第4回 インタビュー 弁士さんへ質問! 坂本頼光さん編

(2012年10月11日)

第4回 インタビュー 弁士さんへ質問! 松田貴久子さん編写真を拡大「生演奏で楽しむ映画の醍醐味『かつべん』」10月13日(土)/高崎市文化会館

第1回第2回第3回第4回の続き】

 今回は実際に10月13日(土)に活弁をしていただく弁士さんお2人にしたインタビューを掲載します。

坂本頼光さん

坂本頼光さん

1979年6月23日 東京生  血液型/O型
身長/176cm 体重/60kg 特技/イラスト、動画製作

【略歴】

 少年時代はマンガ家志望で、水木しげる作品に傾倒。ひたすら妖怪の絵ばかり描く日々を送るも、中学二年頃より映画熱にとりつかれ、やがて活動写真弁士(無声映画の説明者)を志すようになる。

 1997年に『鞍馬天狗』で初舞台。2000年12月、正式デビュー。以降、時代劇作品を中心に活弁ライブを行う。これまでの説明作品は『番場の忠太郎・瞼の母』『国定忠治』『不如帰』『子宝騒動』『カリガリ博士』『バグダットの盗賊』『チャップリンの冒険』『のらくろ伍長』他、約50本。近年、何故か突然、絵心が復活。自作のアニメーションやイラストに活弁をつけたりもしつつ現在に至る。2010年2月、アメリカ・東海岸4大学公演ツアーを実施。好評を得る。

きっかけは課外授業で活弁を見たこと

 坂本さんと活弁の出会いは、中学2年(1993年)の時。課外授業で、澤登翠さんの活弁による『キッド』の上映会に行ったそうです。『キッド』の上映を見てから、活動弁士の仕事にあこがれを持ちはじめた坂本さんは「蛙の会」という一般の方の参加できる弁士研究会に入りました。これがきっかけで弁士として歩むことになります。

色々な登場人物の声を演じるのは面白い

 「声や喉の状態をよくするために、毎日必ずイソジンでうがいをしています」と坂本さん。多くの作品の活弁を行うわけですから日々そうした気遣いをされているのですね。しかし実はヘビースモーカーなのだそうです。意外な一面をお持ちのようです。

 女性が男性を演じることは多々ありますが、男性が女性を演じるのは一般的なお芝居ではなかなかありませんね。活弁では1人で女性、男性を演じなければなりませんが、坂本さんは女性のセリフでも、変に高い声を出さないようにされているそうです。ご自身の声でも、映画を見ている方に不自然に聞こえない程度のトーンで話すように心がけていらっしゃいます。いろいろな映画の登場人物の声を演じるのが活弁ですが、そこが面白いと坂本さんは語ります。

無声のアニメーションを自身で制作

 近年活弁を行った作品の中では大河内傳次郎主演の『御誂治郎吉格子』が印象に残っているそうです。これは、江戸を荒らした鼠小僧が大阪に逃れてきて…という物語で、つまり鼠小僧治郎吉を除いて他はみんな大阪弁になっており、字幕もそうなっています。坂本さん自身は東京出身なので、勘所がなかなか掴めず苦労されたそうですが、このようなときにやりがいを感じられるようです。

 現在坂本さんはご自身で、無声のアニメーションを制作されています。というのも、少年時代は水木しげるにはまり、マンガ家志望であったそう。ぜひ坂本さんの制作されたアニメーションを坂本さんの活弁で鑑賞したいものです。

活弁は「映画」と「語り」と「音楽」の三位一体で構築されるライブパフォーマンス

 今回の上映会で坂本さんは『チャップリンの冒険』『子宝騒動』『番場の忠太郎・瞼の母』を活弁されます。

 『チャップリンの冒険』は、短編喜劇時代のチャップリンが最も充実していた時期の作品で、ギャグの数、展開のスピーディさなど、様々な点で非常に優れた一本だそうです。

 そして、そのチャップリンにあやかり「和製チャップリン」のニックネームで売った松竹の喜劇俳優・小倉繁主演の『子宝騒動』が今回上映されます。西洋のスラップスティックコメディとはまた一味違う、ドタバタ喜劇の傑作を坂本さんの活弁でお楽しみ頂きたいと思います。

 片岡千恵蔵主演の人情時代劇『瞼の母』は、『無法松の一生』『風林火山』等で知られる稲垣浩監督の、無声映画期の代表作。今年惜しくも亡くなられた山田五十鈴さんが、重要な役で出演されているところも注目して頂きたい点だそうです。

 坂本さんに活弁の魅力をお伺いしたところ、「活動写真は、「映画」と「語り」と「音楽」の三位一体で構築されているライブパフォーマンスなので、その独特の"ナマ"な雰囲気を味わってもらいたい」という返答をいただきました。活弁士・坂本頼光が作り出すライブパフォーマンスを是非皆さまとともに体感し楽しみたいと思います。

 今回で「生演奏で楽しむ映画の醍醐味『かつべん』」の連載は終了です。皆様お楽しみいただけましたでしょうか。活弁の上映会自体がまれになっている現在、今回は音楽演奏も生で行われるなど、非常に贅沢な上映会になっています。無声映画が主流であった当時の映画の楽しみ方を実感していただき、お楽しみいただけたら高崎映画祭としてもうれしい限りです。ぜひ皆様お越しくださいませ!

(高崎映画祭スタッフ 狩野裕宣)

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