「見た目」と「心」を取り戻す人工ボディパーツ

(2019年08月31日)

エピテみやび株式会社

 

「エピテーゼ」という言葉をご存知だろうか? 生まれつき、または病気や事故によって失った顔や指、乳房などに装着して本来の姿を再現する人工ボディパーツのこと。人目を気にせず、明るく前向きな人生への一歩を後押しする力となっている。

田村雅美さんは、このエピテーゼの製作者「エピテニスト」。エピテーゼの存在を広く普及させ、必要とする人に情報やサービスを届けたいと事業を立ち上げた。

昨年8月に行われた(一社)日本起業アイデア実現プロジェクトのビジネスコンテストでグランプリを受賞したことから活動に弾みがついた。既に甘楽町の実家に工房『エピテみやび』を開設していたが、賞金授与の条件をクリアするため法人化。メディアで取り上げられ全国からの問い合わせが相次ぎ、利便性の高い都内に第2の拠点となる日暮里支店をオープンした。

田村さんの前職は歯科技工士。スキルアップのために渡米した折、見学に行った大学病院で偶然エピテーゼに出会った。「顔の半分を失った退役軍人が人工マスクを装着し、皮膚に近い色づけを施されていました。ほんの5分ほどの光景でしたが、鏡をのぞいた彼の笑顔の輝きがまぶたに焼き付きました」。印象深い出来事だったが、記憶の底に眠らせたまま帰国した田村さんは、地元の歯科医院で歯科技工士として働き始めた。

「歯の1ミリの変化でも、顔の印象が変わります。患者さんが人工歯を作る際、印象がよくなるよう助言すると、とても喜ばれました。歯並びが改善されると性格が明るくなり自信がもてる。アメリカで見たエピテーゼの記憶がよみがえり、本格的に学ぶことにしました」。患者さんと触れ合うことで、自分の技術の可能性に改めて気がついたという。

さらに田村さんを勇気づけたのは、歯科医院を辞めて参加した地元の起業塾の仲間たちに、素晴らしい事業だと太鼓判を押してもらったこと。そして、「これなら人目を気にせず温泉に入れる」という乳ガンで片方の乳房を失った知人の言葉だった。

同業他社は存在するが、“利用しやすい価格設定”や急なニーズに対応する“レンタルサービス”など、必要とする人に寄り添った田村さんの事業に共感の声が寄せられている。

 

エピテーゼは、完全オーダーメイド。十分なカウンセリングの後に申し込みがあれば、シリコン素材で型取りをし、実際の部位に合せて原型を調整。体に装着した状態で自然な皮膚感が出るようシリコンの塗料で色づけを行なう。使用後の色落ちや接着面の汚れなどに対応するアフターフォローもある。田村さんは、使用するシーンを考慮した形状や、ネイル・アクセサリーといった、見た目の美しさやおしゃれ心を大切にしている。

 

 

企業概要

代表取締役社長 田村  雅美さん

住所:甘楽郡甘楽町善慶寺873-8

TEL:050-5866-9795

 

高崎商工会議所「商工たかさき」2019年6月号

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