80余年で培った信頼と実績

(2021年05月31日)

三山鋼機株式会社

 

インフラ整備と工場生産を支援

強固で用途に応じて自在に加工できるなど優れた特性を持つ鉄は、古くから人々の暮らしに欠かせない金属として幅広く用いられてきた。近代に入ってからは、鉄道や船舶、建築、産業機械などへと用途が拡がり、蒸気機関やエンジンなどの動力装置は、強く細密な加工ができる鉄でなくては実現できなかった。

昭和13年(1938)11月に創業した三山鋼機株式会社。代表取締役社長の金井浩さんは、「給水タンクや転車台(蒸気機関車の方向を変える)など鉄道関係の受注が多かったようです」と話す。

80余年の社歴の中で、当初は軍需や荒廃した街の復興などに対応してきた。その後、歩道橋や橋梁、上下水道・し尿汚泥処理場・水門・高架水槽といった社会インフラ。タンク・コンベア・架台・クレーン・ダクト・専用機・移載機といった工場設備全般にわたり、設計から製造、現場施工まで一貫して請負い、人々の安全で安心な暮らしと、地域の工場生産活動を支えてきた。

 

 

創業当時の時代背景

経営者の金井氏は、210余年の歴史ある企業で高崎の近代工業化を牽引してきた小島鐵工所と近代高崎経済の父といわれた井上保三郎氏の系譜に連なる。

小島鐵工所は、明治時代にしょうゆ醸造用の水圧機が大ヒットし大きく業績を伸ばし、鋳物屋から機械メーカーに転身を図った。しかし、昭和初期の世界的大不況により経営難に陥り、小島家と姻戚関係にあった井上保三郎氏が事業を引き継ぎ、後に姪の夫の児玉安蔵氏に経営のバトンを渡した。保三郎氏は、大正の初め頃に数々の事業を興し、高崎の近代工業化を推し進めた人物。その後、小島鐵工所は、昭和12年(1937)に日中戦争が勃発し太平洋戦争へと突入すると、軍需工場として規模を拡大した。

一方、商業都市から商工業都市に脱皮を図ろうと、高崎商工会議所会頭の山田昌吉氏は高崎駅東側の東三条通りの空地を新たな工業地域と位置づけ、理研コンツェルンに働きかけ最初の工場誘致を行った。そして、在来の高崎板紙や小島鐵工所に加え、この地域に新設された高崎航空器材、小島電気製鋼、小島機械製作所などと共に、昭和11年(1936)に三山鋼機の前身である三山鐵工所が操業を開始。こうして東三条通り一帯は高崎の工業生産発展の基礎となった。

 

事業を拡大した昭和の時代

株式会社三山鐵工所は、昭和13年(1938)年に組織を改め三山鋼機株式会社が設立された。そして、昭和15年(1940)に三共鋳機株式会社を吸収合併し、鋳造部門を設置。

昭和30年(1955)に区画整理のため、機械工場と鋳造工場を第一工場とし、製缶工場と板金工場を第二工場として設置した。機械設備の拡充を図り、社宅と独身寮を建設し従業員が安心して仕事に取組める環境を整備した。

そして、昭和45年には大八木町に製缶工場を二棟建設し、大八木工場(6,000㎡)とした。昭和51年に本社を大八木工場に移設、昭和53年に大八木工場を拡張し、敷地面積を10,000㎡とするなど、昭和の時代は同社にとって事業拡大の歴史だった。

 

 

営業が設計図を描き

熟練の製缶・機械加工技術で造る

現在、同社は食品や化学プラント向けの鉄骨、架台、クレーン、タンク、コンベア、ダクト等の工場設備や、生産ラインの省力機器や自動機などを受注製造し、地域の工場生産活動を支えている。

顧客の要望を聞き、製品設計から現場施工を一人の営業スタッフが一貫して担当することで、フレキシブルな対応が可能となり高い顧客満足を実現している。

「当社の製品には一つとして同じものがありません。工場での経験をしっかり積んでから営業を担当することで、お客様と深いレベルで話ができ、ニーズに応える高品質な製品を納入できます。そこが当社の強みです」と金井社長は話す。

製造の現場では、溶断・穴あけ・曲げ・溶接等の製缶加工によって板厚が厚いタンクや鉄骨を使った立体的な構造物などを作製。また、金属に旋盤・切断・切削・研磨等を施す機械加工なども熟練工の手で迅速・確実に行われている。

また、組立てが必要な構造物については組立工場で仮組立を行い、顧客先に問題なく納めるよう努めている。

 

 

品質向上とコストダウンを追求

同社では、一つ一つの案件について品質向上とコストダウンを追求している。特に製缶加工は、余分な溶接部分が多いと手間とコストがかかるうえ、加工時間や加工後の検査も大幅に変わってくるため、設計の段階から無駄な溶接部分を極力少なくするよう考慮する。また、必要以上に使用する材料の種類を増やさないこと、小さな部品の多用を避けることで確認の工数を増やさない工夫も行うなど、設計者の腕の見せ所だ。

一方で「熟練工の減少が進めば、もの造りはいずれ立ちいかなくなる」という金井社長の危惧は社会的な問題でもあり、簡単に対策できない難しさがある。

 

〜会社概要〜

三山鋼機株式会社

代表取締役社長  金井  浩さん

高崎市大八木町951-2

TEL:027-361-9123

 

高崎商工会議所「商工たかさき」2021年4月号

 

 

高崎の都市力 最新記事

  • 株式会社環境浄化研究所
  • シネマテークたかさき
  • ラジオ高崎
  • 高崎市
  • 広告掲載募集中