高崎唱歌

散歩風景⑦

吉永哲郎

 唱歌の8番は「松柏芝生に生い茂り 夏はすずみに冬は雪 いとどさやけき碓氷川 河鹿ほたるの名所なり」です。この歌の前半は公園の風景と、季節ごとに人々が楽しむ景色を詠んでいます。後半は今では想像もつかない碓氷川の自然の様相です。和田橋上から眼科に広がる上流の風景の中に、浅間を背景にした碓氷川と榛名山から流れ出る烏川との合流点を見出せます。碓氷川の水源は峠の熊野神社下の谷にありますが、そこから湧き出る水が、下流へ流れながら清澄川に変身したのです。鼻高橋からの碓氷川については、少林山の寺の境内にある洗心亭ですごした、ブルノタウト夫妻が、少年たちの川に親しんでる姿を書き留めています。その頃の碓氷川べりの草むらから、季節になると河鹿カエルの「ヒョロヒョロ」という鳴き声があちこちで耳にできたようです。河鹿カエルは清澄な川でないといないといわれます。当然「ほたる」も同様なことがいえます。
 今は、乗附町から山沿いに舗装道路ができて、ジョギングを楽しむ人の姿を見かけますが、以前はこうした道はなく、碓氷川の川岸をつたわって鼻高町へと足を運んだのです。古い道の面影は、乗附側から豊岡へ碓氷川に架かる木橋がありますが、この道筋が草津街道へとつないでいたのです。室町時代の連歌師飯尾宗祇が、越後の上杉家へ源氏物語をもっていった道でもあるのです。それこそ、高崎で初めて源氏物語と接した道なのです。「さやけき碓氷川」の物語です。

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