48.高崎新風土記「私の心の風景」

春は椿の花から

吉永哲郎

 春を探しに冬枯れの里山に分け入りますと、常緑樹の深い緑の木々が目につき、なかでもヤブツバキが気になります。人によって春を感じさせる花はさまざまですが、私は里山に自然に咲くヤブツバキです。
 ツバキは日本自生の春の木で、木偏に春と書いた「椿」は国字で、中国の「椿」の文字にあたるものは、センダン科のチャンチン(樗)〈ちょ〉を表します。日本の椿の花は、中国では「海榴・海石榴」と表記し、「石榴」はザクロのことで、海を渡ってきたザクロのような花という意味を表しています。万葉集には「椿」とともに「海石榴」の文字が用いられていますが、ザクロは中国から平安時代に渡来した花ですので、椿が中国に渡って「海石榴」と表され、その文字が日本に伝来されたことになります。
 ツバキの語源には「艶葉木・厚葉木・唾の木」などの説があり、はっきりしていませんが、私は、「キ」が古語で「酒」を意味しますので、聖なる女性が米をかんでその「つばき」で醸(かも)した御酒(みき)の意味を含み、神聖な春の神の降臨をしらせる祭りの花と考えています。つまり春を告げる聖なる花です。
 さて、例年、春の到来を山上の碑の登り口に群生しているヤブツバキによって知ります。今年も腰に一瓢を携えて参りましょう。花の散り敷く野道のわきで、ツバキの葉をさかずきに・・・

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