高崎新都市創造推進委員会平成22年度提言書

2010年11月24日

提言者
高崎商工会議所会頭 原 浩一郎

 高崎市がテーマとしている「交流と創造」の都市づくりを具体的に推進していくために、当所は「高崎新都市創造推進委員会」を設置した。

 「高崎新都市創造推進委員会」では、高崎・玉村スマートICの建設を契機に、高崎の都市軸を東に伸展させ、広域的な業務機能の集積や新産業の創出を図ることが高崎市全域の発展に必要であると考える。また、中心市街地の活性化にとっても極めて重要なことである。

そのために、高崎駅東口から高崎・玉村スマートICに至る高崎駅東口線(東毛広域幹線道路)沿線地域の開発・整備計画を立案し、新たな産業副都心の建設や企業誘致を早期に図り、広域的な業務都市としての集積を高めていくことが高崎市の発展を期するものと考える。

 また、広域的な業務都市としての集積を基盤にして、高崎の交流人口を増大させる「集客プロジェクト」の推進が高崎の活力と賑わいを創出するには不可欠と考える。

 この集客プロジェクトを実現するには、高崎の新たな都市創造の核となる「都市集客施設」建設が必要となる。「都市集客施設」は、高崎を業務都市として、さらに発展させていく上で必要であると同時に、高崎の新たなシンボルとして、高崎の都市力、ブランド力を高めていくものとなる。

 このような考え方をもとに、高崎新都市創造推進委員会は、高崎駅東口から高崎・玉村スマートICに至る高崎駅東口線(東毛広域幹線道路)沿線地域の開発・整備計画と「都市集客施設」の建設・整備を高崎の新たな成長戦略として位置づけ、その実現に向けての基本方針の取り纏めを行った。

 また、このような新たな都市開発と合わせて、都市の活力と賑わいを創出していくために高崎の「食」の活性化も重要との認識のもとに、「食で高崎を元気にする」ための検討も行ったので、併せて提言する。

高崎新都市創造推進委員会平成22年度提言書

高崎新都市創造推進委員会平成22年度提言書

提言Ⅰ
広域業務都市をめざし「高崎新産業副都心」をつくる

JR高崎駅と「高崎・玉村スマートインターチェンジ」を結ぶ高崎駅東口線沿線開発の推進

 「高崎新都市創造」構想は、高崎を広域業務都市として位置づけ、その発展を図っていくものである。経済産業構造の変化、経済活動のグローバル化、都市間競争の激化が凄まじい勢いで進展しているなかで、高崎の都市づくり、都市開発も速やかなアクションを起こしていかなければ、高崎は持続的な発展を図ることはできない。

 そのために、高崎が業務都市としての機能と集積を高め、北陸・信越と首都圏・東京へのゲートウェイとしての地位を確立していかなければならない。業務都市として、さまざまなビジネスチャンスを創出し、交流人口の増大を図り、文化と経済の融合により、創造力と活力みなぎる都市をつくる。

 これを実現していくためには、「高崎・玉村スマートインターチェンジ」の建設、高崎駅東口線(東毛広域幹線道路)沿線と高崎東部地域の開発、高崎駅を中心とした都心部の拡充と活性化に先ず取組んでいかなければならない。

 高崎・玉村スマートICの建設を契機に、高崎の都市軸を東に伸展させ、広域的な業務機能の集積や新産業の創出を図ることが肝要である。そして、この地域に「新たな産業副都心」を開発・整備することが求められる。

 高崎は関越・上信越・北関東自動車道と、上越・北陸(長野)新幹線などの高速交通網が十字に交差し、日本有数の交通拠点性を有していることは周知の通りである。平成23年春には北関東自動車道が全線開通し、平成26年には北陸新幹線が金沢まで延伸される。

 また、JR高崎駅東口に発着する高速バスの路線増加など、高崎市の高速交通網はさらに高いレベルで充実していく。このような状況の中で建設が計画されている高崎・玉村スマートICの建設は、高崎都心部と高速道路、新幹線高崎駅と高速道路を直結させ、高速交通網がより便利に活用できることになる。高崎・玉村スマートICはフル仕様のICであり、実質的に「新高崎IC」となる。

 そこで、高崎・玉村スマートIC周辺地区を高崎市の「新たな産業副都心」として位置づけ、日本海と世界都市東京、そして太平洋を結ぶ新しい交流拠点エリアとして、現行の農業施策との調整を図りつつ、周辺環境とバランスのとれた開発・整備を推進していくことが必要になってくる。

 北関東自動車道の開通は、国際コンテナ港湾である茨城県常陸那珂港と高崎都心部が直結されることを意味する。観光・ビジネスだけでなく物流等の分野においても地域開発のポテンシャルが大きく向上する。

 高崎は、北関東自動車道の開通とスマートICの完成で、太平洋・日本海、世界都市東京の結節点になり、内陸にありながら世界とつながることになる。

 また、一方で、日本海側で初の政令指定都市である新潟市は、環日本海の国際交流拠点としての発展を期している。

 さらに、金沢市は、北陸新幹線の金沢延伸を契機に、重厚な歴史と伝統をもち、かつ広域都市機能が集積する世界都市をめざしている。

 このように、国際的な視野と都市戦略をもった、ひたちなか市、新潟市、金沢市の結節点として、さらに世界都市東京ともダイレクトに結ばれる拠点都市が高崎なのである。

高崎市は現在、工業団地が不足している。また、物流・商業団地についても、高崎卸商社街の建設以来40年余が経過し、経済環境や産業構造が大きく変化している中で、市内企業が市外に流出する危惧を抱えている。このような現状を打開し、高崎が群馬県最大の産業都市、業務都市として持続的な発展を遂げていくためには工業、物流、卸売、サービス等の幅広い業態の企業が進出可能な新たな産業団地の新規開発・整備が急務である。

 そのためには、高崎・玉村スマートIC周辺、そして高崎駅東口から高崎・玉村スマートICが建設される関越自動車道を結ぶ高崎駅東口線(東毛広域幹線道路)沿線地域を「高崎新産業副都心」として開発・整備を行い、新潟市、さいたま市、宇都宮市、長野市などとの都市間競争を戦えるだけの産業・経済競争力を高めていかなければならない。

 また、高崎駅東口線(東毛広域幹線道路)の沿線上にある高崎競馬場跡地の今後の活用方法も大きな課題であるが、開発・整備計画を構想する以前に、先ずは跡地の保全を図るための施策が急務である。

 「高崎新産業副都心」は、先進的な優良企業及び地元企業の誘致によって新たに安定した雇用を創出し、高崎市の財政力の強化をめざすものである。

 さらに、多様で高度な土地利用を図り、地域経済の活性化や新たな産業の創出を図るとともに、東名高速道路の遠州豊田スマートICや北関東自動車道の宇都宮の上三川ICのように、高崎・玉村スマートICそのものを活用した新しい商業施設の開発や誘致を図り、高崎への集客を図っていくことも視野に入れる必要がある。

 現在、高崎・玉村スマートICに近い北関東道前橋南IC周辺で、前橋市の南部拠点地区整備が進められている。また、隣県の本庄新都心地区の整備も進展しようとしている。この二つの地域の開発は、一見すると高崎のライバルとも捉えることができるが、大きな視点で考えると埼玉県北から群馬の県央地域が、それぞれの個性や立地を活かしながらも一体のものと捉えた方が高崎の発展にとっても意味がある。また世界都市東京から見ると、前橋南も本庄も高崎も同じエリアなのである。

 むしろ高崎は、高崎、前橋南、本庄というトライアングルの要としての役割を果たすという視点で、今後の都市戦略を描いていくべきである。

上記の考え方に立って、高崎の新たな都市創造を図る成長戦略として、以下の提言を行う。

  1. 高崎が太平洋と日本海、そして首都圏・世界都市東京を結ぶ「広域業務都市」としての地位を確立するために、JR高崎駅から「高崎・玉村スマートインターチェンジ」に至る高崎駅東口線(東毛広域幹線道路)沿線の開発計画の立案を早急に行う。
  2. 高崎市は高崎駅東口線(東毛広域幹線道路)沿線の開発計画を立案するとともに、規制緩和や特区的制度活用や財政支援も受けられるように国や県に対して働きかけ、地元の地権者の理解を得られる動きを速やかに行う。
  3. 高崎が前橋南、本庄早稲田で行われている都市開発の要となるように、新たな高崎都市圏構想を立案し、群馬・北埼玉の中心都市としてのイニシアチブをとれるような大胆で積極的な地域間連携を図っていく。
  4. 高崎に拠点を置く企業が全国、世界に向けて企業活動を展開していくための支援策や環境の整備を行う。また、高崎の立地やロケーションを活かした企業誘致を図るための都市セールスを積極的に展開する。さらに高崎固有の「ものづくり力」「商業力」「文化力」「市民力」などを活かした新たな産業の創出に積極的に取組む。

提言Ⅱ
新たな「都市集客施設」をつくり、集客都市をめざす。

 新たな「都市集客施設」は、高崎・玉村スマートICの建設、高崎駅東口線(東毛広域幹線道路)沿線の開発・整備、JR高崎駅とその周辺地域の整備、北陸新幹線金沢延伸・北関東自動車道全線開通など、高崎の交通拠点性を最大限活かした施設としていくことが求められる。

 また、高崎市全域を集客都市・コンベンション都市と位置づけ、都市基盤の整備をさらに進め、都心部の拡大・拡充と都市機能の拡大を図り、高崎都心部への求心力・集客力を強化し、中心市街地の再生と活性化を図るとともに、その力を全市域に波及させていく都市づくりが必要である。

 これからの都市づくりは文化の持つ創造性、「文化力」といったものがパワーになって、都市や経済の発展、再生、活性化につながっていく。したがって高崎の「ものづくり、芸術創造活動、歴史遺産」を活かすことが、高崎の「都市力」を高め、新しい産業を創出し、高崎経済を拡大、活性化させる。

 その意味で新たな都市集客施設に、高崎の文化の象徴である群馬交響楽団の拠点としても機能する「音楽ホール」などを併設することも検討課題である。

 「都市集客施設」の建設・整備は、提言Ⅰで指摘したように、高崎が本来持っている業務都市としての機能をさらに向上させ、第3国土軸(東京~金沢・新潟~大阪)の要になる広域業務都市としての成長を図っていくことが前提となる。

 業務都市としての機能の充実・集積を図ることにより、交流人口を増大させ、国内外の多くの人々が 高崎を中心とした地域で、ビジネスを展開することにより、高崎のあらゆる産業経済の活性化と、新たな産業の創出を図ることが可能となる。業務都市としての集積が、コンベンション施設を成立させる基盤となる。

 高崎には、これまで市民ニーズに対応した都市施設はあったが、全国を視野に入れた広域的な都市施設は存在しない。新たな「都市集客施設」の建設・整備にあたっては、北陸・信越・首都圏を睨んだ施設として、全国規模(水準)のニーズに対応した施設であることが求められる。そのことなしに、高崎は広域業務都市や、また、新潟市、さいたま市と互角に戦っていける都市にはなり得ない。さらに、高崎の都市力やブランド力を高めていくためにも全国規模(水準)の「都市集客施設」が必要である。

 「都市集客施設」は、コンベンションや音楽ホールだけでなく、集客力や魅力を高めるために、商業施設、情報発信施設、教育研究施設、広域業務機能をもった企業や公共機関を併設することも必要である。拡大された都心部の賑わいを象徴する施設でなければならない。

 「都市集客施設」の建設・整備にあたっては、高崎全体をコンベンション都市として捉え、JR高崎駅と4分で結ぶ高崎問屋町の「メッセ機能」なども活用し、JR高崎駅周辺に建設整備する新たな都市集客施設との連携を図っていく。

 さらに、施設の建設や整備、そして運営については、民間活力を最大限に活用していくことが求められる。行政が主体となって建設・運営する「都市集客施設」ではなく、高崎らしい民間のパワーと知恵をいかんなく活用したものでなくてはならない。

 上記の考え方に立って、高崎の新たな「都市集客施設」の建設・整備に向けて以下の提言を行う。

  1. 交流ゾーン・コンベンション
    ○北陸・上信越を代表する業務都市に相応しい、新しい経済活動や新産業の創出を図る拠点施設の役割を担う。また、コンベンション都市高崎の中心施設としての役割を果たす。
    ○高崎の民間企業の活力や潜在力を活かすとともに、民間のマネージメント力、市民のホスピタリティを活かした運営を行う。
    ○大規模集会や展示にも使えるコンベンションホールやレセプションホール。各種会議に対応できる多彩な会議室を備える。
  2. 創造ゾーン・音楽ホール
    ○高崎の新たな都市文化を世界に情報発信するとともに、人々が集う「出会いと交流の迎賓館」的な役割を担う「ハレの場」とする。
    ○群馬交響楽団の創造活動を支援し、その本拠地としての役割を発揮できる場としていく。
    ○音楽会・セレモニーなどに使用でき、1500席~2000席程度の音響を重視した高機能ホールを中心にした施設構成とする。
  3. 商業・情報・業務ゾーン
    ○施設の高度化利用を図るために、情報発信施設や教育研究施設の誘致、新設を行う。
    ○広域業務機能の集積を図るために、民間のオフィスや公共機関の誘致を行う。
    ○集客力と施設の魅力を高めるために、商業施設、飲食施設、芸術関連施設を併設する。

提言Ⅲ
食で高崎を元気にする。

先ずは人づくり。「食で高崎をGENKIにする会」を支援

高崎新都市創造推進委員会では、「食で高崎をGENKIにする会」を発足させた。「食で高崎をGENKIにする会」は、高崎新都市創造推進委員会の「食で高崎を元気にする研究部会」の有志が中心になり、広く高崎の飲食業界や関係者に呼び掛けて組織し、飲食店の横のつながりを大事にし、情報交換やサポートをしあって、料理や飲食店経営に関する研修会や、地域イベントへの参加を通して高崎の「食文化づくり」に着手した。「食で高崎をGENKIにする会」では、

  1. 高崎の食の名物や食材の発掘やPR、高崎の新しい名物や料理の提案
  2. 高崎の食に関するイベントの開催や参加
  3. 高崎の食のポータルサイトの開設
  4. 高崎の食にかかわる産学官民のネットワークの形成
  5. 地産地消や食材集積の促進、食育や食の安全の推進
  6. 若手料理人独立支援や飲食店経営の相談や情報提供

今年度は、他都市で同じような志をもって活動する実力のあるオーナーシェフを招いての講演会と試食会の開催、高崎商都博覧会への参加などを通して、高崎の食の名物や食材の発掘やPR、高崎の新しい名物や料理の提案、地産地消や食材集積の促進、若手料理人の研修支援などに取組んだ。

今後は、地域の飲食業組合や飲食関連団体との連携を図りながら、飲食業界の垣根を越えた会員拡大と活動に力を入れるとともに、高崎の「食」を支える人材づくりと、インターネットや各種イベントを活用した情報発信にも力を入れ、高崎全体の「食」のアピールと賑わいづくりに貢献できる活動を行っていく。

「食」を高崎の都市づくりに活かし、高崎のまちを元気にしていくためには、飲食業者や料理人自身が、自分達の手で、高崎の飲食店全体を、レベルの高い活気あるものにするための活動や勉強をすることが先ず必要であるとの認識のもとに、高崎商工会議所は「食で高崎をGENKIにする会」とともに、高崎の「食」の振興を推進していくので、高崎市の一層の支援を要請するものである。

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