピードが速く大きく育つことが判明した。これが海水に適応する商品『ミスタースチールカーボーン』の開発につながり、東日本大震災でダメージを受けた岩手県山田町の牡蠣養殖復興の大きな力として、科学技術振興機構(JST)の復興促進プログラムに採択された。

 石井社長は、自社の技術や商品の普及で、地球規模の貢献が実現できることに大きな手応えと誇りを感じている。夢は「地球温暖化をくいとめる」こと。

石井商事株式会社

高崎市倉賀野町3018
TEL:027-346-0551
URL:http://www.ishii-eco.jp

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